ホンダF1田辺TDスプリント予選後会見:史上初の試みも冷却、燃費に問題なし「決勝に向けエネルギーの使い方が十分見えた」
2021年F1第10戦イギリスGP土曜日。歴史的な第1回スプリント予選は、2番手スタートのマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)がターン1までに首位を奪い、トップでフィニッシュした。しかしセルジオ・ペレスは終盤リタイア、アルファタウリ・ホンダのピエール・ガスリー、角田裕毅は12、16番手のグリッド順を上げられないままチェッカーという厳しい展開となった。
決勝レースも快晴、高温のコンディションが予想されるだけに、「タイヤマネージメントを含め、(ペレス以下の3台は)苦しい戦いが予想される」と、ホンダF1の田辺豊治テクニカルディレクターは言明した。一方でここまでの2日間を終えて、「車体、パワーユニット双方で多くを学ぶことができた」として、「その学びを決勝レースの組み立てのなかに取り込んでいきたい」と、抱負を語った。
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──史上初のスプリント予選が終了しました。
田辺豊治テクニカルディレクター(以下、田辺TD):はい。(マックス・)フェルスタッペンがその勝者となり、ポールポジションを獲得できました。しかし(セルジオ・)ペレスはスタートで出遅れ、単独スピンで順位を落とした末に、タイヤのダメージによる振動が激しくなってリタイアとなりました。アルファタウリの2台は、抜きづらいコースということもあって、予選グリッドのままチェッカーを受けました。
──フェルスタッペンはスタートでルイス・ハミルトン(メルセデス)を抜いていったのが大きかったですね。
田辺TD:その後も激しい戦いが続きましたが、しっかり抑えながら自分のペースでレースをコントロールしていましたね。いい形で戦えました。明日の決勝レースはポールポジションスタートですので、今日のようないいレースができればと思います。
──他の3台はいずれも、トップ10圏外からのスタートです。
田辺TD:抜きづらいうえに、高い気温、路面温度が予想され、タイヤマネージメントも難しそうです。彼らにとっては、苦しい戦いになるかもしれません。ただ今日のスプリント予選を走って、本レースの3分の1の距離とはいえレース形式でしたし、車体、パワーユニット双方でいろいろなことが学べました。その学びを決勝レースの組み立てのなかに取り込んでいきたいと思います。フェルスタッペンにはきちんとレースを決めてほしいですし、他の3台もポジションを上げてチェッカーを受けてもらえればと思っています。
──決勝レースに向けていろいろな学びがあったとのことですが、具体的には?
田辺TD:車体でいえば、タイヤの使い方ですね。多くがミディアム、一部がソフトで走ったわけですが、それぞれの摩耗状況、ブリスターの出方などが非常に参考になった。もちろんタイヤへの負荷のかかり方はマシンごとに違うわけですが、決勝でのタイヤ戦略の参考にはなりました。パワーユニットについては、いじれるのはエネルギーマネージメントの部分だけですが、他車と競った状態での回生エネルギーの使い方、スティントでの使い方が十分に見えました。
──フェルスタッペンはスタート直前に左フロントブレーキから炎が上がっていました。イギリスとしてはかなり暑いコンディションでしたが、パワーユニットの冷却には問題はなかったですか。
田辺TD:特に問題が出るレベルではなかったです。トラフィックに入ると温度は上がりますが、大丈夫でした。
──100kmのスプリントで、燃料使用制限もなかったわけですが、燃費に厳しいコースではありません。想定燃費に対して、特に大きな違いは出なかったのですか?
田辺TD:はい。特にスプリントに特化した使い方はせず、本レースの使い方をベースで行いました。結果は想定通りでしたね。
──翌日に決勝レースを控えていることもあり、事前予想ではスプリント予選は慎重な展開になると言われていました。しかし実際には、アグレッシブな走りが随所で見られました。個人的な印象でけっこうですが、どう感じましたか。
田辺TD:決勝レースが終わってみないと何とも言えませんが、シルバーストンの特殊性も大きかったと思います。とにかく抜きにくいなか、ひとつでも順位をあげたい。グリッドを決めるレースでしたから。ですので各ドライバー、それなりのプッシュをしたのだと思います。なによりレーシングドライバーですから、いったん走り始めたら攻めるのみ、ですよね。
──新方式を2日間行って、見えてきたことはありますか。
田辺TD:60分のFP1を終えて、すぐに予選に突入する。想定した通りFP1は非常に忙しかったし、事前シミュレーションの重要性は今まで以上でした。精度の高いイニシャルセッティングを施さないと、週末の展開が苦しくなる。それが確認できました。
──パルクフェルメの扱いなどわかりにくい部分も少なくないので、いっそFP2をなくしてしまって、フリー走行は初日だけにして、その代わり走行時間を90分にするとか、そういう代替案はエンジニア側からすると乱暴すぎますか。
田辺PU:やはりショートラン、ロングランの確認がないと、レースの組み立ては難しくなりますね。FP1はショートラン中心で、一部ロングラン、予選を終えてクルマが決まってしまった時点で、ロングランを走ってタイヤの状況を見る。それをなしでぶっつけ本番になると、シミュレーションや事前準備に優れたチームだけが速くて、あとはバタバタしている間に終わってしまう。そんな気がします。
──初日はFP1、FP2、2日目に予選、スプリント予選という提案を何人かのドライバーがしていました。
田辺TD:それは可能だと思います。3日間のイベントをフルに楽しんでもらおうということで、今回のような方式にしたのだと思いますが。
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