F1 Topic:ブラジルGPで優勝したハミルトン、パワーユニットのトラブルでリタイア寸前だった
F1第20戦ブラジルGPで逆転勝利を飾ったルイス・ハミルトンだが、レース後、メルセデスのトト・ウォルフ(メルセデス・ベンツ・モータースポーツ責任者)は「レース終盤はエンジンに深刻なトラブルを抱え、リタイアを覚悟していた」ことを明かした。
「私はドライバーとレースエンジニアとの無線だけでなく、ガレージ裏のテレメトリー室で会話しているエンジニアたちとの無線も聞く立場にあって、常時10チャンネルの無線に耳を傾けているのだが、その無線のひとつから信じられない会話が飛び込んできた。『ルイスのパワーユニットはいつ故障しても不思議でない。次の周に壊れてしまうかもしれない』とね」
「そこで私はボリュームを上げて、『ちょっと、いま何と言ったんだ?』と尋ねたら、『パワーユニットに深刻な問題が発生していて、最善を尽くしますが、いつリタイアするかわからない』と返信がきたんだ」
レース中盤の40周目にマックス・フェルスタッペン(レッドブル)に、楽々とオーバーテイクされたのは、すでにこの時点でメルセデス陣営はハミルトンを優勝させることよりも、リタイアしないで完走させることを優先していたからだった。
ウォルフはさらにこう続けた。
「幸い、次の周に壊れることはなかったので、私は彼らに仕事に集中してもらうため、しばらく黙っていた」
このとき、ハミルトンが抱えていた問題とは、排気温度だった。
「エキゾーストパイプが壊れる寸前だと言っていた。完全に限界を超えている、と。彼らはハミルトンにエンジンのセッティングを変更してもらうとともに、ドライビングも変えてもらって、排気温度を下げる努力をして、なんとか1000℃を切ることができたが、それでもまだ980℃あった」
排気温度は1000℃超えて使用していた時期も過去にあったが、現在は935℃あたりに抑えられていると言われている。それは1000℃を超えるとタービンが壊れてしまうからだ。
果たして、エンジンは最後まで壊れることなく、71周のレースをハミルトンはトップでフィニッシュした。ウイニングランの後、パルクフェルメにマシンを停めたハミルトンがチームスタッフたちの中へダイブしたのは、決して大げさなことではなく、この日の勝利を仲間たちとともに祝福したい一心で行なった自然の行動だった。
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