「全部喰ってやる」と誓ったカルソニック平峰が見せた怒濤の追い上げと受け継いだ星野一義スピリッツ
2020年シーズンの折り返しとなる第4戦もてぎはウエイトハンデあり、燃料リストリクターあり、300kmの長距離と未知数なレースとなった。もてぎはストップ&ゴーのサーキットであり「ウエイトハンデも燃料リストリクターも効くはず」というのが事前の予想だった。
そのため、ハンデの軽いマシンにとっては後半戦に向けてポイントを稼ぐチャンス。なかでも、GT500の全15台のうち1台だけノーウエイトでもてぎ戦を迎えたカルソニック IMPUL GT-Rにとっては優勝候補筆頭として、なんとしてもビッグポイントを獲りたい一戦だった。
しかし、雨絡みでコンディションがコロコロ変わった予選でカルソニック IMPUL GT-Rはセッティング、タイヤともコンディションにうまくはまらず、Q1ノックアウトの12番手と最悪の結果になってしまう。Q1を担当した平峰はこの結果に心底、反省していた。
「僕らは(クルマが)軽かったのに、予選は思った以上に歯車が合いませんでしたね。ウエイトハンデとかの状況を考えて、いくらクルマが合わなくてもQ1は絶対に通らないといけなかったのにダメだった。監督もチームも今年GT500ルーキーの自分を信じていろいろとアドバイスしてくれているのに、結果という形で示せなかったことが本当に申し訳なかった」
追い抜きが難しいと言われるもてぎはグリッドが重視されるため、12番手からのスタートは優勝争いどころか表彰台も絶望的。平峰もそれが分かっていたからこそ予選で沈んだことを悔やんでいたのだろう。だが、この予選結果にチームは「もっと一緒に話し合ってやらないといけなかったね」と励ましの言葉を受けた。その言葉は平峰の闘争心に火をつける。このままでは終われない平峰は、決勝レース前に星野一義監督にこう宣言したという。
「自分のケツは、自分で拭く」
11台のライバルたちを前に「全部喰ってやる」と意気込んでコクピットに乗り込んだ平峰には予選で沈んだ悔しさは消え、ただ前に行くだけという迷いのないひとつの気持ちが生まれていた。その強い気持ちはレースがスタートしてまもなく、形として現れる。
レース1周目で2台を抜き、2周目にも1台を抜いて9番手にポジションをあげ、8周目には同陣営のMOTUL AUTECH GT-Rも仕留めて8番手へ。セーフティカー明けにも1台、さらに前車の集団バトルの隙を突いて2台をオーバーテイクすると、スタートから19周で4番手までポジションをアップしてみせた。
際だったのは、そのオーバーテイクの仕方だ。さまざまなコーナーでオーバーテイクを見せ、どれも前のクルマの後ろに付くやいなや、一撃でサイドに並びかけたり、キレよくインに飛び込んでいった。
「監督には前から『金魚のフンみたいなことはするな』と言われてきた。(今日のレースで)それだけは言われたくない、なりたくないと思って何も考えずに行きました。予選はうまくいかなかったですが、決勝に関してはセットアップの方向性も間違ってなかったことが分かってよかったです」
ファーストスティントで26周を走り切った平峰は、チームメイトの佐々木大樹へ「最低でも4位、もしかしたら表彰台も行けるかもしれない」という思いとともに、後半スティントへ繋いだ。しかし、レースの世界はそんなに甘くない。
後半を担当した佐々木はピックアップに悩まされ、みるみるうちにポジションは落ち、最終的にカルソニック IMPUL GT-Rはグリッドと同じ12位でレースを終えた。レース後の平峰に今日のレースについてどうだったかと問いかけると、少し沈黙した後「言葉にならない」と言った。
「ライバルを追い抜いていくレースは楽しいです。決勝前に監督にも言ったように抜いてくるのが僕の最低限の仕事でした。ファーストスティントでは同じニッサン陣営のCRAFTSPORTS MOTUL GT-RやMOTUL AUTECH GT-Rともクリーンなバトルができた。その部分はよかったと思います。でも今回は、今回こそはチームにポイントを持って帰りたかった……」
ルーキーらしく何も気にせずとにかく前を攻める姿勢と思い切りのいいドライビングで、抜きにくいと言われるもてぎで7台抜き(内1台はクラッシュでリタイア)をしてみせ、カルソニック IMPUL GT-Rが持つポテンシャルをうまく引き出した平峰。あとは、ポイントを獲得するだけだ。残り4戦でここまで失ってきたものを取り戻すことができるか。次戦の富士こそは“ノーハンデ”という武器を活かしてくれることを期待したい。
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