義務教育学校、満足度高い施設は一体型…国立教育政策研究所
リセマム2018年8月10日(金)14時15分
国立教育政策研究所は2018年8月9日、「義務教育学校等の施設計画の推進に関する調査研究」報告書を公表した。施設面の満足度は一体型がもっとも高かったが、隣接型や分離型でも改修などで施設的な工夫を行っている学校の満足度は高い傾向にあった。
小中一貫教育を進めるにあたっては、運営面のみならず、施設的な配慮も重要となる。文部科学省では、2015年に小中一貫教育に適した学校施設の基本的考え方や計画・設計の留意事項を施設形態ごとに示した「小中一貫教育に適した学校施設の在り方について」を取りまとめている。今回の調査研究では、小中一貫教育の施設整備の効果や実態などを分析した。
施設面の総合的な満足度を4段階で評価した結果は、一体型がもっとも高く、隣接型、分離型と続いた。肯定的な受け止めは、一体型77.2%に対し、隣接型は31.5%、分離型は25.9%にとどまった。
報告書では、「一体型は小学校段階と中学校段階の物理的な距離が近いため、小中一貫教育を運営しやすく、施設的な効果も感じやすいという一般的な想定が裏付けられる形となった」と解説。一体型は新改築により整備されている割合が高いため築年数が比較的浅く、児童生徒数あたりの保有面積も比較的余裕があるという。
分離型は物理的な距離感による運営面のハードルに加え、小中一貫教育のための施設整備を行わずに築30年を超える校舎を使用しているケースも多く、児童生徒数あたりの保有面積も比較的小さい傾向にあることが満足度が低い要因として考えられるという。
詳細な施設形態別の満足度の分布をみると、同じ一体型でも、「渡り廊下がなく校舎が完全に一体となっている」施設は学校によって評価が分かれた。その一方、「渡り廊下などでつないだ」施設は学校によらず、肯定的な評価がなされた。
また、施設面の総合的な満足度は、学校の「面積」「築年数」「施設整備費用」の影響を受けており、肯定的な評価の学校は児童生徒数あたりの保有面積が大きく、施設的な余裕があることもうかがえる結果となった。
ただ、総合満足度別に築年数の分布を分析したところ、「非常に満足している」と回答した学校は築30年未満の比較的経年の浅い建物が多かったが、「ある程度満足している」学校は築30~39年経過している建物がもっとも多かった。総合的な満足度の高さは、新しい建物だけでなく、経年が進んだ建物であっても一定程度存在しているという。
隣接型や分離型では、施設整備費用をあまりかけず、既存校舎を活用して整備された学校が多かったが、改修などで施設的な工夫を行っている学校は、施設面の総合的な満足度は高い傾向にあった。また、一体型であっても、準備段階において建築設計の専門家(建築設計事務所など)がかかわっていない学校、小中一貫教育のための施設的な工夫が少ない学校は、満足度が低かった。
施設的な工夫は、具体的には「教室と連続性を持つオープンスペース」「ランチルーム」「打ち合わせ・会議スペース」「地域住民の活動拠点となる施設・室」など。分離型は、「分離校舎間の取組みを紹介する掲示板・展示スペース」「分離校舎間で交流授業などを行うネットワーク環境」など。改修などの工夫によって、施設的な効果を高めることが可能であることが示される結果となっている。
今回の調査研究にあたっては、全国の公立小中一貫教育校のうち、9年間一貫した教育目標・カリキュラムにより運営面の取組みがある程度進捗していると考えられる小中一貫教育校383校を選出。地域別のバランスを考慮して、286校をアンケート調査の対象とし、このうち207校から有効回答を得た。調査時点は2017年3月1日現在。アンケート調査のほか、2016年10月~2018年2月に現地調査も行っている。現地調査の対象は、アンケート調査対象校に限らず選定した。
小中一貫教育を進めるにあたっては、運営面のみならず、施設的な配慮も重要となる。文部科学省では、2015年に小中一貫教育に適した学校施設の基本的考え方や計画・設計の留意事項を施設形態ごとに示した「小中一貫教育に適した学校施設の在り方について」を取りまとめている。今回の調査研究では、小中一貫教育の施設整備の効果や実態などを分析した。
施設面の総合的な満足度を4段階で評価した結果は、一体型がもっとも高く、隣接型、分離型と続いた。肯定的な受け止めは、一体型77.2%に対し、隣接型は31.5%、分離型は25.9%にとどまった。
報告書では、「一体型は小学校段階と中学校段階の物理的な距離が近いため、小中一貫教育を運営しやすく、施設的な効果も感じやすいという一般的な想定が裏付けられる形となった」と解説。一体型は新改築により整備されている割合が高いため築年数が比較的浅く、児童生徒数あたりの保有面積も比較的余裕があるという。
分離型は物理的な距離感による運営面のハードルに加え、小中一貫教育のための施設整備を行わずに築30年を超える校舎を使用しているケースも多く、児童生徒数あたりの保有面積も比較的小さい傾向にあることが満足度が低い要因として考えられるという。
詳細な施設形態別の満足度の分布をみると、同じ一体型でも、「渡り廊下がなく校舎が完全に一体となっている」施設は学校によって評価が分かれた。その一方、「渡り廊下などでつないだ」施設は学校によらず、肯定的な評価がなされた。
また、施設面の総合的な満足度は、学校の「面積」「築年数」「施設整備費用」の影響を受けており、肯定的な評価の学校は児童生徒数あたりの保有面積が大きく、施設的な余裕があることもうかがえる結果となった。
ただ、総合満足度別に築年数の分布を分析したところ、「非常に満足している」と回答した学校は築30年未満の比較的経年の浅い建物が多かったが、「ある程度満足している」学校は築30~39年経過している建物がもっとも多かった。総合的な満足度の高さは、新しい建物だけでなく、経年が進んだ建物であっても一定程度存在しているという。
隣接型や分離型では、施設整備費用をあまりかけず、既存校舎を活用して整備された学校が多かったが、改修などで施設的な工夫を行っている学校は、施設面の総合的な満足度は高い傾向にあった。また、一体型であっても、準備段階において建築設計の専門家(建築設計事務所など)がかかわっていない学校、小中一貫教育のための施設的な工夫が少ない学校は、満足度が低かった。
施設的な工夫は、具体的には「教室と連続性を持つオープンスペース」「ランチルーム」「打ち合わせ・会議スペース」「地域住民の活動拠点となる施設・室」など。分離型は、「分離校舎間の取組みを紹介する掲示板・展示スペース」「分離校舎間で交流授業などを行うネットワーク環境」など。改修などの工夫によって、施設的な効果を高めることが可能であることが示される結果となっている。
今回の調査研究にあたっては、全国の公立小中一貫教育校のうち、9年間一貫した教育目標・カリキュラムにより運営面の取組みがある程度進捗していると考えられる小中一貫教育校383校を選出。地域別のバランスを考慮して、286校をアンケート調査の対象とし、このうち207校から有効回答を得た。調査時点は2017年3月1日現在。アンケート調査のほか、2016年10月~2018年2月に現地調査も行っている。現地調査の対象は、アンケート調査対象校に限らず選定した。
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