2024年に登場予定、アルピーヌLMDhの開発が加速。要因に“先行する”アキュラの存在
アルピーヌ・レーシングのエグゼクティブディレクターであるブルーノ・ファミンは、オレカとシャーシ提携を結んでいるアキュラが来年1月の新型プロトタイプのデビューに近づくにつれ、ルノーブランドの2024年型LMDh車の開発が「加速している」と語った。
アキュラがIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権の2023年開幕戦である『デイトナ24時間レース』に間に合うよう、LMDhのホモロゲーション取得を支援したオレカの仕事と、フェラーリ296 GT3の組み立てやヘッドクォーターの拡張は、フランスのシャシーコンストラクターが今年いくつかのタスクを優先するように促した。
しかし、ファミンはSportscar365に対し、アキュラの新型プロトタイプマシンである『アキュラARX-06』が北米スポーツカーシリーズの参戦承認が近づいている現在、アルピーヌはさらなる飛躍を遂げつつあると述べた。
LMDhメーカーは、指定された4つのLMP2シャーシサプライヤーのうちのひとつと提携してマシンを開発しなければならない。アルピーヌとアキュラはオレカを、BMWとキャデラックはダラーラを選択した。この他、ランボルギーニはリジェを、ポルシェはマルチマチックとパートナシップを結んでいる。
まだ名前のないアルピーヌLMDhは、2024年のWEC世界耐久選手権のハイパーカークラスにフル参戦する予定だが、カスタマーチームとともにウェザーテック選手権に登場する可能性もある。
「作業は順調だ」とファミンは語った。「アキュラは今、軌道に乗っておりエンジンの統合やエアロなど、すべての分野でオレカとともに順調に進んでいる」
「“加速している”と言ってもいい。ボッシュのハイブリッド・システムが100%完璧でなかったことは周知の事実だが、彼らが行っているすべてのデバッグは、我々にとって非常にやりやすくなっている」
「2023年に(プログラムを)スタートできれば非常にハッピーだったが、2024年にスタートできることも、とても幸せなことだ」
アルピーヌは、LMDhの最初のロールアウトをいつ行うかについてまだ情報を明かしていない。ファミンはこの件について、今年末までにテストが行われることはないと確認した。
「できるだけ早く、2024年のチャンピオンシップに間に合わせる、という考えだ。その後、このようなことを発表するのは、我々のコミュニケーションプランの一部となるだろう」
「当面は順調に進んでおり、2024年のWECプロローグ(開幕前の公式テスト)までにできるだけ多くのテストを行えるよう、可能な限り早くロールアウトしたい。我々はそのスケジュールどおりに作業をしている」
■搭載エンジンは未発表ながら、F1の技術は活用と認める
アルピーヌのエンジンダイノ試験は、少なくとも今年6月から行われていることが知られており、同時にシミュレーターテストも実施されている。
フランスのブランドは、LMDhエンジンのレイアウトもまだ明らかにしていないが、ロードカーの搭載ユニットと連動したものではなく、特注のパワーユニットに傾注しているようだ。
アルピーヌの現在のフラッグシップ・スポーツカーである『A110』は1.8リッター直列4気筒エンジンを搭載している。しかし、これはLMDhを走らせるにはチューンをしても充分なパワーを生み出すことが難しいと考えられる。
ファミンは、アルピーヌがボッシュの電気モーター、ウイリアムズのバッテリー、Xトラック社のギアボックスの使用を義務付けるLMDhのハイブリッドシステムを、ブランドのマーケティング・メッセージとしてもっとも重要な技術要素と考えていると説明した。
「技術的なレギュレーションは、非常に規範的だ」と同氏。
「つまり、500kW以上の出力が必要だということだ。そのためには(パワートレインを)クルマに最適な形で組み込んでいく必要がある」
「ハイブリッドであること、そして電動化がアルピーヌの未来のキーワードであることから、私たちはこの分野に踏み切ったんだ」
「その後のICE(内燃機関)そのもののスペックはまた別の話となる。必要最低限のパワーを出す必要があるからね」
「ハイブリッドシステムによる電動化は、F1での経験による付加価値とノウハウを投入できる場所だ」
「これは将来の標準的なロードカーにリンクするものであり、そこで学んだものはアルピーヌのロードカーに搭載されるより良いパワートレインを開発することにも活かされている」
「モータースポーツを通じて、アルピーヌというブランドを技術的に発展させ、我々のブランドを世界中に広く知られるようにするという戦略だ」
ファミンは、たとえ全車が共通の電動化ユニットを使用するとしても、アルピーヌがハイブリッドシステムの統合と運用に、F1チームのノウハウの一部を活用できることを示唆した。
エンジン側でのF1の関与の度合いについて尋ねると、ファミンは次のように答えた。「もちろん、ICEもそうだ」
「ICEにはF1の技術がかなり入っている。例えば主に燃焼室がそうだ。F1のノウハウがあるからこそ最適化できるんだ」
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