FIA F2を経てスーパーフォーミュラ参戦へ。トルコ出身ジェム・ブリュックバシェのレースキャリア

2023年3月3日(金)16時19分 AUTOSPORT web

 3月3日、2023年シーズンより全日本スーパーフォーミュラ選手権に参戦する『TGM Grand Prix』が参戦体制を発表。既報のとおり、昨年までTCS NAKAJIMA RACINGに在籍した大湯都史樹、そして昨年FIA F2に参戦したトルコ出身のジェム・ブリュックバシェの起用を明らかにした。


 ここではスーパーフォーミュラへのデビュー決まったブリュックバシェの経歴、これまでのレースキャリアをお届けする。


 大湯のチームメイトとしてスーパーフォーミュラに初参戦することが決まったブリュックバシェは、トルコ・イスタンブール出身の25歳。6歳でモトクロスを始め、8歳を迎えた2007年よりレーシングカートに転向した。5年間トルコや南東ヨーロッパのカートシリーズに参戦するが、資金難から2012年をもってレーシングカートでの活動を終え、一旦はサーキットから離れた。

2017年にF1のeスポーツシリーズに参戦したジェム・ブリュックバシェとアロンソ


 しかし、レースに対する思いは止まず、ブリュックバシェはeモータースポーツでのチャレンジを開始。iRacingの公式シリーズ戦や、F1eスポーツシリーズなどに挑戦。eスポーツ分野で頭角を表すと、2019年にGT4ヨーロピアンシリーズで4輪レースにデビューし、サーキットレースへのカムバックを果たした。


 4輪レースでの経験は決して多くはなかったが、得意とするシミュレーターによるトレーニングの成果もあり、翌2020年にはGT4ヨーロピアンシリーズ・プロアマクラスでシリーズ2位を獲得する。


 また、フォーミュラ・ルノーへのスポット参戦を経て、2021年にはユーロ・フォーミュラ・オープンの後半5大会に参戦。デビューウインを含むシーズン2勝、計8回の表彰台を獲得し、フル参戦ではなかったものの、シリーズランキング5位を獲得した。

2022年FIA F2第10戦ブダペスト ジェム・ブリュックバシェ(チャロウズ・レーシング・システム/左)、ローガン・サージェント(カーリン/中央)、リアム・ローソン(カーリン/右)


 そして、2022年シーズンはF1直下のカテゴリー『FIA F2』に参戦するチャロウズ・レーシング・システムのレギュラーシートを獲得する。F1公式eスポーツシリーズ出身のドライバーがF1直下のカテゴリーに参戦することは初めてだったこともあり話題を呼んだ。


 ただ、FIA F2参戦は順風満帆というわけにはいかなかった。第2戦ジェッダのフリー走行ではクラッシュを喫し、軽い脳震盪と診断されたことで、ブリュックバシェは第2戦ジェッダと続く第3戦イモラを欠場することになった。


 ブリュックバシェは第4戦バルセロナからFIA F2復帰を果たすも、シーズン前半からコンスタントにシングルフィニッシュを果たすチームメイトのエンツォ・フィッティパルディに対し、ブリュックバシェは1度もシングルフィニッシュを果たせずにいた。


 シーズン後半の巻き返しが期待されたが、ブリュックバシェは第10戦ブダペスト後にチームとの契約終了を発表。ブリュックバシェの抜けたチャロウズのシートには、スーパーフォーミュラ参戦経験もあるタチアナ・カルデロンが座ることになった。


 シーズン途中のチーム離脱により、ポテンシャルを出しきる前にFIA F2を離れることとなったブリュックバシェ。それだけに、2023年のスーパーフォーミュラ参戦は再起をかける挑戦とも言えるだろう。


 スーパーフォーミュラでは優勝経験もある大湯、そして新規参戦となるTGM Grand Prixとともに、日本のファンを前にどのような走りを見せてくれるだろうか。3月6〜7日に開催される鈴鹿公式合同テストから注目しておきたい存在に違いない。

12月7〜8日に開催された鈴鹿合同/ルーキーテストにTEAM TBDから参加したジェム・ブリュックバシェ
2022年第10戦ブダペストまでFIA F2に参戦したジェム・ブリュックバシェ(チャロウズ・レーシング・システム)

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