テスト最速のマコウィッキ「グレイニングがなければ、ここでは王様だ」。ポルシェ963初勝利へ邁進

2024年3月1日（金）14時23分　AUTOSPORT web

　フレデリック・マコウィッキは、ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツとポルシェ963がオフシーズン中に達成したステップに満足していると述べたが、今週末のWEC世界耐久選手権開幕戦に向けて楽観的になりすぎる前に「自分たちの仕事に集中する」必要があると強調した。

■「良い位置にいるけど、過度に興奮したくない」

　カタールのルサイル・インターナショナル・サーキットでの2月26・27日の2日間にわたるプレシーズンテスト“プロローグ”で最速タイムを記録したマコウィッキは、29日木曜の最初のプラクティスでも、コ・ドライバーのマット・キャンベルが最速タイムを記録するのを目撃した。

「チーム内の冬の間の進化、チームの取り組み方には非常に満足している。オペレーションの面では昨年よりも強くなっているし、その観点から冬は僕らにとって非常に生産的だった」とマコウィッキはSportscar365に語った。

「レースにおいては、もはや僕らの手に負えない側面があるのだから、僕らは自分たちのやっている仕事を誇りに思わなければならない。その点では、僕らが踏み出した一歩には満足している」

　今年はLMDhベースのクルマが優勝を争うチャンスが多いと思うかと問われると、マコウィッキは表彰台の他の段に立つのではなく「勝つためにここにいる」と答えた。

「僕が言いたいのは、過去に非常に満足のいく2位を獲得できたということだけだ。なぜなら、それは僕らが達成可能だと考えていた以上のものだったからだ。それにはもう、大満足しているんだ」

「勝利が得られれば、それはもちろんうれしいことだが、まずは自分たちがやっていることに満足する必要がある」

「間違いなく、僕ら勝つためにここにいるのであって、2位や3位で終わるためではない。確かに、僕らはこれまでこれほど充分に準備ができたことはなかったと感じている。いまはそれが軌道に乗っていることを、確認する必要がある」

　マコウィッキは、これまでにカタールで示せたポルシェのレースペースに非常に満足していると語った。

「いつもなら少し苦戦することもあるが、今回は僕らは強いと言っていいだろう。ただ、このトラックは非常に特殊だ」と彼は語った。

「このレイアウトと路面を持ち、誰もタイヤのドロップを経験していない唯一のトラックだと思う」

「ここでは燃料（重量）の影響が何よりも重要だ。ここの舗装はとてもスムーズだ。タイヤにグレイニング（ささくれ摩耗）が生じなければ、王様になれる。グレイニングがある場合、話は別だ」

　トヨタGR010ハイブリッドなどのより重いル・マン・ハイパーカー規定の車両は、これまでのセッションで苦戦しているが、マコウィッキによれば、ポルシェ・ペンスキーは昨年11月に再舗装されたばかりのルサイルで最初のテストを行って以来、タイヤのグレイニングの面は改善しているという。

「グレイニングはある種の特殊なものだ。そして、このコースレイアウトにはタイヤがまったく休んでいないコーナーがたくさんあるという特徴があり、あるべきタイヤ温度に上昇させるのは、非常に困難だ」

「僕らは、タイヤの温度を上げることに懸命に取り組んだ」

　しかしマコウィッキは、とくにイベントの序盤において、そのポジションがどこに匹敵するかを言うのは「難しい」と認めた。

「僕らは自分たちの仕事に集中する必要がある。それがいま、僕らがやっていることであり、レースから結論を得よう」と彼は語った。

「確かに僕らはかなり良い位置にいるようだけど、過度に興奮したくないんだ。チャンスがあったら、それをつかまなければいけない。この時点で間違いを犯すことはできないんだ」

「現時点での僕らの強みは（やるべきことへの）集中力があり、あまり興奮しすぎていないことだ。僕らはゴールラインを越えるまで、この哲学を持ち続けなけばいけない。もし1位になったら、一瞬だけ興奮することができる」

「物事があまりにも“輝いて”見えるにも関わらず、自分自身が間違いを犯してその結果を台無しにしてしまう、ということが世の中にある。そんなことは、あってはならない」

「WECで僕らはまだ勝利を収めていないので、（勝つことができれば）プレッシャーという点で大きな解放となるだろう。それをつかむまで、集中力を維持しなければいけない」