ゴルフ場にのしかかる年間1.2億の管理費用……最近増えてきた『非管理エリア』が経営を救うか

2024年2月22日(木)7時30分 ALBA Net

新しいゴルフ場では積極的に非管理エリアを採用している(筆者撮影)

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バンカー、グリーン、ティグラウンド、クラブハウス……。ゴルフ場はいったいいくらかかっているのだろうか? 名匠、井上誠一のゴルフ場「春日井カントリークラブ」のコース改造が始まった。知られざるゴルフ場の実態をゴルフ活動家の大矢隆司さんがレポートする。


◇ ◇ ◇

皆さんが普段プレーするゴルフコースはどれくらいの広さかご存じでしょうか? 一般的な18ホールのゴルフコースのプレーエリアは45万平米〜55万平米の間で、イメージしやすいところだと「東京ディズニーランド」が約51万平米なので、18ホールのコースはディズニーランドとほぼ同じ広さと考えることができます。

広さこそ同じですが、ディズニーランドは年間で約2600万人が来場すると言われているのに対して、ゴルフ場の年間来場者数は4万人程度ですから、ゴルフはなんとも贅沢なスポーツだと改めて実感させられます。

日本のゴルフ場では18ホールを7名から11名程度の作業員で管理をするのが一般的で、人件費を含むコースの年間管理費用は少ないコースで6000万円前後、多いコースだと1.2億円程度がかかっていると言われています(もちろんそれ以上のコースも)。

費用の平均的な内訳は季節作業など外注作業員も含む人件費が4割程度、修繕費(砂、肥料、薬品、燃料代)が5割程度、減価償却費が1割程度というのが一般的な費用の構成となります。
日本だけではなく世界的にコース管理の仕事をする人は減ってきており、ゴルフ場にとってはコースという商品を今後も適正なコストで、高品質に維持していくことが最大の経営課題となっています。
近年では、こうした課題に対応するための方法として、ナチュラルエリア(ネイティブエリア)と呼ばれる、非管理エリアをもうけることで、管理面積を縮小し、プレーの満足度に直結するフェアウェイやグリーンと言った主要なアイテムに労働資源を集中することで、コストを維持しながら品質を高めることを目指すゴルフ場が増えてきました。

まだ日本では馴染みが薄いかもしれませんが、過度に管理されていないナチュラルガーデン風の見た目は、海外では「ゴルフの原風景的な景観」としてその美観も支持されており、人手だけではなく、水や肥料などの資源も削減できるので、環境にも配慮したコースと評価されています。
一方で、綺麗に整えられたゴルフ場に慣れた私たち日本人の感覚からすると、ゴルフ場の中に生えている雑草や雑木をみて「美しくない」と感じてしまったり、「ボールが探しにくい」などの苦情に繋がってしまうケースもあります。
読者の皆さんは人の手によって隅々まで綺麗に整えられたコースと、自然の草木が作り出す原風景的なコース、どちらがお好みでしょうか?

レポート/大矢隆司(ゴルフ活動家)
1980年生まれ。中学卒業後15才で単身オーストラリアへゴルフ留学。ジェイソン・ディら多くのトッププロを輩出するHills Golf Academyで3年間を過ごす。帰国後大学に進学し在学中にゴルフコーチに転向。ゴルフコーチングと並行して会社経営を学ぶためにビジネススクールに通いMBA(経営学修士課程)を修了。国内外でのゴルフビジネスの起業を経て、現在はゴルフビジネスのアドバイザーやPMO、オーナー代理人としてゴルフ場やゴルフ関連企業の顧問を務める


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