【東京五輪・2020への予習ノート 】U-17日本のキーマンは「背番号5」…“友人の思い”を背負って戦うDF菅原由勢/第8回
サッカーキング2017年10月6日(金)7時0分
メンバー発表会見で森山監督が「どのポジションでも高いレベルでこなすことができる選手」と評価していた菅原 [写真]=川端暁彦
10月6日に開幕を迎えるU-17ワールドカップ。U-17日本代表も8日のホンジュラス戦から世界舞台での戦いをスタートさせることになるが、そのキーマンをあえて一人だけ挙げるとしたら、誰だろうか。いろいろな名前が出るだろうけれど、個人的にはDF菅原由勢(名古屋グランパスU-18)を挙げておきたい。「背番号5」を託されたこの男が、日本の命運を左右するのではないか。そんな予感がしている。
「みんな緊張して集合してくるのかなと思っていたら、いつもどおりに明るく、うるさく盛り上がっています」
日本での直前合宿、菅原にチームの様子を尋ねたら、朗らかなこんな答えが笑顔とともに返ってきた。彼の言う「うるさく盛り上がる」中心にいるのも間違いないこの男である。ムードメーカーというか、チームの雰囲気をリードしていくペースメーカーのような選手だ。オフ・ザ・ピッチでは専ら飄々としている雰囲気を醸し出しつつ、いざピッチに立てば誰よりも戦う姿勢を前面に押し出してくるファイターとなる。
それでいて賢さもあって、試合全体のことを観ながらのプレー選択もできて、中盤や前線に鋭くパスを入れていく能力もあるのだから、森山佳郎監督が「どこのポジションに置いておいても信頼できる」と口にするのも当然だろう。国内合宿最終日に行われた練習試合で福岡慎平主将(京都サンガU-18)が負傷してしまったため、急きょ関係者とサポーターに向かっての挨拶を振られたときも、しっかりきっちり完璧にこなしてみせたのは印象的だった。
周囲からの信頼も厚い。守備陣の柱であった瀬古歩夢(セレッソ大阪U-18)は大会直前に負傷、残念ながら選外となってしまったが、自分が大会に出られないことを悟った瀬古は、菅原にこんなメッセージを送っていた。
「俺の5番を背負ってくれ」
これは森山佳郎監督も同じ考えだった。「瀬古にも聞いたんですが、ぜひ菅原に託したいということだった」ため、ずっと瀬古が背負ってきた「5番」は菅原に託されることとなった。
「瀬古とは中1のときからずっと一緒にやってきていて、一緒にこの大会に出ようと頑張ってきた。うれしかったというか、『瀬古の分までやらないないといけないんだ』という思いがまた強くなった」(菅原)
大切な友人から託された番号を背にして、菅原はピッチに立つ。ディフェンスラインのすべてのポジションで起用される可能性を持つ稀有なマルチロールだが、「どこで出てもやってくれる」(森山監督)選手である。「サイドバックなら日本人が苦手とか言われる一対一で絶対に仕掛けられるんだというところを見せたいし、対人も絶対に負けたくない」と意気込んだ。
照れもあったのだろう。瀬古には「『お前の5番で輝いたるわ』みたいにちょっと冗談っぽく返した」といって笑うが、夢舞台を目前にして諦めなくてはいけなかった大切な友人の気持ちを背負う覚悟は当然のように胸に秘めている。
「チーム立ち上げのときから『このU-17W杯で優勝するためにトライしよう』とみんなで言い合ってやってきたチームですから」(菅原)
涼しげに言い切った言葉には、確かな力がこもっていた。
文=川端暁彦
「みんな緊張して集合してくるのかなと思っていたら、いつもどおりに明るく、うるさく盛り上がっています」
日本での直前合宿、菅原にチームの様子を尋ねたら、朗らかなこんな答えが笑顔とともに返ってきた。彼の言う「うるさく盛り上がる」中心にいるのも間違いないこの男である。ムードメーカーというか、チームの雰囲気をリードしていくペースメーカーのような選手だ。オフ・ザ・ピッチでは専ら飄々としている雰囲気を醸し出しつつ、いざピッチに立てば誰よりも戦う姿勢を前面に押し出してくるファイターとなる。
それでいて賢さもあって、試合全体のことを観ながらのプレー選択もできて、中盤や前線に鋭くパスを入れていく能力もあるのだから、森山佳郎監督が「どこのポジションに置いておいても信頼できる」と口にするのも当然だろう。国内合宿最終日に行われた練習試合で福岡慎平主将(京都サンガU-18)が負傷してしまったため、急きょ関係者とサポーターに向かっての挨拶を振られたときも、しっかりきっちり完璧にこなしてみせたのは印象的だった。
周囲からの信頼も厚い。守備陣の柱であった瀬古歩夢(セレッソ大阪U-18)は大会直前に負傷、残念ながら選外となってしまったが、自分が大会に出られないことを悟った瀬古は、菅原にこんなメッセージを送っていた。
「俺の5番を背負ってくれ」
これは森山佳郎監督も同じ考えだった。「瀬古にも聞いたんですが、ぜひ菅原に託したいということだった」ため、ずっと瀬古が背負ってきた「5番」は菅原に託されることとなった。
「瀬古とは中1のときからずっと一緒にやってきていて、一緒にこの大会に出ようと頑張ってきた。うれしかったというか、『瀬古の分までやらないないといけないんだ』という思いがまた強くなった」(菅原)
大切な友人から託された番号を背にして、菅原はピッチに立つ。ディフェンスラインのすべてのポジションで起用される可能性を持つ稀有なマルチロールだが、「どこで出てもやってくれる」(森山監督)選手である。「サイドバックなら日本人が苦手とか言われる一対一で絶対に仕掛けられるんだというところを見せたいし、対人も絶対に負けたくない」と意気込んだ。
照れもあったのだろう。瀬古には「『お前の5番で輝いたるわ』みたいにちょっと冗談っぽく返した」といって笑うが、夢舞台を目前にして諦めなくてはいけなかった大切な友人の気持ちを背負う覚悟は当然のように胸に秘めている。
「チーム立ち上げのときから『このU-17W杯で優勝するためにトライしよう』とみんなで言い合ってやってきたチームですから」(菅原)
涼しげに言い切った言葉には、確かな力がこもっていた。
文=川端暁彦
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