GT500のメーカーテストは何をしているのか? 空力開発凍結の今オフの取り組みは

2023年2月3日(金)21時58分 AUTOSPORT web

 2月2日、静岡県の富士スピードウェイで、スーパーGT GT500クラスに参戦する7台の車両が参加したメーカーテストがスタートした。2023年に入ってから、5台を超える複数台が走行したメーカーテストは1月24日に鈴鹿サーキットで行われたテストに続くものとなる。2023年に向けてメーカーテストではどんな作業が行われているのか、日産モータースポーツ&カスタマイズの石川裕造常務執行役員に聞いた。


 スーパーGTでは2020年まで、12月/1月にマレーシアのセパンサーキットでGT500クラスに参戦する3メーカーの車両が参加してのメーカーテストが行われ、その後国内に移動。公式テストまでに国内サーキットでテストをこなしていくのが例年の流れだった。


 コロナ禍以降、2021年からはセパンテストを実施することができず、国内でテストを行う流れとなっていたが、2023年に向けては、特に空力の開発が凍結されている。ではシーズンに臨むにあたり、メーカーテストではどんなことが行われているのだろうか。


「もちろんタイヤの準備は必要ですよね。また変えて良い部分はエンジンなので、分かりやすく言うとその二点となります」と石川常務執行役員。「それと空力は凍結ですが、我々で言えば一年間やってきたことの振り返り、また富士でいえばセッティングを変えてみたらどうなるか……など、そういったことを取り組んでいます」


 現行のGT500規定は3メーカーともモノコックをはじめ共通パーツが数多く使用されており、差をつける部分としては空力、エンジン、そしてタイヤのマッチングといったところが挙げられる。そのうちの空力の開発ができないことから、“できる部分”の細かな部分を突き詰めていくということだ。もちろん2023年に向けては、カーボンニュートラルフューエルへの対応も重要になる。


「非常に細かいところをやっていくことが大切になります。テストのタイムを見ていても差はほとんどないですよね。その中では、細かい“チリツモ”をやっていくことが大切になります」


 そんなテストだが、1月24〜25日の鈴鹿は初日から厳しい冷え込みとなり、雪が舞いはじめると、2日目は積雪のためキャンセルに。2月2〜3日の富士も午後から急激に冷え込み、粉雪が舞うなど、シーズンを想定するには厳しいコンディションでのテストとなった。


「タイヤ開発においても、これだけ寒いとなかなか難しいですね(苦笑)。もちろんセパンでテストした方が、精度が高い開発はできると思います」と石川常務執行役員は語る。タイヤウォーマーを使いながらテストをこなしていたとはいえ、石川常務執行役員のみならず、ドライバーや他メーカーからもこの冬はテストの難しさが聞こえてきた。


 ちなみにセパンは気温30度前後で、路面の違いこそあれシーズン中を見据えた開発を存分に進めることができる。2024年に向けて開催できるかはまだ分からないが、コロナ禍が解消されつつあるとはいえ、物流コストが高騰しており、この3年間の社会情勢の変化が影響しており。課題は多い。


 2022年の予選を見ても、特にQ1は超僅差。空力という外観から分かりやすい部分が開発されているわけではないことから、写真や見ただけでは分かりづらいが、シーズン中の0.001秒を削りとる“チリツモ”を各メーカー、チーム、タイヤメーカーが取り組んでいるということだろう。その変化が初めて見えるのが、3月の公式テストになるはずだ。

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