F1技術解説ハンガリー編:迷走とまらぬレッドブル、Tウイングとミニウイングを追加
2020年F1ハンガリーGPで、メルセデスとは対照的に、レッドブルは1年前のラップタイムを更新できなかった。マックス・フェルスタッペンの今季の予選タイムは、キャリア初のポールポジションを獲得した昨年より0.277秒遅かったのである。一方で開幕2戦が行われたレッドブルリンクでは、そこまで極端な差は出なかった。ハンガロリングのコース特性がRB16の欠点をさらに顕在化させ、レッドブルの技術陣がそれに対して適切に対処できなかったようだ。
昨年のRB15でもすでにそうだったが、英国ミルトンキーンズの開発部門の迷走が止まらないように見える。具体的にはアンダーステア傾向とリヤの不安定な挙動を、なかなか修正できずにいる。エイドリアン・ニューウェイは今季のRB16で、マシン前部の空力コンセプトを大きく変更した。しかし変更部分への理解がまだ不十分で、対症療法的にいろいろなデバイスを加えたり元に戻したりを繰り返しているのが現状だ。
ハイダウンフォースのハンガロリングでは、ライバルたちと同じようにTウイングを追加した(赤矢印参照)。それだけでは足りずにカウル後端の両側にも、ミニウイングを取り付けている(青矢印参照)。こちらは昨年のメルセデスが先べんをつけたもので、W11でも継続して使われ、レーシングポイントも今季のRP20に採用している。
中団以下のチームに目を移せば、マクラーレンは典型的なハイダウンフォース仕様を投入していた。二枚羽根のダブルTウイングは、すでに冬のバルセロナテストで試されたものだ(写真右・赤矢印参照)。リヤウイングのプレートも、より前面投影面積を大きくした仕様だ(黄色矢印参照)。カウル後端のミニウイングは、第2戦シュタイアーマルクGPからの継続使用で、ディフューザーの働きをさらに高めることを意図している(写真右・白矢印参照)。
低迷が続くアルファロメオは、Tウイングにわずかな変更を加えるに留まった(赤矢印参照)。アルファロメオは全10チーム中唯一、ここまでの3戦でQ2に1台も進めていないチームである。
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