賃貸の入居、年齢を理由に断られないのは60代まで。専門家が教える、終の棲家を探すときのポイント。取り壊しの有無、病院への交通アクセスなど
(写真提供:Photo AC)
2023年に厚生労働省が発表した「人生の最終段階における医療・ケアに関する意識調査」によると、人生の最終段階における医療・ケアについて、半数以上の人が「考えたことがある」と回答したそう。そのようななか今回は、お金や住まいに困らず、将来すんなり逝くための「ダンドリ」について専門家に解説していただきました。司法書士の太田垣章子先生いわく「住むところを見つけるなら、60代でどれだけ準備できるかが勝負」だそうで——。
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60代のうちに「終の棲家」のめどをつけよう
60代になると定年を迎えて定期収入がなくなったり減ったり、ローンも組みにくくなり、一気に選択肢が狭まってきます。
住むところを見つけるなら、賃貸にしても持ち家にしても収入の安定している60代でどれだけ準備できるかが勝負になります。
物件価格が高騰し続けている東京都で、余裕をもって家を買える人はほんの一握りです。
そうなると賃貸を選ぶ人も多くなり、気軽に住み始められることから、今後はますます高齢者の住宅問題が増えてくるでしょう。
ただ高齢者になってからも簡単に部屋を借りられるようになるとは思えないので、賃貸物件を検討している人は早めの備えが必要です。
具体的には賃貸に長年住んでいる人も、老後は持ち家を売って賃貸に移ろうと考えている人も、60代後半までには自分の荷物や財産を整理して、これくらいの賃貸なら100歳まで生きても払い続けられると思える「終の棲家」を見つけ、早めに引っ越しておくことが大事です。
60代のうちであれば、年齢だけを理由に入居を断られることはまだないでしょう。家賃保証会社の加入で、身内の連帯保証人まで求められることも少ないはずです。
そうして一度入居しておけば、トラブルを起こさない限り、住み続けることができます。
持ち家と違って、備品が故障した場合には家主側が修繕してくれる点も安心です。
『好き』を探す
終の棲家を探すときに、ひとつ注意してほしいことがあります。それは引っ越し先が10年、20年で取り壊しや建て替えにならないか、という点です。
最後に住む家は、自分の寿命より長持ちしそうな物件を選ぶようにしてください。
住むエリアで『家』にかかる費用も大きく変わるので、自分のセカンドライフプランは早めから意識しているほうが良いでしょう。
現役時代は仕事が中心なのでアクセス重視ですが、毎日通勤しないのであればスーパーや病院など生活の利便性が重要になってきます。
故郷や昔転勤で住んでいた場所、学生時代を過ごした地、旅行で気に入った地など、楽しみながら終の棲家のためのエリア探しをしてみませんか。
試し住みも、賃貸物件なら気軽です。
子どもの校区なんて考えなくてよくなった世代ですから、ぜひご自身の『好き』を探してみてください。
郊外なら地価も下がるでしょうから、高齢者に快適な平屋を建てやすくなるでしょう。
おひとりさま
「おひとりさま」なら、頼れる身内が近くに住んでいる物件を選んだり、身元保証や高齢者サポート等をしてくれる存在の確保をしたりすることも検討しましょう。
自分が認知症になったり、病気になったりしても、すぐに来て対応してくれる存在がいるとなれば、家主側も安心して貸すことができますし、自分自身も心強いはずです。
見守りサービスを利用すれば、万が一のときもすぐに見つけてもらえるので事故物件にもなりません。
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今はそのような事業者もたくさんできているので、若いうちからサービスの内容を確認しておくことが重要です。
サポート費用はかかりますが、人に動いてもらう以上仕方がありません。
費用を払って、安心を買う時代に入った(家族を頼らない)と割り切りましょう。
経済力や任意後見手続き、見守り等で、家主側の不安をカバーできます。そこまで備えておけば、貸さない人はいないはずです。
UR賃貸住宅
また「UR賃貸住宅」は平均月収額が月々の家賃額の4倍以上あれば(家賃額6万2500円未満の場合)、年齢は問題になりませんし、保証人も不要で借りられます。
礼金、仲介手数料も不要で、契約は自動更新、更新料もなしに住み続けることができます。
月収がなくても貯金が月々の家賃額の100倍あるか、家賃を1年分前払いするかのいずれかの条件を満たせば入居できます。
このように賃貸であっても持ち家であっても、お金さえあれば何とかなることばかりです。
誰しもが、必ず老いて死にます。
生きる基盤である『住』をどうするかを考えることは、『生きる』ことを考えることでもあります。
少子高齢化の社会では、とにもかくにもお金を貯めて若いうちから備えておくことが大切です。
※本稿は、『死に方のダンドリ 将来、すんなり逝くための8つの準備』(ポプラ社)の一部を再編集したものです。
婦人公論.jp
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