パロウがマクラーレンへの移籍中止で契約問題が再発「F1テストを含む多額の投資が無駄になった」と失望するブラウンCEO
チップ・ガナッシ・レーシングからインディカー・シリーズに出場しているアレックス・パロウが、2024年に向けてマクラーレンとの契約を結んでいたにもかかわらずこれを破棄することを決めたと、マクラーレン・レーシングCEOザク・ブラウンが発言した。パロウは2024年にはマクラーレンのインディカーチームに移籍し、F1チームにおける役割も引き続き果たすものと考えられていた。
昨年7月、2021年インディカー王者パロウの契約に関してトラブルが発生、訴訟問題に発展した。パロウが所属するチップ・ガナッシが2023年に向けてパロウとの契約を延長したと発表。しかしパロウ自身はSNSでこれを否定した。これに続き、マクラーレン・レーシングが、パロウの加入を明らかにする声明を発表、パロウはこれについては「マクラーレン・レーシングとの将来を楽しみにしている」とコメントした。この際、マクラーレン・レーシングは、パロウを“2023年のマクラーレン・レーシングのドライバーラインアップ”に加えると発表、レース活動とともに、マクラーレンF1チームでのテストも行うと述べた。
結局、昨年9月に、パロウは2023年にインディカーのチップ・ガナッシ・レーシングに残留、一方で、マクラーレンのF1テストに参加する機会が与えられることが確定した。さらにマクラーレンは、パロウを2023年のF1リザーブドライバーに起用することも決めた。
そして現在2023年インディカーシリーズをランキングトップで戦うパロウに関し、再び契約上のトラブルが発生したことが明らかになった。マクラーレンCEOブラウンが、パロウとは2024年の契約を結んでいたが、彼にはその契約を履行するつもりがないことが分かったと発言したのだ。
インディアナポリス・モータースピードウェイでのインディカー第14戦を前に、ブラウンは、従業員に対して、2024年のパロウの状況を説明する書簡を送った。その書簡を入手したAP通信が、その一部を報じた。ブラウンは、パロウから、アロウ・マクラーレン・インディカー・チームとの2024年シーズン以降の契約を尊重するつもりがないと伝えられたという。
「彼(パロウ)が、直接および公式に我々に対して行った約束、さらに我々がその約束に基づいて彼に行った多額の投資を考えると、非常に残念なことだ」とブラウンは記している。
「我々は、2024年シーズンに向けて最初の多額の報酬を彼に支払った。さらにF1テストプログラムにおいて彼を育成するために、また、将来F1で走る可能性を含むリザーブドライバーの役割についても数百万ドルを費やしている」
「残念ながら、我々のアレックスに対する信用、コミットメント、投資、信頼は報われず、誤ったものであったようだ」
『The Race.com』に対してブラウンは、「アレックス・パロウが2024年とそれ以降、インディカーで我々とともにレースをするという契約上の義務を守るつもりがないことを、私は極めて残念に思う。今、この件について私に言えるのはそれだけだ」
8月12日、パロウのマネジメント会社モナコ・インクリース・マネジメント社は、今後彼をサポートしないと示唆した。2024年にマクラーレンで走るための契約変更に動いた同社は、「モナコ・インクリース・マネジメントは、アレックス・パロウが2024年とそれ以降についてマクラーレンとの間に存在する合意を破棄するという決断を下したことを知り、極めて残念に思う」とコメントした。
「我々はともに、契約上の義務を超えた関係を築き、2021年のインディカーの栄冠を勝ち取り、F1の機会への道を進んでいた」
「人生は続く。我々はアレックスの今後の成功を祈っている」
一方、パロウが所属するチップ・ガナッシ・レーシングのオーナー、チップ・ガナッシは、マクラーレンのブラウンCEOの書簡が報道されたことを受けて、12日に次のような声明を発表した。
「私を知っている人なら誰もが、私が通常は契約状況についてコメントしないことを知っているはずだ。このストーリーを聞いたその日から沈黙を守ってきたが、今は反応すべきだと感じている。私はマクラーレンチームと彼らの成功を昔から尊敬してきた。だが新しい経営陣には、同じように尊敬する気持ちを感じていない」
「アレックス・パロウは我々チームのメンバーであり、2021年シーズンから契約を結んでいる。マクラーレンがこの契約に干渉したことから、今のプロセスが始まった。そして皮肉なことに、彼らは今、被害者を演じている」
「簡単に言えば、我々のドライバーに対するマクラーレン・インディカーの立場は不正確であり間違っている。彼(パロウ)はCGRとの契約下にある」
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