学校の宿題って本当に必要?宿題大国の福井県に住んで感じたこと ただの苦役になっては意味がない
千代田区の麹町中学校が、今まで"当たり前"とされてきた宿題や期末テスト、担任制などの教育制度を廃止して話題になりました。しかも、着実に学力が身についており、成果が出ているといいます。
僕の住む福井県は小学校、中学校の学力テストが全国トップクラス(2018年の小学生は3位、中学生は1位)ですが、宿題がとにかく多いのです。長女と次女が通う小学生では毎日必ず宿題が出され、夏休みになれば溢れるほどの宿題を持って帰ってきます。
東京出身の僕は、帰ってきたらすぐに遊びにでかける小学生でしたし、子どもたちも「宿題が多い」と不満をもらしています。はやく遊びたいがために宿題を作業のようにこなしたり、遊んだり会話したりしながらしています。宿題は本当に必要なのでしょうか。(文:ちばつかさ)
子どもにとって宿題=苦役 漢字の書き写しは先に全部ひらがなを書いて、漢字を書く子どもたちをみると、帰宅するとすぐに宿題に取り掛かります。ノートにぴっちり漢字や文章を書き写し、算数のドリルなどをこなし、毎日親が音読チェックをします。夏休みにも「夏休みの友」なる宿題があります。
この大量の宿題をこなす姿をみていると「ん?」と思うことがあります。それは、子どもたちが"早く終わらせるための技"を使っているのです。例えば、漢字の書き写しなら、ひらがなだけ先に全部書いて後から漢字を書くとか、宿題=作業になってしまっています。
実際、子どもたちにとって宿題は「苦役」くらいにしか思っていません。一方、東京の麹町中学校は「宿題は学ぶためにあるもので作業ではない」という目的の履き違えを訴え改革をし、成果を収めています。
つまり、何のためにやっているのかを理解していれば、苦役ではなくなるのです。宿題を"する"ことと宿題を"こなす"ことでも意味合いが変わってくるし、どのように勉強に向かい合っていけばよいかは親としての疑問でもあり課題です。
宿題しろ!とは言わない。子どもは大人が楽しそうにやっていることをしたがる学力面でいうと、福井県は教育方針として「ていねいな教育」「きたえる教育」を掲げ、先生たちも"塾にいかなくても大丈夫なように"と教育に向かい合っています。また、三世代同居率もトップクラスで、僕は妻の実家で同居しています。みんなで教育のサポートができるため、学力の向上が実現しているのかもしれません。
ただ、宿題については、量をこなし、採点・評価。この流れはどうしても単純労働と結びついてしまいます。もちろん基礎づくりとして量をこなすことは必要かもしれませんが、特化しすぎると点数を獲得するための勉強になってしまいます。
宿題もそうだし、「何かを必死にこなすことで何かを獲得する体験」は今後の人生に活きていきますよね。でも、それだけでなく「自分で考えて自分で改善したり行動したりする」という創造性も必要です。夏休み自由研究なんて特に頭を使うと思います。
宿題を通じて、子ども自身が何を得ることができるのか、なくすことでどんな効果が得られるのかを考えることが大切です。親たちはこのバランスをとって、絵が得意であるとか、数学がずば抜けてできるとか特性にあった教育も組み込まなければいけないのかもしれません。
移住したばかりの頃は宿題の多さに疑問を持ちましたが、「宿題やりなさい!」という押し付けは親や教育のエゴかもしれないから、言わないことにしています。子どもって「やれ!」と言われるとやらないけど大人が楽しんでいることはやりたがる。だから僕は「読書楽しいよ」「いろんな経験するのっていいよ」ということを目の前でやってみせることにしています。
教育は正解がなくて、正解がないからこそ難しい。柔軟に見極めながら親子ともども勉強に向かい合っていくのが大切なのかもしれませんね。宿題の有無については、どう思いますか?
【筆者プロフィール】ちばつかさ
柔道整復師、メンタルケア心理士、元プロ野球独立リーガー。東京と福井で投げ銭制の接骨院「小道のほぐし接骨院」を経営しのべ10万人近くの体と心と向き合う。野球経験を活かし都内で"野球を教えない"野球レッスンも運営。【公式サイト】
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