なぜ小学校でプログラミング?PTA会長のエンジニアパパが解説(1)
リセマム2018年9月4日(火)10時15分
2020年から小学校で必修化される「プログラミング教育」について、どのような内容を学ぶことになるか不安に思う読者も多いだろう。エンジニアかつ父親の視点で「プログラミング教育」とは何かを紐解く。初回はプログラミング教育の概要について説明する。
はじめに
2020年から始まる「プログラミング教育」は、多くの保護者の不安要素になっているのではないでしょうか。ITに疎遠だった保護者の方々は、何のために、何を教育しようと考えているのか不安でしょう。一方IT産業に関わっている保護者の中には、専門性のない教員に間違ったことを教えてほしくないと不安に感じている方もいらっしゃるでしょう。
そもそも「プログラミング教育」はどのような背景から生まれ、何を目的としているのか、そして何を実施しようと考えているのか、まずこれらを理解しましょう。その上で、お子さまにどのように接し何を伝えていくべきか、そして保護者として何を学んでいくべきかを一緒に考えていきます。
プログラミング教育は「プログラミング言語の学習ではない」
こんにちは、阿部崇です。娘を4人持ち、外資系 IT 産業でエンジニアをしています。2017年現在、とある区立中学校のPTA会長をしており、教員の方や教育委員会の方々と会話する機会が多くあります。そこでわかったことは、情報発信を行う教育機関は増えてきましたが、学校現場の状況や教育委員会、地域の町内会や、青少年育成委員会と協力して行う活動といったものが、あまり一般の方々には理解されていないのではなかろうかということです。忙しい保護者であれば、そもそも関わる機会は少ないでしょう。
私がPTA会長になったことも1つの縁と考え、こういった状況の打破ができないか、よく言えば、保護者と教育現場をつなぐ架け橋になれればよいなと考えています。学校へのボランティアや、本書のような情報発信などを行うことで、お互いの理解が深まっていくことを期待しています。
さて、本題に入りましょう。「プログラミング教育」と聞いて思い浮かべることは何でしょうか?英語と、およそ理解不能な数式の一群で書かれた、プログラミング言語を記述することを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。また、プログラミングの経験がある方であれば、「いくら記号とはいえ、まだ英語の単語をよくわかっていない状態で、プログラムを入力するのは早いのではないか」とも感じていらっしゃるのではないでしょうか。
これらは「誤解」です。2020年から始まるプログラミング教育では、プログラミング言語を記述して、プログラムを動かすことはしません。大事なことなのでもう一度書きますが「プログラミング言語の学習ではありません」。では、文部科学省が進めようとしている「プログラミング教育」とは何かというと「プログラミング的思考などを育むこと」としています。
これは、プログラミング言語を使ってプログラムを記述することとどう違うのか。そもそも、なぜ「プログラミング教育」を行うのかについて見ていきましょう。
2020年から始まるプログラミング教育の概要
平成29年3月、文部科学省が、プログラミング教育を含んだ「小学校学習指導要領」を発表しました。そこには「児童がプログラミングを体験しながら、コンピュータに意図した処理を行わせるために必要な論理的思考力を身に付けるための学習活動」と記述があり、これを各教科で行うとあります。目的は理解できますが、そもそもプログラミング教育が必要になった背景や、具体的な実現方法は不明確です。
この学習指導要領策定にあたって、事前に行われた有識者会議のまとめ「小学校段階におけるプログラミング教育の在り方について(議論の取りまとめ)(*注1)」があります。さらに、この議論の重要なポイントをまとめたものが資料として公開されています。
(*注1)http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/074/siryo/__icsFiles/afieldfile/2016/07/07/1373891_5_1_1.pdf
1.3 プログラミング教育が生まれた背景
プログラミング教育が必要とされるようになった背景として、「情報科学」が生活に必要不可なものになったことと、「第四次産業革命」による変化への耐性が必要になったことが挙げられます。身の回りにある多くのものは、プログラムによって制御されています。ゲームやコンピュータといったプログラムが主体のものはもちろん、冷蔵庫、洗濯機、掃除機といった家電や、電車や車などもプログラム制御になっています。
人工知能(AI)が進化し、インターネットで最適化されていく社会にあって、今後多くの仕事が自動化されていくことが予測されています。こういった予測困難で変化の激しい将来に向かって、子どもたちに必要な資質・能力を育む必要があります。
学習指導要領の議論の中では、その資質・能力を次の3つであると定義しています。
・情報を読み解く
・論理的・創造的思考により課題を発見・解決し、新たな価値を創造する
・よりよい社会や人生の在り方について考え、学んだことを生かそうとする
こういった背景から、社会におけるコンピュータの役割を理解しつつ、これらの必要な資質・能力を身につけることが求められています。これらの資質・能力を理解するために、プログラミング教育が生まれたのです。
また、小学校では「プログラミング言語によるプログラムの記述(=コーディング)」を覚えることがプログラミング教育の目的ではない、とも記載があります。あくまでも、上記の資質・能力を育成するために、プログラミングの考え方を活かしていこう、といった論理です。
はじめに
2020年から始まる「プログラミング教育」は、多くの保護者の不安要素になっているのではないでしょうか。ITに疎遠だった保護者の方々は、何のために、何を教育しようと考えているのか不安でしょう。一方IT産業に関わっている保護者の中には、専門性のない教員に間違ったことを教えてほしくないと不安に感じている方もいらっしゃるでしょう。
そもそも「プログラミング教育」はどのような背景から生まれ、何を目的としているのか、そして何を実施しようと考えているのか、まずこれらを理解しましょう。その上で、お子さまにどのように接し何を伝えていくべきか、そして保護者として何を学んでいくべきかを一緒に考えていきます。
プログラミング教育は「プログラミング言語の学習ではない」
こんにちは、阿部崇です。娘を4人持ち、外資系 IT 産業でエンジニアをしています。2017年現在、とある区立中学校のPTA会長をしており、教員の方や教育委員会の方々と会話する機会が多くあります。そこでわかったことは、情報発信を行う教育機関は増えてきましたが、学校現場の状況や教育委員会、地域の町内会や、青少年育成委員会と協力して行う活動といったものが、あまり一般の方々には理解されていないのではなかろうかということです。忙しい保護者であれば、そもそも関わる機会は少ないでしょう。
私がPTA会長になったことも1つの縁と考え、こういった状況の打破ができないか、よく言えば、保護者と教育現場をつなぐ架け橋になれればよいなと考えています。学校へのボランティアや、本書のような情報発信などを行うことで、お互いの理解が深まっていくことを期待しています。
さて、本題に入りましょう。「プログラミング教育」と聞いて思い浮かべることは何でしょうか?英語と、およそ理解不能な数式の一群で書かれた、プログラミング言語を記述することを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。また、プログラミングの経験がある方であれば、「いくら記号とはいえ、まだ英語の単語をよくわかっていない状態で、プログラムを入力するのは早いのではないか」とも感じていらっしゃるのではないでしょうか。
これらは「誤解」です。2020年から始まるプログラミング教育では、プログラミング言語を記述して、プログラムを動かすことはしません。大事なことなのでもう一度書きますが「プログラミング言語の学習ではありません」。では、文部科学省が進めようとしている「プログラミング教育」とは何かというと「プログラミング的思考などを育むこと」としています。
これは、プログラミング言語を使ってプログラムを記述することとどう違うのか。そもそも、なぜ「プログラミング教育」を行うのかについて見ていきましょう。
2020年から始まるプログラミング教育の概要
平成29年3月、文部科学省が、プログラミング教育を含んだ「小学校学習指導要領」を発表しました。そこには「児童がプログラミングを体験しながら、コンピュータに意図した処理を行わせるために必要な論理的思考力を身に付けるための学習活動」と記述があり、これを各教科で行うとあります。目的は理解できますが、そもそもプログラミング教育が必要になった背景や、具体的な実現方法は不明確です。
この学習指導要領策定にあたって、事前に行われた有識者会議のまとめ「小学校段階におけるプログラミング教育の在り方について(議論の取りまとめ)(*注1)」があります。さらに、この議論の重要なポイントをまとめたものが資料として公開されています。
(*注1)http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/074/siryo/__icsFiles/afieldfile/2016/07/07/1373891_5_1_1.pdf
1.3 プログラミング教育が生まれた背景
プログラミング教育が必要とされるようになった背景として、「情報科学」が生活に必要不可なものになったことと、「第四次産業革命」による変化への耐性が必要になったことが挙げられます。身の回りにある多くのものは、プログラムによって制御されています。ゲームやコンピュータといったプログラムが主体のものはもちろん、冷蔵庫、洗濯機、掃除機といった家電や、電車や車などもプログラム制御になっています。
人工知能(AI)が進化し、インターネットで最適化されていく社会にあって、今後多くの仕事が自動化されていくことが予測されています。こういった予測困難で変化の激しい将来に向かって、子どもたちに必要な資質・能力を育む必要があります。
学習指導要領の議論の中では、その資質・能力を次の3つであると定義しています。
・情報を読み解く
・論理的・創造的思考により課題を発見・解決し、新たな価値を創造する
・よりよい社会や人生の在り方について考え、学んだことを生かそうとする
こういった背景から、社会におけるコンピュータの役割を理解しつつ、これらの必要な資質・能力を身につけることが求められています。これらの資質・能力を理解するために、プログラミング教育が生まれたのです。
また、小学校では「プログラミング言語によるプログラムの記述(=コーディング)」を覚えることがプログラミング教育の目的ではない、とも記載があります。あくまでも、上記の資質・能力を育成するために、プログラミングの考え方を活かしていこう、といった論理です。
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