伝説の「アトランティス大陸」をキューバ政府が発見!? タイノ族の神話とも一致か?
古代ギリシアの哲学者、プラトン(B.C.427-B.C.347)がその著書で言及した“アトランティス”は大西洋に沈んだとされる神話上の古代都市である。アトランティスが滅亡したのはプラトンの時代の9000年前といわれ、現在から1万1000年以上も前の話となる。プラトンの時代から現在までアトランティスの存在は「伝説」に過ぎず、虚構だという見方が強いが、キューバ沖で海底都市が発見された(?)というにわかに信じがたいニュースが報じられた。
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※ こちらの記事は2016年8月8日の記事を再掲しています。
高度な文明を持ちながらも、大地震と大洪水に見舞われ1万2千年前に一昼夜にして海底に沈んだとされるアトランティス大陸。その存在はいまだ証明されていないが、50年ほど前から世界各地でアトランティス大陸の遺跡と思わしきものが発見されている。その中でも、ひときわ注目されているのがキューバ沖で発見された海底都市である。
海底650mの海底都市
この海底都市は、2001年、カナダ人の海洋工学者ポーリーン・ザリツキ氏と、その夫ポール・ウェインツウェイグ氏が発見したといわれている。2人は海洋調査会社「アドヴァンスド・デジタル・コミュニケーションズ」の経営者でもあり、同社はキューバ政府からキューバ沖の海底調査を依頼されていた。バミューダ海域には、財宝を積んだ大航海時代の船がいくつも沈没しているとの噂があり、ザリツキ夫妻も沈没船の探索をしていたという。
ザリツキ氏によると、いつものように調査をしていたある日、海底650メートル付近で、シンメトリカルな地形をソナーがとらえたという。その場では一体何が映ったのか分からなかったそうだが、詳しく調べてみたところ、通常の自然構造物とは違う滑らかなブロック群だということが判明したそうだ。いつくかの構造体はピラミッドのように対称的な三角形だったという。
同年7月、夫妻はキューバ国立歴史博物館の地質学者マニュエル・イトゥラルデ氏を伴い、さらに詳しい調査に乗り出した。すると、海中探査機で撮影した映像に、規則的に並んだ2~3メートルほどの花こう岩が映し出されたというのだ。ザリツキ氏はすぐに、海底に沈んだ古代都市に違いないと直感したと述懐している。発見に立ち会ったイトゥラルデ氏も、
「海底ではさまざまな変わった自然構造物が見つかります。しばしば、そういうものは我々の想像力かきたてるものです……しかし、今回発見された構造物に関しては、自然物だと断定するのは容易ではありません」
「これほど複雑な構造物を建設するだけの技術は、5000年前のどの文化・文明にも存在していません」
と語るように、経験豊富な地質学者でも答えに窮するほど異様な構造物だったことがうかがえる。
この海底構造物がメディアに公開されると、「アトランティス大陸発見」との見出しが飛び交い、大きな話題を呼んだ。そればかりでなく、なんと、キューバ政府機関や、権威ある「ネイチャー」誌をはじめ「ナショナルジオグラフィック」誌までもが独自調査を行い、全貌を明らかにすると宣言したそうだ。しかし発見から15年経った現在、どこからも続報は出ていない。一体なにがあったのだろうか? 一部では、キューバ政府が圧力をかけ報道が規制されたとの噂もあるが、真相はいまだ分からない。しかし今年に入り、古代文明情報サイト「Ancient Origin」が、この構造物が実際に海底に沈んだ古代都市の可能性があるとの見解を示している。ご紹介しよう。
先住民の神話とピッタリ一致か?
同サイトによると、キューバからプエルトリコ一帯に先住するタイノ族に興味深い神話が残っているという。タイノ族の村人が神話の概略を語っている。
「太古の昔、まだ北米大陸が海に囲まれていなかった時、スアニアと呼ばれる土地には4つの大きな山があり、その1つはボリケン(勇者の土地)と呼ばれていました。その山の麓にあったコアベイ村にはヤヤという老人がいて、妻イティバと息子ヤヤエルと住んでいました。ヤヤエルは腕の良いハンターとして村で有名でした」
「ある日、ヤヤエルが狩りに出かけている間に、巨大な嵐が村を襲い、ヤヤエルは村に帰ることができませんでした。嵐が去ったあと、両親はヤヤエルを探し回りましたが見つかりませんでした。そこで、息子を弔うため、彼の弓矢を神聖なヘチマの中に入れて置いておきました」
「するとある日、村の男たちがヤヤエルの弓矢が入ったヘチマを落として割ってしまったところ、割れ目から大量の海水と海の生物が溢れ出し、村を飲み込んでしまいました。これが海の起源です」
どうやら、アトランティス大陸ではないようだが、少なくとも、人々がかつて住んでいた土地が海底に沈んだことをこの神話は伝えているのだろう。しかし、果たしてタイノ族にピラミッドを建造するほどの文明があったかは分からない。そして、この海の起源神話が、どのような自然現象を伝えているかも明確ではないが、1万2千年前頃に起きたとされる世界的な災害「ノアの洪水」の可能性も否定はできない。たしかに1万3千年前の更新性後期には、氷床の縮小により100数十メートル程度の海水が上昇したところもあると言われているが、キューバ沖で発見された構造物は海底650メートル付近で見つかっていることから、関連性は希薄との見方もある。
さらに、超古代文明批判ウェブサイト「Bad Archaeology」を運営するキース・フィッツパトリック・マシューズ氏が、「結局のところ、ザリツキの話を信じる専門家はいない」とまで述べているように、発見自体に懐疑的な論者もいるのが現状だ。
しかし、そもそもザリツキ夫妻が依頼された海底調査は本当に沈没船を見つけることが目的だったのだろうか? もし、キューバ政府がはじめから古代遺跡を探していたとしたら、続報がピタリと止んでしまったことも理解できる。
いずれにしろ、ギリシアの哲学者プラトンからはじまるアトランティス大陸の探求はまだまだ終わりそうにない。近年バミューダトライアングルでは、他にも遺跡らしきものが見つかっているとの情報もある。今後の新発見に期待したい。
参考:「National Geographic」「Ancient Origin」ほか
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