スズキのリンス、“病み上がり”で獲得したMotoGPクラス自己最高位の2位。「僕のレースになる、と思った」
チーム・スズキ・エクスターのアレックス・リンスが今季2度目の表彰台に立った。激しいポジションの奪い合いとなったMotoGP第8戦オランダGPの決勝レース。MotoGPクラス2年目のリンスが、マルク・マルケス(レプソル・ホンダ・チーム)に次いで2位に入った。
リンスは2018年シーズン、第2戦アルゼンチンGPで3位を獲得して以来、低迷しているように見えた。第3戦アメリカズGPから第7戦カタルーニャGPまでの5戦のうち3戦はリタイア。完走した2戦では第5戦フランスGPで10位、第6戦イタリアGPで5位という結果だった。
オランダGPでもフリー走行3回目までは総合14番手と苦しんでいたが、予選Q1を突破するとQ2では5番グリッドを獲得していた。2列目から決勝レースを迎えたリンスだが、実は決勝日の朝に体調不良を起こし、胃に痛みがあったという。
「クリニカ・モバイルのドクターたちがくれた薬のおかげで、痛みが引いたんだ。本当に彼らに感謝しないとね。気分がよくなったとき、こう思ったよ。『よし、これでレースは僕のものになる!』って」
決勝レースは“病み上がり”のリンスには厳しいものではなかっただろうか。8人ものトップライダーが集団となって、あちらこちらでオーバーテイクを仕掛け、接触すらあった激しい争い。しかし、リンスがその集団から脱落することはなかった。
「すばらしいバトルだったし、レース中にたくさんのことを学んだよ。いいレースだったし、僕はレースを楽しんだ。ぎりぎりのオーバーテイクがたくさん展開されていた。だから僕は自分のスペースを維持しながら、集団のなかにいられるように力を注いだんだ」
残り3周でマルケスが抜け出したことでトップはほぼ決定的となった一方、2位はリンスとマーべリック・ビニャーレス(モビスター・ヤマハ・MotoGP)によって最後まで激しく争われた。
リンスは残り2周で3番手に浮上すると、やはりこの周で2番手に浮上したビニャーレスを追った。最終ラップでビニャーレスの背後にぴたりとつけたリンスは、15コーナーでインを突きオーバーテイク。追いすがるビニャーレスを振り切り、わずか0.039秒差で2位表彰台を手にした。
リンスとしては最高峰クラス自己最高位、スズキとしても第4戦スペインGPでアンドレア・イアンノーネが3位を獲得して以来、久々の表彰台。リンスの躍進の要因には、スズキのバイクの改善があるという。
「バイク、それからチームにいい感触がある。開幕戦からバイクには競争力があったけれど、いくつかの事項を変え、パワーを得てパフォーマンスがよくなったんだ。次のレース(ドイツGP)でも上位にいられるようにしたいね」
まれに見る接戦のなか、マルケスやロレンソ、ロッシといったMotoGPクラスチャンピオン経験者たちとともにポジション争いを繰り広げ、2位表彰台に駆け上がった。なにより、自信をつけることができたことだろう。次戦に向けても自信をのぞかせるリンス。3位、2位表彰台を獲得し、残るは優勝だけだ。
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