記者の過労死受け、NHKが働き方改革に本腰 「朝ドラ撮影は21時まで」「健康リスク高い職員に休暇」
NHKは今年10月に明らかになった記者の過労死を受け、「NHKグループ働き方改革宣言」を出した。12月7日の定例記者会見で上田良一会長が発表した。同宣言は、
「長時間労働に頼らない組織風土をつくります」
「業務の改革やスクラップを進め、効率的な働き方を追求します」
「ワーク・ライフ・バランスの充実により、人間力を高めます」
「多様な人材がいきいきと活躍できる職場を実現します」
「改革の取り組みを点検・検証し、常に改善を続けます」
の5つからなる。来月には、拠点長や局長らで作る「働き方改革推進員会」を立ち上げるほか、「働き方改革推進室」を設置し、現場の意見を拾い上げたいとしている。
地方記者の泊まり業務は廃止、AIを使って定型原稿を自動作成
具体的には、放送現場で深夜の番組収録を止める。NHK本体が制作する番組のスタジオ収録は、来年度から原則22時終了にする。撮影が長期間に及ぶ大河ドラマや連続テレビ小説は1時間早い21時としている。大河ドラマについては2019年放送分の「いだてん〜東京オリムピック噺〜」から、連続テレビ小説は2020年度放送分から取り組む。
地方放送局の記者の泊まり業務も、松山、仙台、名古屋などの7つの拠点局を除き、段階的に廃止する。AIやICTを用いた定型原稿やテロップの自動作成を行い、放送現場の負担軽減を目指すという。
また、協会全体として在宅勤務の拡充やサテライトオフィスの設置も行う。月1回は働き方総点検を実施し、業務フロー改善を行うほか、長時間労働による健康リスクが高い職員には、「健康確保休暇」を付与する予定だ。
番組制作を外注された会社はどうなる?
会見で上田会長は「佐戸未和記者を失ったことを忘れることなく、私を先頭に一丸となって、NHKで働くすべての人の健康を守る」と意気込んだが、どの程度効果があるかは不明だ。
番組制作は外注することも多いが、制作会社の社員はNHK本体の社員ではないため、直接的な影響を受けない。グループに含まれない外注先の社員の負担も軽減してもらいたいところだ。
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