練習走行から躍動するふたりのルーキー。フリー走行トップの大湯、10番手でGTランクトップのフェネストラズの手応え
新型コロナウイルスの感染拡大の影響で4ヵ月遅れの開幕戦を迎えた全日本スーパーフォーミュラ選手権第1戦もてぎ。今回のもてぎ戦には5人のルーキーがエントリーしているが、多くのルーキーがタイムシートの下位に沈むなか、金、土曜の走行からベテラン勢と遜色なくタイムをマークしていたのが、全日本F3で最後の王者で今シーズンのスーパーGTで現在ドライバーズランキングトップのサッシャ・フェネストラズ(KONDO RACING)、そして29日午後のフリー走行でトップタイムを記録した大湯都史樹(TCS NAKAJIMA RACING)だ。このルーキードライバーに話を聞いた。
■フェネストラズ「もしトップ8に入れたらハッピー」
「昨日、金曜のテストのセッションは難しかったね。みんなと比べて僕はニュータイヤを持っていなかったし、金曜の僕の役目はこのツインリンクもてぎに慣れることだった。F3ではもちろん走行しているけど、スーパーフォーミュラでは初めてだったからね。トラックの特徴は昨日、学ぶことができたよ」と、スーパーフォーミュラでは初めてもてぎを体感したフェネストラズ。
「今日、土曜の(午前)はニュータイヤは1セット投入して、フィーリングはよかったよ。チームメイトの(山下)健太といろいろセットアップの比較ができたからね。健太は『モットハヤイ』から(苦笑)。当然、僕はもっともっと改善させて、健太から学ばなきゃいけね。それでも、全体的には明日、日曜の予選に向けて順調だよ。明日のレースは走行距離が短いから、予選がものすごく重要になる」と、今週末への意気込みを語る。
これまでテストでは何度が乗っているものの、改めてスーパーフォーミュラのマシンSF19の印象を聞くと「ダウンフォースの大きさとGフォースはとてもとても素晴らしいね。エンジンパワーもビッグだし、とてもお気に入りのマシンだよ。スーパーフォーミュラはホント、素晴らしい」と、笑顔を見せる。
土曜日午前の専有走行時には気温が31℃に及んだ灼熱のコンディション。体力的に厳しくはないのだろうか。
「この暑さは、走っているときは風が当たるので全然問題じゃない。でも、止まっているときは『トテモアツイ』笑)。運転しているときは大丈夫だよ」
「日曜の予選、もしトップ8に入れたらハッピーだね。トップ6に入れたら、もっと嬉しいけど、今の僕の状況を考えたらトップ8が目標だね」と現時点での自分たちのポテンシャルを分析し、現実的な回答をしたフェネストラズだったが「あとはもちろん、ステップ・バイ・ステップで経験豊富な健太の前に行ければいいね」と付け加えた。スーパーGTでは第3戦終了時点でランキングトップとなっているフェネストラズ。スーパーフォーミュラではどのような活躍を魅せるのか。
■フリー走行トップも「明日になってみないとわからない」と大湯
これまでのスーパーフォーミュラのテストでも、何度か一発の速さを見せていた大湯都史樹。今回のもてぎでも、ルーキーながら土曜の午後の練習走行でトップタイムをマーク。日曜日の予選、決勝に向けて期待の膨らむ土曜日となった。
「久しぶりのスーパーフォーミュラということで、昨日公式テストは一からやり直しみたいな状況から始まりましたが、徐々にマシンに慣れていきました。昨日終わって今日に向けていろいろアジャストできましたし、セットアップ含めて見れたので順調には来てますね。ただ今のところ、チームとしてはあまり調子は良くはないので、改善が必要なんですけど、公式練習の流れとしては順調に来ています」
暑さに関して尋ねると「バテてます(苦笑) やっぱりコロナの自粛期間で、本来であれば暑さ対策とか、身体のメンテもしっかり準備してるはずだったんですけど、あまりできなかった部分もあります。トレーニングなど出来ることは積み重ねているので問題はないんですが。この暑さという部分はなかなか・・・です。僕もそうですけど、ファンのみなさんもマスク付けながら、外出して観戦となると体力的に厳しくので心配になりますね」とツインリンクもてぎを訪れるファンを心配する言葉も。
2020年シーズンから加わったTCS NAKAJIMA RACINGについては「12月と3月にルーキーテストをやらせて頂いて、今回が3回目になるんですけど、フレンドリーというかすごい暖かいチームです。機会を重ねることにチームとのコミュニケーションも徐々に上手く取れるように、僕自身上手くなってきてるので、そこらに不安は感じていません。これから、今日ちょっとダメだった部分を修正して、いいところをチームと一緒に見つけられたらいいなと思いますね」と、良好な関係を築けているようだ。
土曜午後のフリー走行では1分32秒703を記録してトップタイムをマークした大湯。
「予選は心配がまったくないということではないんですけど、アジャストできたかなと思います。金曜日から続いている流れとして徐々に、挽回はできてるのかなと。ただ、他もどういった状況かはわからないので、他チームもまだ引き出しがあるのかなと思います。だから、明日になってみないと、実際どれだけの順位に僕がいるのかはまだわからないですね」と話した。
今回、5人のドライバーがスーパーフォーミュラデビューを果たすことになる第1戦もてぎ。そのなかでも、まずは土曜日の走行でベテラン勢と遜色ないパフォーマンスを見せたふたり。フリー走行でトップタイムを記録した大湯、そしてスーパーGTですにで国内トップドライバーと遜色ない走りを見せているフェネストラズ、他の3人のルーキーの動向はもちろん気になるところだが、まずはこのふたりがどのような走りを見せてくれるか注目したい。
2020年全日本スーパーフォーミュラ選手権 第1戦もてぎは8月30日10時5分から公式予選。14時15分から35周の決勝レースが開催される。
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