プロのレースカメラマンが語る、熱田護F1写真の魅力。写真展『P1』が外苑前にて28日まで開催

2024年1月24日(水)6時0分 AUTOSPORT web

 F1フォトグラファーの熱田護カメラマンが1月23日より28日まで、東京都港区の『Nine Gallery』にて、『P1』と題したPHOTOGRAPHERS’ ETERNAL COLLECTION展を開催中だ。


 昨年には、同じ名称の写真集『P1』もカメラや光学機器メーカーであるキヤノンから発売されており、今回の写真展はその写真集でセレクトされた写真を中心に構成されている。アートディレクター三村漢氏のプロデュースで厳選されたF1の写真は、キヤノンのハイクオリティのプリントでより美しく写真展会場を彩っている。


 写真展初日は、平日にも関わらず多くのF1ファンが来場し、在廊した熱田カメラマンに質問などをして歓談していた。また、同会場で写真集を買い求めたファンにもサインに応じて、記念のプリントを手渡したりしていた。

初日から多くのF1ファン、熱田護ファンが写真展に詰めかけた


 熱田カメラマンはF1を撮影するようになってすでに30年が経ち、500戦の撮影取材を越えて再来年には600戦に届こうかという勢いだ。F1GP日本人最多取材回数(ジャーナリスト含め)を持ち、今もなお第一線で活躍している。


 そのモチベーションは「やっぱりF1で頑張るホンダのスタッフや角田裕毅選手を応援したい気持ちで今もF1に行っています。(時代の変遷として)写真がフィルムからデジタルへと移行して、カメラも良くなったらと言って、自分が納得する写真が楽に撮れるようになったわけではありません。毎グランプリで満足出来る写真はわずかだし、それをこうやって写真展で見てもらえるのはうれしいことだと思っています」と語る。


 モータースポーツフォトグラファーの中でも熱田カメラマンの人気は群を抜いている。X(旧ツイッター)のフォロワー数3万を超え、日本のレーシングドライバーやチームを大きく上回るほどだ。


 コロナ禍を乗り越えてF1GPに通い続け、ホンダのコンストラクターズチャンピオンに涙して写真を撮り続けた熱田カメラマンに共感するF1ファンは多い。また熱田カメラマンの写真は言うに及ばず、国内外に多くのファンがいる。

キヤノンから発売された写真集「P1」。熱田護氏が見たドラマチックな瞬間の数々が刻み込まれている


 世界中のファンのみならず同業のフォトグラファーも、光と色彩のバランスと被写体に一歩でも近づこうと前に足を踏み出す姿勢には嘆息するほどだ。


「あんなバカにはかなわないよ」と、同業のカメラマンが筆者にこぼしたことがあるが、F1グランプリで日本人フォトグラファーが少なくなった今、その言葉には納得せざるを得ないものがある。


 熱田カメラマンは、2019年にF1取材数500GPを達成して記念写真展を開催し、以後毎年のように個展を開いてファンに写真を披露している。ソーシャルネットワークがメディアを席捲している昨今、そのような活動が出来るのは羨ましくもあり、またそこに尽力するエネルギーも尋常ではないことは容易に理解できる。


 熱田氏本人も言っているように、コロナ禍後のインフレと円安の波は大きな障害にもなっており、この経費高騰の折にF1グランプリに通い続けるということは、もはや正気の沙汰ではない。どのメディアも指を咥えているしかない状況のなか、コツコツと撮影を続けてきた熱田カメラマンの思いは、写真の1枚1枚奥深く刻み込まれているのだ。


 また今回の写真展では能登半島地震の義援金を募り、写真集の収益はすべて義援金に充てられるという。東日本大震災後も現地へ通い続け写真教室を開いたりと、被災地への思いも欠かさない漢でもある。


「今年も20戦以上は撮影に行くつもりです」という熱田カメラマン。彼のカメラを通してまた熱いF1シーズンの写真が届けられることだろう。

写真展会場で能登半島地震の義援金を募るF1フォトグラファーの熱田護氏
外苑前駅から徒歩約3分のNine Galleryには、30点以上の写真が展示されている



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