元チームメイトの松下信治とは今も仲良し「耐久レースは“プランBではない」【WEC富士の注目株(4)ルイ・デレトラズ】
WEC富士6時間レースを前に、シリーズに参戦している気になるドライバーをご紹介するこのコーナー。最後にご紹介するのは、LMP2クラスにチームWRTの41号車から参戦しているルイ・デレトラズ。スイス出身の26歳だ。チームメイトのロバート・クビサ、ルイ・アンドラーデとともに、LMP2クラスのランキングリーダーとして、富士に来日する。
■父はかつてF1にスポット参戦経験あり
筆者は実は少年の頃の彼に会ったことがある。
2012年、井原慶子さんがガルフ・レーシング・ミドル・イーストというチームから日本人女性としては初めてWECにフル参戦を開始した際のチームメイトのひとりがジャン・デニ・デレトラズ。そう、ルイの父だった。ルイはWECの現場にも時折現れ、どういうわけかオートグラフセッションなどにも、父と一緒に出席していたのである。
父のジャン・デニは、もともとスイスの裕福な家庭に育ったが、レースを始めたのが遅く、F1にもスポット参戦までしたものの、目立った成績は残せていない。一方のルイは子どもの頃からモータースポーツに親しみ、着々とステップアップを果たしてきた。それは、やはり父がレースをしていたからだ。
「僕はレーストラックで育ったんだ。子どもの頃から父が出ているレースに一緒について行った。そこからモータースポーツに対する情熱が生まれたんだと思う。父は僕に対して、レーシングドライバーになれっていうようにプッシュはしなかったよ、決してね。でも、僕がやりたいって言ったから、すごく助けてくれたんだ。父がいなければ、今、僕はここにはいないよ」
「父は、とてもいい教育を施してくれて、カートをどのように乗りこなすかについても教えくれたし、レースに対するスピリットも教えてくれた。レースでは勝つことも負けることもあるけど、どんな時でも、必ずその後に一生懸命努力しなくちゃいけない、とね」
カートを卒業した後、ルイはフォーミュラ・BMW タレントカップ、フォーミュラ・ルノー2.0、フォーミュラ・ルノー3.5/フォーミュラV8 3.5、そしてGP2、FIA F2とフォーミュラカーでのキャリアを積んできた。
2015年にフォーミュラ・ルノーNECではタイトルを獲得。同年、ユーロカップ・フォーミュラ・ルノーでもシリーズ2位。翌年には、フォーミュラ・ルノーV8 3.5でもランキング2位と、着々と成績を残す。
F2では優勝こそなかったものの、表彰台には幾度も乗り、2019年、2020年とランキング8位となった。2016年には、ルノー・ヤング・ドライバー・プログラムの一員となり、2019年には、ハースF1のテストドライバーに抜擢。2020年も同チームでテスト&リザーブドライバーを務めている。しかし、レギュラードライバーとしてのシートはとうとう得ることができなかった。
「夢はもちろんF1ドライバーだった。そのためにF2をやって、F1に上がりたいと思っていたんだ。スーパーライセンスも手に入れて、F1のテストもしたんだよね。だけど、その夢はうまく実現しなかったんだ。だから、今、ここにいるんだよね」
「でも、耐久レースは、僕にとって“プランB”ではないんだよ。ル・マンに出場して、ル・マンで勝つことは、僕にとって常に目標なんだ。僕は耐久レースが好きだし、ル・マンは歴史だからね」
「LMP2よりF2の方が車重は軽いけど、ピレリタイヤはタイヤのでグラデーションが大きい。LMP2は重いけど、タイヤのでグラデーションは少なくて、乗っていてもまったく違うよね。でも、僕は両方とも好きだよ。いろいろなクルマにドライビングスタイルを合わせて乗るのが好きなんだ」
■ノブさん、日本のガイドをお願いします!
耐久レースもエンジョイしている様子のデレトラズは、甘いマスクに笑顔が素敵な好青年。2019年には、F2で松下信治のチームメイトでもあった。昨年、松下がル・マンを訪問した際には再会を果たしており、WEC富士でも松下と会うのを楽しみにしていたようだ。
「ノブはファンタスティックなドライバーで、彼とはいい友達なんだ。去年はノブもル・マンに来て、一緒に食事したり楽しい時を過ごした。僕らの関係はとてもいいからね、サーキットの外でも。何年か前にはスイスの僕の家にも来て、一緒に過ごしたよ。ル・マンでは、もちろん24時間レースのことも話した。彼も出られたら素晴らしいし、いいシートを見つけられることを願っているよ」
「でも去年、富士に行った時は、ノブは日本にいなかったと思う。どこかに旅行に行っていたんじゃないかな。僕は一度も日本に行ったことがなかったから、サーキットに行く3日前に訪日したんだ。少しだけでも東京を訪れて、日本の文化を見たいと思っていたから。その時は、きっとノブが案内してくれるはずだって思っていたんだよね。でも、彼はいなかった。きっと今年は案内してくれるんじゃないかな(笑)」
ひとりで3日ほど東京に滞在したというデレトラズ。初めてでさぞかし心細かったのではとも思うのだが、それでも日本は気に入ったみたいだ。
「去年来た時には、人々がお互いにリスペクトしているのが素晴らしいと思ったよ。東京に少しだけいたんだけど、あんなに大きな街なのにとても清潔だし、オーガナイズされている。僕は日本語が話せないから、人とコミュニケーションを取るのはすごく難しかったけど、みんな親切で、僕を助けようとしてくれた。だから、本当にいい時を過ごせたし、とてもファンタスティックだった。本当に美しい街だった」
「日本では寿司と和牛を食べたよ。僕は、そもそもそれほど寿司が好きじゃなくて、ヨーロッパでは食べない。でも、日本では食べる。日本の寿司はすごく美味しいよ!」
今年は2度目の来日となるデレトラズだが、どんな期待を抱いているのだろうか?
「富士のレースでは勝ちたい、まずそれが一番。それに、日本で新たな体験をしようと思ったら、誰かガイドしてくれる人がいないと。そのためにはノブが必要だね(笑)」
「去年、日本に行った時、日本のファンの人たちのモータースポーツに対する情熱は素晴らしいと思った。プレゼントも受け取ったし、ものすごく歓迎してくれていると感じたよ。だから、毎年行くのが楽しみだし、レースを見に来てくれるみんなに感謝している。今年も会うのが楽しみだよ!」
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