「ウナギ食べるの極力控えて」絶滅危惧種なのに2.7トン廃棄、流通経路にも不審な点 環境団体が調査
ニホンウナギの絶滅が危惧される中、ウナギの蒲焼きが、2017年の1年間で少なくとも2.7トン廃棄されていたことが国際環境NGO「グリーンピース・ジャパン」の調査で明らかになった。
同NGOは6月4日、「不透明なウナギ調達の実態」という報告書を発表。スーパー大手が、自社で販売しているウナギが不正取引されたものでないかどうかきちんと把握できていないということもわかった。
ニホンウナギしかないはずなのにアメリカウナギが混入
調査は、イオン、イトーヨーカドー、西友、ダイエーなど18社を対象に実施。イズミヤとフジを除く16社から回答があった。
昨年、消費者に購入されずに処分したウナギ商品があるかどうか聞いたところ、「なし」と回答したのはパルシステムとヤオコーの2社だけで、ダイエーやイオンを含む12社では廃棄されている商品があることがわかった。廃棄の量は、処分量について回答があった5社だけで、ウナギ1万3650匹に相当する約2730キログラムに上る。
同報告書は、絶滅危惧種を廃棄していることについて、
「個体数の回復に努めるべきであるにもかかわらず、大量販売を継続するばかりか、本来の目的である食用に供されることなく、捨てている事実は、絶滅の危機に瀕した生物を無駄に消費していることに他なりません」
と指摘している。
また販売しているウナギの種を尋ねたところ、ユニーやオークワを含む11社は、ニホンウナギのみを販売していると回答した。しかしグリーンピースがDNA検査を行ったところ、ユニーとオークワで販売されているウナギにアメリカウナギが混ざっていることが判明した。
オークワは、仕入れているウナギがニホンウナギであることを輸入時に確認するとともに、外部機関のDNA鑑定でもチェックしているが、それにも関わらず、アメリカウナギが混入していたことになる。調査を担当したグリーンピース・ジャパンの小松原和恵さんは、
「ウナギの流通過程には不透明な部分が多く、どこかの段階でアメリカウナギが混ざったのだと思います。今回の混入がどの段階で起きたのかはわかりませんが、稚魚が採捕されてから、養殖池に入るまでの過程では、不正な採捕や密輸、密売が起きていると推測されています」
と説明している。
「販売しているスーパーに対して、声を上げてほしい」
調査では「IUU漁業や不正取引に関与していないことが保証できる商品」がどの程度あるかも尋ねた。「IUU漁業」とは、違法(Illegal)、無報告(Unreported)、無規制(Unregulated)に行われる漁業のことだ。
イオンを含む9社は「保証できる商品がない」と回答しており、「不明」や「確認不可」も1社づつある。計11社で、不正取引があるかどうかわからない状態で販売されていることになる。
オークワは、全ての商品が不正取引に関与しておらず、サプライチェーンが明確だと答えているが、実際にはニホンウナギの中にアメリカウナギが混入していることが発覚した。不正取引の有無を把握していない企業が多いうえ、不正が無いと主張している企業でも真偽のほどが疑わしいのが現状だ。
こうした状況に対し、消費者はどのように行動すればいいのだろうか。小松原さんは、次のように呼びかけている。
「不正取引が横行している現状や個体数の減少を考えると、食べるのを極力控えた方がよいのではないと思います。状況を改善する方法としては、販売しているスーパーに対して、声を届けることが大切です。ウェブサイトから問い合わせたり、店舗のアンケート用紙に記入するだけでいいので、誰でも手軽に行うことができます」
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