高齢男性「俺はそもそも中央の人間だ」とカスハラに自慢を織り交ぜ→周囲から冷笑が漏れる事態に
All About2024年5月1日(水)22時5分
JR東日本がカスタマーハラスメント(カスハラ)に対応しない方針を発表したが、電車に限らず、あらゆる公共の場や職場に「些細なことでイラッとする人」はいる。その怒りの根本にあるのは正義感ではない。
「最近、みんなイライラしていて怖い」と、ある30代の女性は言う。
混んだ電車の中でも職場でも、些細なことでイラッとする人がいて、その「イライラ電波」が波及して雰囲気が悪くなる。そんな空気に自分も毒されていく気がして怯えていると苦笑した。
JR東日本がカスハラに対応しないという姿勢を打ち出した。
「お客様は神様」という絶対的な価値観から逃れなければ、社員や従業員を守っていけないと判断したのだ。サービス業がこうした対応をしていくのは、当然の流れかもしれない。
イベント前から行列ができていたんですが、どうも管理体制がきちんとしていなかったようで、直前になって『こちらに並び直してください』ということになり、最初に来ていた人たちが後ろのほうになってしまった。
それはないでしょという感じですよね」
サトコさん(38歳)が出かけたのは、大規模ではないイベントだったが、それゆえに主催者側が混雑を予測しきれなかったようだ。6歳と4歳の子を連れていったサトコさんだが、列の並び直しにともなって子どもたちがしびれを切らした。
「せっかく行ったけど帰ろうかと思っているとき、前のほうで『ふざけんな』という怒号が聞こえたんです。見ると孫を連れたらしい高齢男性が『こっちは最初から並んでるんだ』とスタッフに詰め寄ってる。
まあ、そりゃ怒るよねと思ったけど、『だいたいおまえら、誰のおかげで(飯が)食えてんだ』と言いだして、あらら……と」
その高齢男性の「悪意をまき散らす言動」に我慢ができなくなったサトコさん、つい前に出て行って「主催者に落ち度はあるけど、そんなに怒ることもないでしょうが」と言ってしまった。
「そういうことをうっかり言っちゃうのが私の悪い癖なんですが、何人もで頭を下げ続けるスタッフが気の毒になっちゃって」
その男性、「俺はそもそも中央の人間だ」とも言っていたそう。官僚でもしていたのだろうか。とはいえ、イベント会場でどういう自慢なのかとさすがに周りからも冷笑が漏れたそうだ。
「おじいちゃん、孫の前で虚勢を張りたかったのか、ずっとそうやって生きてきたのか。わからないけど高齢男性が威張り倒すのは嫌な光景でした」
高齢になると怒りのストッパーがはずれてしまうというが、いくつになっても社会的存在でありたいものだ。
アキエさん(43歳)は自身が遭遇した場面を教えてくれた。
「先日もいましたよ、自分が不当な目にあったことを叫びながら訴えている女性。どうやら彼女が買ったあとでタイムセールになった品物があったと近所の人が教えてくれたようで、今から値段を引けと談判していたようです。
でも彼女が来たのは午後3時、近所の人が来たのはその日の夜7時、そして彼女がクレームをねじ込んだのは翌日。
レシートを持ってきてはいたけど、すでに食べてしまった刺身なんですって。全然筋が通らない話ですよね。タイムセールの商品を買ったのに、なぜか自分だけ割引が適用されなかったという話ならともかく」
「親戚のアラ還女性にもいるんですが、怒ることが社会のためみたいな妙な正義感をもっているケースがある。イラッとすると止められない、場を考えずに叫ぶのは、むしろいいことだと思い込んでるみたい。
誰かが言わなきゃいけないのよと言っていますが、彼女の場合は明らかに私憤。
義憤にかられてというならまだしも、個人的な怒りを押し通すのは違うと思うよと言ったら、『そうやって女が黙って我慢するから、こんな世の中になったんでしょ』と。女が〜という問題でもないと思うし(笑)」
イラッとしたらグッと抑える。文句を言いたいときは、これは言うべきことかどうかを考える。言うなら言い方を考える。それがクレームの三原則だと親戚女性を見ていて思いますと、アキエさんは冷静に言った。
※参考:カスタマーハラスメントに対する方針(2024年4月、JR東日本)
(文:亀山 早苗(フリーライター))
混んだ電車の中でも職場でも、些細なことでイラッとする人がいて、その「イライラ電波」が波及して雰囲気が悪くなる。そんな空気に自分も毒されていく気がして怯えていると苦笑した。
JR東日本がカスハラに対応しないという姿勢を打ち出した。
「お客様は神様」という絶対的な価値観から逃れなければ、社員や従業員を守っていけないと判断したのだ。サービス業がこうした対応をしていくのは、当然の流れかもしれない。
公共の場で大声を出す高齢男性の言い分
「先日遭遇したのは、とある商業施設での子ども向けイベントで主催者をなじる高齢男性。イベント前から行列ができていたんですが、どうも管理体制がきちんとしていなかったようで、直前になって『こちらに並び直してください』ということになり、最初に来ていた人たちが後ろのほうになってしまった。
それはないでしょという感じですよね」
サトコさん(38歳)が出かけたのは、大規模ではないイベントだったが、それゆえに主催者側が混雑を予測しきれなかったようだ。6歳と4歳の子を連れていったサトコさんだが、列の並び直しにともなって子どもたちがしびれを切らした。
「せっかく行ったけど帰ろうかと思っているとき、前のほうで『ふざけんな』という怒号が聞こえたんです。見ると孫を連れたらしい高齢男性が『こっちは最初から並んでるんだ』とスタッフに詰め寄ってる。
まあ、そりゃ怒るよねと思ったけど、『だいたいおまえら、誰のおかげで(飯が)食えてんだ』と言いだして、あらら……と」
高齢男性「俺はそもそも中央の人間だ」
そのうちにおまえじゃ話にならない、責任者を出せだのSNSで拡散してやるだのと脅迫まがいの言葉の数々が乱れ飛んだ。その高齢男性の「悪意をまき散らす言動」に我慢ができなくなったサトコさん、つい前に出て行って「主催者に落ち度はあるけど、そんなに怒ることもないでしょうが」と言ってしまった。
「そういうことをうっかり言っちゃうのが私の悪い癖なんですが、何人もで頭を下げ続けるスタッフが気の毒になっちゃって」
その男性、「俺はそもそも中央の人間だ」とも言っていたそう。官僚でもしていたのだろうか。とはいえ、イベント会場でどういう自慢なのかとさすがに周りからも冷笑が漏れたそうだ。
「おじいちゃん、孫の前で虚勢を張りたかったのか、ずっとそうやって生きてきたのか。わからないけど高齢男性が威張り倒すのは嫌な光景でした」
高齢になると怒りのストッパーがはずれてしまうというが、いくつになっても社会的存在でありたいものだ。
叫ぶ中年女性の筋違いな主張
どんなやりとりがあったのかわからないが、時折スーパーなどで見かけるのが「叫ぶ中年女性」だ。高齢男性と違って脅したり虚勢を張ったりしているわけではなく、ただひたすら「嘆き叫ぶ」のが特徴かもしれない。アキエさん(43歳)は自身が遭遇した場面を教えてくれた。
「先日もいましたよ、自分が不当な目にあったことを叫びながら訴えている女性。どうやら彼女が買ったあとでタイムセールになった品物があったと近所の人が教えてくれたようで、今から値段を引けと談判していたようです。
でも彼女が来たのは午後3時、近所の人が来たのはその日の夜7時、そして彼女がクレームをねじ込んだのは翌日。
レシートを持ってきてはいたけど、すでに食べてしまった刺身なんですって。全然筋が通らない話ですよね。タイムセールの商品を買ったのに、なぜか自分だけ割引が適用されなかったという話ならともかく」
個人的な怒りを「社会のため」と正当化
まったく道理に合わない話でイライラをぶつける人たちは、怒りをコントロールできないという以前に、沸点が低すぎるのではないかとアキエさんは言う。「親戚のアラ還女性にもいるんですが、怒ることが社会のためみたいな妙な正義感をもっているケースがある。イラッとすると止められない、場を考えずに叫ぶのは、むしろいいことだと思い込んでるみたい。
誰かが言わなきゃいけないのよと言っていますが、彼女の場合は明らかに私憤。
義憤にかられてというならまだしも、個人的な怒りを押し通すのは違うと思うよと言ったら、『そうやって女が黙って我慢するから、こんな世の中になったんでしょ』と。女が〜という問題でもないと思うし(笑)」
イラッとしたらグッと抑える。文句を言いたいときは、これは言うべきことかどうかを考える。言うなら言い方を考える。それがクレームの三原則だと親戚女性を見ていて思いますと、アキエさんは冷静に言った。
※参考:カスタマーハラスメントに対する方針(2024年4月、JR東日本)
亀山 早苗プロフィール
明治大学文学部卒業。男女の人間模様を中心に20年以上にわたって取材を重ね、女性の生き方についての問題提起を続けている。恋愛や結婚・離婚、性の問題、貧困、ひきこもりなど幅広く執筆。趣味はくまモンの追っかけ、落語、歌舞伎など古典芸能鑑賞。(文:亀山 早苗(フリーライター))
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