【高校選手権展望】<桐蔭学園>「苦しい3年間」だったからこそ…覚悟のサッカー、真価を大舞台で
サッカーキング2017年12月27日(水)23時16分
神奈川県予選決勝後、応援団と喜びを分かち合った桐蔭学園の選手たち
3年生の意地が結実する形となった選手権だ。県リーグ1部を戦うチームがAチームで、インターハイ予選と選手権予選を戦うチームがBチームという形で2017年を戦って来た桐蔭学園。Aチームは1、2年生のみで、Bチームは3年生全員と3人の2年生のみという編成だった。
横浜FCジュニアユースからユースに昇格することを断って桐蔭学園へやって来た金子大樹は「県リーグは3部を戦っていたからこそ、『自分達はもっとやれる』ということを証明するのがインターハイ予選や選手権予選だった」と語る。ボランチとしてチームの攻撃を司る金子にとって、憧れていた高校サッカーは現実との大きなギャップに苦しんだ3年間だった。
「1、2年生と3年生が別々になる形になって、僕ら3年生は目指すものがかなり制限されてしまった。でも、だからこそ絶対にインターハイ、選手権は出たいと強く思ったし、そのためにサポートしてくれる周りの人たちがいた。それに2年生が3人も僕らと一緒に全国を目指してくれるようになった。そう言う人たちを裏切りたくないし、絶対に結果を残したかった」
インターハイ予選は2次予選2回戦で敗れてしまったことで、金子をはじめとした3年生にとって、『最後の自己主張の場』となった選手権予選だった。この強い想いが、破竹の勢いを与えた。2次予選2回戦から登場すると、湘南に3-2、厚木北に2-1、日大に3-2と1点差ゲームをものにして4強に進出。準決勝ではインターハイ準優勝の日大藤沢を撃破した湘南学院を圧倒し、5-1と完勝を収めた。
決勝の相手はタレント集団・桐光学園。等々力陸上競技場のスタンドには同じ3年生とOB、そして野球部やラグビー部など他の部活動の選手たちが応援に駆けつけ、大きな声援を送っていた。準々決勝まではスタンドで応援する人数も少なく、準決勝もまばらだっただけに、「彼らを選手権の舞台に立たせたい」という熱い想いがスタンドからヒシヒシと伝わり、ピッチからも「絶対に出場権を掴みとる」という気迫が伝わって来た。
しかし、決勝の舞台は彼らに更なる試練を与えて来た。0-0で迎えた68分、主将でCBの原川凌太朗が2枚目のイエローカードで退場し、残り時間を10人で戦わなければならなくなってしまったのだ。しかし、ここからの気迫は凄まじかった。ブロックを敷いて、桐光学園の猛攻を凌いでは、隙を見て2年生MF若林龍、FW森山翔介が労を惜しまぬスプリントでカウンターを仕掛けた。0-0のまま延長戦に突入すると、「原川と試合に出ていないメンバーのためにも最後まで戦うぞ」という蓮見理志監督代行の檄を受けた選手たちがさらなる気迫を見せ、最後まで11人の桐光学園にゴールを許さなかった。PKでは桐蔭学園が全員成功した一方、後攻の桐光学園の5人目のキックが失敗。その瞬間、桐蔭学園の14年ぶり9回目となる選手権出場が決まった。
「正直、かなり苦しい3年間だったけど、報われたと言うか、自分たちの想いを形にすることができた。自分たちで掴みとった選手権だからこそ、全力を尽くしたい」(金子)
彼らにとっては不遇の日々だったが、本気で自分たちを信じてサッカーに打ち込み続けたからこそ掴みとれた選手権だった。3年生についていった若林も「全員で勝ちを目指す。団結力と僕らの本気を全国では見てもらいたい」と語るように後悔は一切無い。覚悟を持ってサッカーに取り組んで来た真価を、待ち望んだ全国の大舞台で惜しげも無く披露する準備はできている。
取材・文=安藤隆人
横浜FCジュニアユースからユースに昇格することを断って桐蔭学園へやって来た金子大樹は「県リーグは3部を戦っていたからこそ、『自分達はもっとやれる』ということを証明するのがインターハイ予選や選手権予選だった」と語る。ボランチとしてチームの攻撃を司る金子にとって、憧れていた高校サッカーは現実との大きなギャップに苦しんだ3年間だった。
「1、2年生と3年生が別々になる形になって、僕ら3年生は目指すものがかなり制限されてしまった。でも、だからこそ絶対にインターハイ、選手権は出たいと強く思ったし、そのためにサポートしてくれる周りの人たちがいた。それに2年生が3人も僕らと一緒に全国を目指してくれるようになった。そう言う人たちを裏切りたくないし、絶対に結果を残したかった」
インターハイ予選は2次予選2回戦で敗れてしまったことで、金子をはじめとした3年生にとって、『最後の自己主張の場』となった選手権予選だった。この強い想いが、破竹の勢いを与えた。2次予選2回戦から登場すると、湘南に3-2、厚木北に2-1、日大に3-2と1点差ゲームをものにして4強に進出。準決勝ではインターハイ準優勝の日大藤沢を撃破した湘南学院を圧倒し、5-1と完勝を収めた。
決勝の相手はタレント集団・桐光学園。等々力陸上競技場のスタンドには同じ3年生とOB、そして野球部やラグビー部など他の部活動の選手たちが応援に駆けつけ、大きな声援を送っていた。準々決勝まではスタンドで応援する人数も少なく、準決勝もまばらだっただけに、「彼らを選手権の舞台に立たせたい」という熱い想いがスタンドからヒシヒシと伝わり、ピッチからも「絶対に出場権を掴みとる」という気迫が伝わって来た。
しかし、決勝の舞台は彼らに更なる試練を与えて来た。0-0で迎えた68分、主将でCBの原川凌太朗が2枚目のイエローカードで退場し、残り時間を10人で戦わなければならなくなってしまったのだ。しかし、ここからの気迫は凄まじかった。ブロックを敷いて、桐光学園の猛攻を凌いでは、隙を見て2年生MF若林龍、FW森山翔介が労を惜しまぬスプリントでカウンターを仕掛けた。0-0のまま延長戦に突入すると、「原川と試合に出ていないメンバーのためにも最後まで戦うぞ」という蓮見理志監督代行の檄を受けた選手たちがさらなる気迫を見せ、最後まで11人の桐光学園にゴールを許さなかった。PKでは桐蔭学園が全員成功した一方、後攻の桐光学園の5人目のキックが失敗。その瞬間、桐蔭学園の14年ぶり9回目となる選手権出場が決まった。
「正直、かなり苦しい3年間だったけど、報われたと言うか、自分たちの想いを形にすることができた。自分たちで掴みとった選手権だからこそ、全力を尽くしたい」(金子)
彼らにとっては不遇の日々だったが、本気で自分たちを信じてサッカーに打ち込み続けたからこそ掴みとれた選手権だった。3年生についていった若林も「全員で勝ちを目指す。団結力と僕らの本気を全国では見てもらいたい」と語るように後悔は一切無い。覚悟を持ってサッカーに取り組んで来た真価を、待ち望んだ全国の大舞台で惜しげも無く披露する準備はできている。
取材・文=安藤隆人
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