エクストローム復帰にシャイダー参戦、さらにニューフェイスも。各陣営の体制が確定/エクストリームE

2023年3月6日(月)14時58分 AUTOSPORT web

 開幕を控えるワンメイク電動オフロード選手権『エクストリームE』の各陣営が2023年の“シーズン3”に向け、続々とドライバーラインアップを発表。WRC世界ラリー選手権やダカールラリーを制した“帝王”カルロス・サインツ率いるアクシオナ・サインツXEチームは、御年60歳のサインツに代わり、ライア・サンズのペアにマティアス・エクストロームを起用する。


 また、今季よりシリーズ参入を表明した新興カール・コックス・モータースポーツは、こちらもDTMドイツ・ツーリングカー選手権元王者のティモ・シャイダーと、シリーズ経験者の“クリスティンGZ”ことクリスティーナ・ジャンパオリ・ゾンカのラインアップを固め、北米の名門として昨季はランキング4位も記録したNo.99 GMCハマーEVことチップ・ガナッシ・レーシング(CGR)は、創設より2年間レギュラーを務めたカイル・ルデュックとサラ・プライスに代わり、RJアンダーソンとアマンダ・ソーレンセンの新ペア起用を決めている。


 シリーズ参戦初年度は6位、初優勝も記録した昨季シーズン2は3位と、ランキングも順調な上昇気流で推移しているアクシオナ・サインツXEチームだが、今季初頭のダカールラリー参戦中に椎骨を2カ所も骨折したサインツがまだ療養中であることも踏まえ、2004年と2007年のDTMチャンピオンであり、2016年にはWorldRX世界ラリークロス選手権も制覇したエクストロームに白羽の矢を立てた。


 そのエクストローム自身は、ブランドのアンバサダーも務めるクプラとのジョイントで、アプト・クプラXEのドライバーとしてエクストリームEの表彰台を経験しており、これが電動ワンメイクSUVでのシリーズ復帰になる。


「カルロスは僕の子ども時代のアイドルであり、僕らはアウディのダカール・プロジェクトではチームメイトとして、かけがえのない友人にもなれた。だからこそ、こうしてエクストリームEで彼のチームに加わることは特別であり、感情的でさえあるんだ」と語ったエクストローム。


「僕がカルロスの代役として足を踏み入れることで、彼の体が回復するための多くの時間が稼げる。それにライアのこともシリーズ開幕から見てきたし、彼女の進化も目の当たりにしてきたんだ」とエクストローム。


「開幕直前の遅い決定だったが、チームに成功をもたらすために最善を尽くしたい。ボスとしてのカルロスと一緒に仕事ができることを楽しみにしているし、楽しくて貴重な経験になると確信している」

“帝王”カルロス・サインツ率いるアクシオナ・サインツXEチームは、御年60歳のサインツに代わり、ライア・サンズのペアにマティアス・エクストロームを起用する
エクストローム自身はアプト・クプラXEのドライバーとしてエクストリームEの表彰台を経験しており、これが電動ワンメイクSUVでのシリーズ復帰になる
「サウジでカルロスが私の側にいないのは間違いなく奇妙でしょうけど、マティアスは説明の必要すらない偉大な人物」とライア・サンズ(右)


■強力な助っ人の活躍に期待を寄せるサインツ


 その言葉どおり、あらゆる側面からチームをサポートするべく、開幕戦の現地サウジアラビアに乗り込むサインツは「マティアスこそ、この新しいシーズンに向けて、我々が望んでいた最高の署名だ」と、強力な助っ人の活躍に期待を寄せる。


「私自身、彼のことを本当によく知っており、彼に何ができるかを知っているから、その点でも完全に信頼しているよ」と諸手を挙げて賛辞を送ったサインツ。


「エクストロームは世界で最も優れた多面的なレースドライバーであり、このシリーズで競合として戦った経験や、ダカールではチームメイトを務めたことから、彼の強みと可能性を認識している」


「私自身、チームが目標を達成できるように全力を尽くし、レースに参加し、最高の結果が得られるようサポートしたい。ライアに関しては、彼女はレースドライバーとして成長を続けており、チーム全体を知っているという利点があるからね」


 一方、世界的な活躍を演じる伝説的DJ、カール・コックスが創設した新興チームは、参戦初年度に向け強力な布陣を構成。悪名高い“バハ1000”で総合7位を獲得し、多くのレイド・イベントで実績を積んだうえ、シリーズ経験も有する新加入の“クリスティンGZ”は、初年度にエキサイト・エナジー・レーシングからオリバー・ベネットと参戦。続くシーズン2ではヴェローチェ・レーシングと契約し、全5戦中4戦でレギュラーを務めた。


「シリーズ参入初年度でチームに加入できて光栄よ。カールのモータースポーツに対する純粋な情熱と、最高峰のDJとしてオーディエンスに伝播する熱量が大好きだから!」と、昨季最終戦ではシリーズのリザーブドライバーである“チャンピオンシップドライバー”も務めたクリスティンGZ。


「ティモとチームを組むことはさらに刺激的。彼の経験と態度は、素晴らしいパートナーシップの完璧な要素になるはずよ。この素晴らしいファミリーに加わってレースを始めるのが待ち切れない! カールの言葉を借りれば『Oh yes, oh yes!』ってところね」


 一方、昨季はタマラ・モリナーロとともにエキサイト・エナジー・レーシングのドライバーとして戦ったシャイダーも「クリスティーンとともにカール・コックス・モータースポーツと契約できたことをうれしく思う」と意気込みを述べた。


「カールのチームは非常にクールだし、彼らがもたらしたエネルギーと、モータースポーツに対する野心と熱意は本当に伝染性があるね。(開幕戦の)ネオムでは序盤から好調なスタートを切ることを期待しているし、クリスティンと一緒にふたたびフィールドに戻ることに興奮しているよ」

DTMドイツ・ツーリングカー選手権元王者のティモ・シャイダーも新興カール・コックス・モータースポーツへ移籍加入
シリーズ経験者の“クリスティンGZ”こと、クリスティーナ-ジャンパオリ・ゾンカも3年目に挑む
No.99 GMCハマーEVことチップ・ガナッシ・レーシング(CGR)は、創設より2年間レギュラーを務めたカイル・ルデュックとサラ・プライスに代わり、RJアンダーソンとアマンダ・ソーレンセンの新ペアを起用する


■各レースはダブルヘッダー、予選フォーマットも変更へ


 そして、北米発のチームに合流した30歳のRJアンダーソンは、昨季最終戦よりルデュックの代役を務め、晴れて今季レギュラーの座を射止めた。


「昨年、ほんの少しだけ味わったシリーズに留まり、こうしてGMCハマーEVのステアリングを握るのが待ち切れないね。名門CGRのチーム全員と一緒にサウジアラビアに向かい、仕事に取り掛かり、成功を掴むのが楽しみだよ」と、そのキャリアを通じてレイドイベントには150戦以上の参戦経験を誇り、伝統のバハ1000で2度のチャンピオンに輝くアンダーソン。


 その男とタッグを組むネバダ州ラスベガス出身のソーレンセンは、オフロード、ドリフト、カートの経験をもとに、2019年にはフォーミュラ・ドリフト・シリーズに最年少の16歳で参戦。同年にはオフロード・バギーで争われるUTVチャンピオンシップにて、シリーズ最年少ながら2勝と5つの表彰台を獲得した。


「言わずと知れた強豪CGRに加わり、世界の舞台でGMCを代表できることを光栄に思うわ」と述べた弱冠20歳のソーレンセン。


「こうして革新的で持続可能なシリーズに挑戦し、ワールドクラスのドライバーと競う機会は本当にエキサイティングよ」


 そんなチャンピオンシップは、2023年の開幕を前に新しいレース形式を明らかにし、各『X Prix』はダブルヘッダーとされ、週末に連続してラウンドを開催。これによりシリーズは全10戦で争われ、タイトル決定を左右するポイントが倍になる可能性がアナウンスされた。


 また、予選も単純なタイムアタック形式ではなく、トラック上に5台のマシンが入り乱れての走行となる「より不確定でエキサイティングな要素」も追加されている。

ネバダ州ラスベガス出身、弱冠20歳のソーレンセンはフォーミュラ・ドリフト・シリーズに最年少の16歳より参戦した
2023年より各『X Prix』はダブルヘッダーとされ、週末に連続してラウンドを開催。これによりシリーズは全10戦で争われることに
Extreme E開幕戦サウジアラビアはNEOMでの『デザートX-Prix』は、3月11〜12日に開催される

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