日本酒「獺祭」の製造元が「お願いです。高く買わないで下さい」と訴え 「一部業者が一般客を装って正規店で購入し転売している」
日本酒「獺祭」を製造・販売する旭酒造は12月10日、読売新聞に一面広告を出した。「お願いです。高く買わないで下さい」と獺祭を定価以上の価格で購入しないよう消費者に呼び掛ける内容だ。
「獺祭のお求めは正規販売店で」とも訴えており、全国の正規販売店として高級スーパーや百貨店の名前が列挙されている。ここに挙げられた正規の販売店以外では、不当な価格で販売されていることがあるというが、なぜそうした問題が起きてしまうのか。
「私たちの希望小売価格の2倍・3倍の値をつけて売られる方がいます」
獺祭の正規の価格は、「純米大吟醸50」の720ミリリットルで1539円、1.8リットルで3078円。「純米大吟醸 磨き三割九分」ではそれぞれ2418円(720ミリリットル)、4835円(1.8リットル)、「純米大吟醸 磨き二割三分」では5142円(720ミリリットル)、1万285円(1.8リットル)となっている。旭酒造は、「高品質酒を最も良い状態でお客様に提供できる」などの条件を満たした全国約630店の正規取り扱い店にしか卸していない。
しかし、「全国のスーパーや酒屋さんの中には、いわゆる転売屋といわれるところから獺祭を仕入れて私たちの希望小売価格の2倍・3倍の値をつけて売られる方がいます」という。同社の代表取締役社長である桜井一宏さんが12月10日、メールマガジンで明かしている。ツイッター上でも獺祭が2〜3万円で売られているのを見かけた、といった投稿があった。
こうした事態について同社の担当者は、
「一部の業者が、一般のお客様を装って特約店を周って買い集めたり、宴会に使うといった理由で特約店からまとめ買いしたりしている可能性があります。そのような方法で入手した獺祭をスーパーなどに高額で転売しているのでしょう」
と話した。
「間に業者が入ることで、流通期間が伸び、品質が劣化する恐れも」
また、業者が間に入ると、価格が釣りあがるだけでなく、品質も劣化してしまう恐れがある。
「やはり新しい方がおいしいので、製造から2〜3か月で飲んでほしいと思っています。しかし間に業者が入ることで、お客様の元に届くまでに時間が掛かったり、不適切な方法で保管されることで品質が劣化してしまったりします」(前出の担当者)
結果として消費者の元には、ぞんざいに管理され、正規の価格よりも高額な獺祭が届いてしまう、ということだ。
新聞広告に対しては、「スーパーで購入したことがあったが、正規のお店でないことがわかり、クレームを入れた」「よく言ってくれた」といった声が寄せられているという。消費者に対しては、
「価格と品質のつり合いが取れていないとお客様にも納得いただけないと思う。おいしく召し上がっていただくためにも、正規の販売店から購入してほしい」
と呼び掛けた。
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