ポール・トゥ・ウインを決めた角田裕毅。レースの満足度も高く「一番メリハリがつけられた」/FIA-F2第12戦
角田裕毅(カーリン)が、2020年FIA-F2第12戦バーレーンのフィーチャーレース(決勝レース1)でポール・トゥ・ウインを果たした。スタート直後の1コーナーで3番手に順位を落とす難しい展開だったが、その後は先行するふたりの走りを冷静に観察し、グリップ力が落ちてきたところを次々に仕留めて首位を奪い返した。
さらにレース後には3位のニキータ・マゼピン(ハイテックGP)が、角田選手を含むふたりへの危険行為でペナルティを科され9位に後退。これで角田選手のドライバーズ選手権4位以上が確定し、スーパーライセンス発給条件を満たすことに。来季アルファタウリ・ホンダからのF1デビューが、ほぼ確実となった。
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──優勝おめでとうございます。なかなか難しいレースだったと思います。
角田裕毅(以下、角田):スタートは悪くなく、ターン1まではなんとか首位をキープできました。でも、そこでインを少し開けたところにマゼピンが来て、先週のこともあったのであまり無理をしないようにしようと思ったら、3番手まで下がってしまいました。ただレースペースはいいとわかってたので、自分のタイヤマネージメント(能力)を信じて走りました。
後半にタイヤをハードに替えてからは、最初の数周で前のふたりのかなり攻めたペースの走り方を見ていて、このままではいかないだろうと思ってタイヤ温存に専念しました。ふたりのペースが落ちたところで仕留めることができました。そこは良かったと思います。
──第1スティントは他車より引っ張っていましたが、ピットのタイミングはどうやって決めましたか?
角田:状況を見ながらでしたね。まだほんの少しタイヤが残ってたので、最後の最後にプッシュをして、マゼピンが入った直後にこれ以上延ばすのも良くないだろうと考え、1周プッシュしてから後に続きました。
──残り12周くらいでロバート・シュワルツマン(プレマ・レーシング)を攻め始めていましたが、メインストレートで抜こうとしたところでクリスチャン・ルンガー(ARTグランプリ)がピットアウトしました。あそこは危なかったですね。
角田:はい。あそこで抜けたかなと思いましたけど、ピットアウトしてくるクルマに対して自分に優先権はないので、下がりました。
──ターン4でインに付いて、ターン5のアウト側から抜いていく。あのあたりも危なげない攻めでした。
角田:そうですね。そこまで苦労をしないで抜くことができました。
──最後のマゼピンとのバトルは、抜きつ抜かれつでした。彼のドライビングはどう感じていますか?
角田:危ないですね。そう思っていたからこそ接触せずに済んだのだと思います。ある程度不安は持ちつつも、DRSで後ろから迫ってくるのは想定して、向こうもさすがに接触するまでは攻めずに、最後は引くだろうと思ったのでそこはうまくいきました。ああいったドライバーには、そんな攻め方が必要だと感じましたね。
──その際はターン4でアウトから仕掛けて、ターン5でインを突いています。それは自分のなかでイメージを持っていたのですか?
角田:いいえ、オーバーテイクするときはそのときの状況次第で対応しています。ブレーキングした瞬間、マゼピンが僕に合わせてきたので、クロスラインを警戒しているんだろうなと思って外から回ってみました。その場で考えた感じです。
──マゼピンとのタイヤのグリップ差はシュワルツマンほど大きくはなかったですか?
角田:(グリップ差は)なかったです。でも終盤になればなるほど、差が広がっていきましたね。
──シーズンの集大成になるような冷静な走りで、攻めるところは攻めるレースができたのではないですか?
角田:はい、そう思います。攻めるところは攻めて、落ち着くところは落ち着く。一番メリハリがつけられたかなと。
──満足度は高いですか?
角田:はい。スタートはちょっとでしたけれど。
──1コーナーのブレーキングでマゼピンを抜こうとして、イン側のトラックリミットを越えたことで審議になりました。ペナルティを出されるという不安はなかったですか?
角田:いえ。マゼピンが内側の白線を越えてまでブロックしてきたことが明白だったので、避けようがないことはスチュワードにもわかってもらえました。
──スーパーライセンスの発給条件を満たして、ちょっとホッとしていますか?
角田:そうですね、ホッとしました。まだ1レース残っていますから、思い切りやれればと。
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