【レースフォーカス】ポール獲得、自己ベスト5位でP.エスパルガロが浮かべた明るい表情/MotoGP第12戦イギリスGP
MotoGP第12戦イギリスGP、決勝レースではアレイシ・エスパルガロ(アプリリア・レーシング・チーム・グレシーニ)が注目を浴びた一人となったが、“もう一人のエスパルガロ”もまた、話題を集めていた。ポル・エスパルガロ(レプソル・ホンダ・チーム)が予選でポールポジションを獲得したのである。
振り返ってみれば2020年シーズンから苦戦にあえぐホンダ陣営にとって、2020年第12戦テルエルGPで中上貴晶(LCRホンダ・イデミツ)がもたらして以来のポールポジションだった。2021年シーズンとしては、ポールポジションはもちろん、フロントロウ獲得も初めてのことである。
予選Q2では、ホルヘ・マルティン(プラマック・レーシング)がオールタイムラップ・レコードを更新するタイムを叩き出し、そのタイムがトラックリミット違反のために取り消された……という状況ではあったが、そうだとしても、ポル・エスパルガロが予選で速さを発揮したことは間違いのないことだった。
ポル・エスパルガロはイギリスGPの予選について、会見でこう振り返っている。
「ここでは気温が低く、グリップが得られている。自分のライディングスタイルをうまく生かすことができている」
ホンダはリヤタイヤのグリップに問題を抱えている。シーズンの序盤には一度、中上がリヤのグリップ改善を理由に2020年型の“最新進化版”シャシーに戻した(その後再び2021年型を使用している)。第9戦オランダGPでは、マルク・マルケス(レプソル・ホンダ・チーム)のバイクには新しいシャシーが投入されているが、中上の説明によれば、新シャシーについては現在、マルク・マルケスのみが使用しているという。
ポル・エスパルガロにとっては現状のホンダRC213Vで自分のライディングスタイルを生かすことができない、という問題に直面していた。
「僕は通常、かなりリヤブレーキを使う。125ccクラス、Moto2クラスなどこれまですべてのバイクでそうだった。僕はチームメイトとは異なるブレーキディスクを使っていた。ディスクを酷使してしまうからだ。KTM時代も、ブレンボのスタッフにはかなり頑張ってもらったよ」
「ホンダは、トラクションと、特に進入時のリヤタイヤ(のグリップ)に問題を抱えている。リヤブレーキをこれ以上使うことはできない。だから、僕はフロントからの転倒が多いし、バイクを止めるのに苦労しているんだ。コーナー立ち上がりではバンク角が深くなり、スピンが多くなってしまう。自分のライディングスタイルを生かすためには、リヤブレーキがほんとに必要なんだ」
「ここでは状況が変わった。ほかのサーキットよりも、グリップがかなり得られているからなんだ」
そして、「明日はまた違った1日になるだろうけれど、今日のポールポジションは優勝にも値するよ」とも述べていた。
そうしてポールポジションからスタートした決勝レースでは、序盤の4周でレースをけん引。兄のアレイシ・エスパルガロとも表彰台争いを繰り広げた。後半はペースを落としたが、今季の自己ベストリザルトの5位でレースを終えた。
ポル・エスパルガロがレース後に語ったところによれば、やはり問題となったのはリヤタイヤだった。レース中盤以降、リヤタイヤの右側が「完全に終わってしまった」という。これは、周回の差はあれど、序盤に転倒したマルク・マルケスを除いてポル・エスパルガロ、アレックス・マルケス(LCRホンダ・カストロール)、中上に共通していた。ただし、イギリスGPではタイヤに問題を抱えた他メーカーのライダーもおり、ホンダだけが苦戦していたと断じることはできないだろう。
むしろ、問題はポル・エスパルガロが「この(リヤにソフトタイヤという)選択は僕たちにとって正しいものだとわかっていても、それが正しい選択ではないべきなんだ」と語っていたところにあるだろう。ポル・エスパルガロを含む全ホンダライダーは、リヤにソフトタイヤを選択している。この選択をしたのは、全ホンダライダーとエネア・バスティアニーニ(アビンティア・エスポンソラーマ)だけだった。
「これは、僕たちが置かれている状況を表すものなんだ。みんな、ほかのメーカーのライダーたちや、表彰台を獲得したライダーたちは(リヤに)ミディアムを使っていた。レースウイークでは、彼らはミディアムタイヤで速く走っていた」
「僕たちはそれができなかった。グリップが不足していたから、ソフトを使う必要があったんだ。それはわかっていたけれど、ここではあまりにもはっきりしていた。通常は硬めのタイヤを使うホンダが、柔らかいほうのタイヤを使っていたのだからね。ミディアムタイヤでは無理だった。これについては取り組んでいるところで、できるだけ早く解決するだろうと思っている。もしできなければ、来年だろう。でも、これは確かに、今の僕たちの弱点なんだ」
ただそれでも、オンライン取材の場に姿を現したポル・エスパルガロは、明るく柔和な表情を浮かべていた。
「(アレイシ・エスパルガロとのポジション争いについて)たくさんの兄弟がいるけれど、表彰台争い、優勝争いを展開した兄弟っていうのはいないんじゃないかな。すごく感動的だったよ」
「レース後、(チームの)スタッフ全員と話した。うれしかったよ。つらい時期を乗り越えてきたからね。みんな、うまくいかない時期を過ごしているんだ。レースでは、ほんとに表彰台に立ちたかった。表彰台を獲得できる力はあったと思うんだ。でも、あれ以上は戦えなかった、と思ってる」
ポル・エスパルガロとしては、状況を踏まえた上で満足のいくレースになった、というところだろう。厳しい見方をすれば、2020年からホンダ全体としての成績は安定したものではなく、今回のレースもポル・エスパルガロ本人が語るように低い気温が一つの要因なのだろう。何か特別なパーツが劇的な変化を生んだわけでもない。ただ、一つの好結果が次につながる勢いを生むこともある。次戦の第13戦アラゴンGPでは、ポル・エスパルガロ、そしてホンダがどんなレースを見せるのだろうか。
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