【津川哲夫2018年私的ベストメカ5/5】ワンメイクだけに難しいクラッシャブルストラクチャーの処理と2019年への悩み

2019年2月8日(金)6時0分 AUTOSPORT web

 現在のF1はサイドインパクト(横からの衝撃)を吸収する安全装備として、モノコックのコクピット側壁の上下にカーボン製のクラッシャブルストラクチャー(衝撃吸収構造体)の装着が義務付けられている。これはFIAからのワンメイク品で形状も性能もどのチームも同じ条件となっている。


 このクラッシャブルストラクチャー、チームは独自に開発する必要がないわけでだが、厄介なのが結構サイズが大きいこと。2018年シーズンのエアロトレンドはサイドポッドを後方へ下げ、小さく短くデザインすること。そしてフロアの前端リーディンエッジとフロアフロント・バージボードエリアとを可能な限りスムースにシンクロさせたいのがどのチームにとっても理想だった。


 そして、この2つの願いを無粋に邪魔することになってしまったのが、このクラッシャブルストラクチャーというわけだ。FIAの既製品のため、もちろん改造は不可。形状も大きさもそのままに、何とかこいつをカバーしなけりゃならない。


 過去2シーズン、フロアフロントとポッドのリーディングエッジに各チーム個性的な処理が目立った。一見、自由気ままなデザイン競争、あらゆるエアロガジェットにアイデアを駆使して、洗練された近代エアロの粋が現れていると思いがちだが……そのスタイルの原点には、ドライバーをTボーンクラッシュから護るマインダーが隠れているわけだ。


 したがって、よく見るとフロア先端のリーディングエッジの処理はトップチームも最下位も大きくは違わないことが解るのだ。


 今シーズンはバージボードの高さが低く制限されることになった。これでまた、新たなエアロ開発が必要になるわけだが、フロアフロントという自由開発エリアを与えられることで、エアロエンジニアの悩みはこれまで以上に深く、尽きないものになる。


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