WEC:ドライブスルーのキャンセルに憤るフェラーリ。アストンマーティンも「おそらく勝てた」
9月1日に決勝レースが行われたWEC世界耐久選手権第1戦シルバーストンにおいて、AFコルセとアストンマーティン(AMR)はドライブスルーペナルティの“キャンセル”によって勝利を奪われたと主張している。
メーカーのテクニカルディレクターによれば、LM-GTE Proクラスの上位を走っていたフェラーリ488 GTE Evoに提示され、その後キャンセルされたドライブスルーペナルティはイタリアのマーキーが勝利を掴む機会を摘んだという。
ジェームス・カラドとアレッサンドロ・ピエール・グィディがシェアするAFコルセの51号車フェラーリは、4時間レースなか2回目に出されたセーフティカーラン中に、別のクルマを追い越したとしてドライブスルーペナルティを科せられた。
ピエール・グィディはこのペナルティの提示後、3周以内に罰を受けるためピットに向かったが、51号車フェラーリがピットレーンに入ってからわずか数秒後、当該ペナルティはキャンセルされている。
レース残り時間45分の時点でペナルティを受けた51号車フェラーリは、ポルシェGTチームの91号車ポルシェ911 RSRと92号車ポルシェ911 RSRに次ぐクラス3番手を走行していた。しかし、ドライブスルーペナルティを消化したフェラーリはピットアウト後に4番手に落ち、最終的に91号車ポルシェから16秒遅れの4位でチェッカーを受けることとなった。
フェラーリの技術責任者を務めるフェルディナンド・カニッツォは「(彼がSCラン中に抜いたとされる)クルマは右側から左側へと動いておらず、最後になってようやく動きだした」と語った。
「我々のクルマはすでにそれを追い越して前に出ていた。(この事実を)私たちがレースコントロールに知らせたとき、彼らは実際に私たちのペナルティを取り消した。だが、それは遅すぎたんだ」
「51号車フェラーリは(実質的に)レースをリードしていて、ドライブスルーペナルティによって25秒を失った。もしこれがなければ、我々には15秒のアドバンテージがあったわけで、レースの勝者になることができたはずなんだ」
「このペナルティを知らされた場合、状況を修正するためには3周分の時間しかない。それは約5分間でありとても充分な時間とはいえないだろう。今回の結果は本当に残念に思うが、我々は諦めることなく今から(今後のシーズン)を楽しみに期待する必要があると考えている」
■GTE Amクラスのアストンマーティンも影響を受ける
一度提示されたペナルティがキャンセルされたこの事件は、LMP2クラスで優勝したクール・レーシングの42号車オレカ07・ギブソンを含む複数のクルマに影響を与えた。
そのなかの1台が、LM-GTE Amクラスの表彰台を争っていたアストンマーティン・レーシングの98号車アストンマーティン・バンテージAMRだ。
AMRのテクニカルディレクターを務めるダン・セイヤーズは、ドライブスルーを行う前に3周のバッファ期間を超えるリスクを負い、さらなるペナルティを覚悟するチームはほとんどいないと説明した。
「(98号車がSCラン中に抜かしたクルマは)トラックから外れていたり、トラックの端を走ったりと、通常のレーシングライン上にはいなかった」とセイヤーズはSportscar365に語っている。
「98号車を含む複数のマシンは当該車の脇を通り過ぎ、それに対してペナルティが出て、結果的にそれは取り消された。(この事件がなければ)我々はおそらく勝てただろう」
「たしかにマイナスの影響はあったが、実際にはなにもできないと思う。このようなことが起きたのはとても残念だよ」
「(ペナルティを消化するまでの)時間が限られているので、多くの場合はそれを実行しなければならない。そうしない場合には、自分たちがこの問題から(確実に)逃れられるという自信を持っていなければならないんだ」
「(今回の件でも)我々はできる限り時間を引き伸ばし、ペナルティの非妥当性を勝ち取らなければならなかった。そして、彼ら(=AFコルセ)はそれを引き出したんだ」
Proクラスを戦う51号車フェラーリと同様に、ピットインを行った後になってペナルティが取り消された98号車アストンマーティン。彼らはAFコルセのフランソワ・ペロード、エマニュエル・コラール、ニクラス・ニールセン組83号車フェラーリ488 GTE Evoに次ぐクラス2位で母国でのレースを終えている。
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