【クラシコ回顧録/バルサ編】「エル・クラシコ」はただの1試合じゃない? “伝統の一戦”がシーズンの流れを大きく変えた

2019年3月1日(金)20時5分 サッカーキング

2日の「エル・クラシコ」を前に、過去の名勝負を振り返ってみよう [写真]=アフロ

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 世界が注目する一戦「エル・クラシコ」が、2日(日本時間4時45分)に迫っている。リーガ・エスパニョーラ第26節の舞台は、レアル・マドリードの本拠地『サンティアゴ・ベルナベウ』。両雄は勝ち点9差の状態で相まみえる。

 もはやサッカーのみならず、スポーツの一大イベントの一つとも評される「エル・クラシコ」は、よく「ただの1試合ではない」「勝利は勝ち点3以上の価値がある」と形容される。これらは「エル・クラシコ」の重要性を表す言葉だが、歴史を紐解くと、何もこれは大袈裟な表現ではないことが分かる。

 そこで今回は、バルサが劇的な勝利を収め、シーズンの行方をも左右した「エル・クラシコ」を紹介。2日の試合を前に、“伝統の一戦”の凄みを感じておこう。

■2003−04シーズン
2004年4月25日 第34節
レアル・マドリード 1−2 バルセロナ

 このシーズンのラ・リーガにおける両者の歩みは、実に対照的だった。4季連続無冠が続いていたバルサは、開幕前にパリ・サンジェルマンからロナウジーニョを獲得。しかし、いざシーズンが始まってみると不安定な戦いぶりが目立ち、リーグ前半戦を終えて7勝6分6敗の7位とUEFAカップ圏外に沈んでいた。対するレアルはルイス・フィーゴ、ジネディーヌ・ジダンデビッド・ベッカムラウール・ゴンサレス、ロナウドらが“魅せるプレー”と“勝利”を両立。3位以下に順位を落とすことなく、13勝3分3敗で前半戦を終えた。

 バルサの状況が一変したのは、冬の移籍市場でユヴェントスからエドガー・ダーヴィッツを獲得した頃からだった。“闘犬”の加入で守備バランスが大幅に改善され、ゴールに近い位置取りができるようになったロナウジーニョは決定的なチャンスを次々と創出するようになる。第20節アスレティック・ビルバオ戦を1−1で終えると、バルサはそこから破竹の9連勝を記録。ベティスとビジャレアルに引き分けた後に再び連勝を重ねたチームは、上り調子の状態でレアルとの大一番を迎えた。

 一方、モナコによってUEFAチャンピオンズリーグからの退場を突き付けられていたレアルは、バルサ戦の直前という難しいタイミングで迎えた「マドリード・ダービー」を、2−1で制していた。アトレティコを破り、続けざまにバルサをも下せば、CLで傷付いたプライドを癒すことができる。ラ・リーガで優勝を手にするためにも、レアルはこの「エル・クラシコ」を落とすわけにはいかなかった。

 レアルサポーターによってスタンドが真っ白に染められるなか、試合は始まった。開始早々から、“白い巨人”は『サンティアゴ・ベルナベウ』に乗り込んだバルサを圧倒する。バルサも守護神のビクトル・バルデスが気迫のファインセーブを連発し、カルレス・プジョルは顔面でロベルト・カルロスの弾丸シュートを防いで抵抗する。だが、バルサの堤防決壊は、時間の問題に思われた。

 そして54分、ついにレアルが均衡を破る。CKの流れからサンティアゴ・ソラーリが左足を振り抜き、待望の先制点を手にした。

 防戦一方のバルサが失点したことで、勝負は決したかに思われた。だが、直後の58分、縦パスに抜け出したジョバンニ・ファン・ブロンクホルストのラストパスにパトリック・クライファートが頭で合わせ、バルサが試合を振り出しに戻す。

 レアルにとって大きな誤算だったのは、69分にフィーゴが2枚目のイエローカードを受けて退場となったことだ。広大なスペースができるようになり、一気に主導権はバルサに傾く。

 バルサの決勝ゴールは、まさにそのスペースを活用したことで生まれた。86分、ロナウジーニョのふわりとした浮き球のパスを、レアル守備陣のギャップで受けたシャビ・エルナンデスがつま先で合わせる。イケル・カシージャスの頭上を越えたボールは、ゆっくりとゴールに吸い込まれていった。

 試合はこのまま2−1で終了。バルサが敵地で貴重な勝ち点3を手に入れた。最終的にバルサは2位でリーグ戦を終えたのに対し、レアルは敗戦で狂った歯車を最後まで元に戻せず。その後のリーグ戦4試合を全て落とし、「エル・クラシコ」も含めると5連敗を喫することとなった。4位まで順位を落としてシーズンを終えたレアルにとって、“伝統の一戦”で敗れた代償はあまりに大きかった。

文=松本武水
写真=Getty Images、アフロ

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