WEC:ダンロップの“リバッジ”にあらず。グッドイヤー、「まったく新しい」タイヤで世界選手権に復帰
2019/2020年のWEC世界耐久選手権でスポーツカーレースへの復帰を果たしたグッドイヤーは、LMP2クラスにおける前任メーカーで姉妹ブランドであるダンロップとは完全に異なるタイヤを持ち込んでいるという。
グッドイヤーのセールス、テストおよび、トラックサポートマネージャーを務めるマイク・マックレガーは、アメリカンタイヤメーカーのWECへの関与はダンロップが2018/19年シーズンまでに行っていた活動の継続事業とみなすべきではないと述べた。
ダンロップは今季もELMSヨーロピアン・ル・マン・シリーズでタイヤ供給を継続している。これはふたつのブランドがシルバーストンで同時開催された異なる耐久レースイベントに参加したことを意味している。
「我々の製品は完全に新しい進化を遂げたものだ」とマックレガーはSportscar365に語った。
「同じコンパウンドはなく、同じ構造でもない。本当にまったく新しいタイヤなんだ」
「我々はアクロン(アメリカ・オハイオ州)に技術本部センターを構えている。そこでは成長、関係、サポート体制が年々強化されているんだ」
「実際、テストプログラムを開始してからは、自分たちがどこに居る必要があるのか、どれだけアグレッシブになれるのかを尋ねる機会があった。他の人たち(ダンロップ)が以前の活動で考えていたものと比較して、我々はこのシーズンに対して、本当に積極的に入り込んでいると感じている」
現在、WECのLMP2クラスには8チームがフルシーズンエントリーしており、このなかでイオタ・スポーツと、同じくイオタがオペレーションを担うジャッキー・チェン・DCレーシング、山下健太を擁して今季シリーズデビューを果たしたハイクラス・レーシングの3チームがグッドイヤータイヤを使用中だ。
また、開幕戦シルバーストンでは、イオタの38号車オレカ07・ギブソンがグッドイヤーのスペシャルリバリーを披露。その直前にはオーストラリアのブラバム・オートモーティブが、グッドイヤーとのグローバル・パートナーシップの締結をアナウンスした。
マックレガーはこのような発表は、グッドイヤーがスポーツカーレースへの取り組みを再びスタートさせたことを示すものだと言う。
「このプログラムは段階的に行われる。我々はまず最初にカムバックしたかった。そして、それが正しいことを確認したかったんだ」
「イオタのカラーリングが発表され、ブラバムとのパートナーシップをアナウンスした。これは私たちが目指す方向性の一部を示しているに過ぎない」
「新しいプロジェクトを初めたとき、それが正しいことかどうかを人々に説得することはつねに困難だが、我々はチームの元に赴き『これは私たちのテストプログラムであり、我々のしたいことのひとつだ。これがそのために供給したい製品なんだ』と説明した」
「グッドイヤーはLMP2での競合ブランド(ミシュラン)と比較するためのベンチマークを行い、これが私たちが必要としている場所であると信じている。とにかく、レースをしているトラックでテストを重ねた」
「(アメリカの)セブリングに行けば、セブリングのレースラップタイムが分かる。そのため、自分たちがどの位置にいる必要があるのかを理解でき、それはチームに自信を与えることになるんだ」
■グッドイヤーはスポーツカーのあらゆるカテゴリーへの参入を検討を重ねている
2019年6月にLMP2プログラムの開始を発表して以来、グッドイヤーは将来に備えてオプションをオープンにしている。この件についてマックレガーは、スポーツカーレースにおける他クラスのプログラムを含まれる可能性があると述べた。
「GT、スポーツカー、耐久レース、それは私たちがやろうとしていることと非常によく合っています」とマックレー。
「特に超高性能のロードカをみると、より速く走るためのタイヤが必要だと気がつく」
「我々は現在のところ、なにに対しても『ノー』と言っていないが、『イエス』とも断言していない。さまざまな市場や機会、分野などを検討し、どれが私たちにとって重点を置くべきものなのかをみているんだ」
「すべての側面を考慮しなければ、スポーツカーレースに戻ってくることはなかったが、そのなかで特定の分野に焦点が当てられているとは言いたくない」
なお、グッドイヤーのモータースポーツディレクターを務めるベン・クローリーは以前、Sportscar365に「“ハイパーカー規定”は我々のブランドにとって興味深いものであり、将来的には『絶対にWECでの存在を拡大したい』と語っていた。
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