体制強化が早くもテストで奏功? Kids com Team KCMGに田中哲也氏が加入し、実質“監督2名”体制に

2023年3月7日(火)15時58分 AUTOSPORT web

 鈴鹿サーキットで行われているスーパーフォーミュラの公式テスト。新パッケージのSF23が導入され勢力図が変わりそうな雰囲気はあるが、特に初日から2日目にかけて好調な走りをみせているのが、Kids com Team KCMGだ。


 昨シーズンは、小林可夢偉と国本雄資の2台体制で参戦し、第3戦鈴鹿ではダブル入賞を飾ったが、全体的に表彰台争いには絡めず、チームランキングは12チーム中10位で終える結果となった。


「我々は、国内トップフォーミュラに出て今年で14年目になりますけど、内容的に一番悪かったのが昨年でした。そこを全ての部門で受けとめ、(現状を)認めて、そこからどうやって改善していくのかということで、土台作りを考えていきました」そう語るのは、土居隆二チーム代表。


「エンジニアリング面やストラテジー、あとはオペレーションの含め、すべてがダメだったから、ああいう結果になったと思います。みんな頑張ってやってくれているのは、もちろん分かっていますが」


 そんなKCMGは、2023シーズンに向けチーム内の各方面で体制の見直しと強化を図った。まずはマシンのメンテナンス面で、かつてKCMGの国内トップフォーミュラ参戦開始時にも一緒に働いたことのある五十嵐一成クルーチーフを再び招聘した。


「昨年までKONDO RACINGにいた五十嵐さんが加わりました。KCMGが立ち上がった時に一緒にやっていて、十数年ぶりに戻ってきてくれたことになります。昨年12月に話をして、今年からクルーチーフをやってくれることになりました。『ここにいるスーパーフォーミュラ全チームのクルマのなかで、仕上がっているのはうちのチームだと胸を張って言えるように、責任を持ってやってください』と伝えてあります」


「そこに若い子たちが社員として新しく加わりました。やっぱり、フリーランスの人ではなくて、正社員として常にスーパーフォーミュラのクルマのそばにいてくれる人たちが核となりますので、そこの補充をしました。とにかく、組み付けの部分から指導してもらいながら、やってきました」と土居代表。彼の加入によって、昨年まで頻発していた細かなトラブルが大幅に減ったという。


「おかげさまで、今回もクルマのトラブルがなくて、しっかり全セッション走れているので、そういったことでピットの中で止まっている時間がなくなっているので、そこは大きく進化している部分かなと思います」


 さらに大きな変化としては、元レーシングドライバーの田中哲也氏がレースマネージャーという形でチームに加入したことが挙げられる。


「今まで(松田)次生が監督としてやってくれていましたが、なかなか成績が伴わないところがありました。もちろん監督の立場でどうにもならないこともあったのですが、『何かできることはないか?』と考えた時に、少し忙しすぎたな、作戦面も含めて2台をひとりで見るというのは大変だな、というところがありました」と土居代表。田中レースマネージャーを加えることで、ひとりが1台に集中できる環境を作った。


 それぞれにチーム内での役職はあるのだが、走行が始まると、基本的に田中レースマネージャーが可夢偉の7号車、松田監督が国本の18号車を担当して、マシンのセットアップはもちろん、戦略面でのサポートも行っていくという。


「シンプルに、それぞれのベテランが、自分の担当するクルマが表彰台の真ん中に乗るためには何が必要なのか? ドライバーの立場やチームの立場で考えてもらって、それぞれの号車で集中してもらいたいと思っています」


「各々を勝たせることに全集中してほしいのだけど、そこでいがみ合あったり、意地の張り合いをするのではなくて、最終的に2台がそろって良い成績を出すために何をすれば良いかは、ふたりで考えてほしいと伝えています」

Kids com Team KCMGの松田次生監督(左)と、新加入の田中哲也レースマネージャー


 こういった変化が功を奏したのか、公式テスト1日目のセッション2では可夢偉が4番手タイムを記録。2日目午前のセッション3でも国本が3番手に食い込んでいる。これには土居代表も少なからず手応えを感じているようだ。


「何かにハマってしまうとか、訳がわからない状態になってしまうとか……全てが理解できる範疇のなかで、ものごとを進められているのが、すごく良いです。走り始めから結果として出ていますし、ドライバーふたりも表情が良いです。まだまだ不安材料もありますけど、テストは今回しかないので、富士でどういう戦いができるか楽しみです」


「狭いレンジのなかで、クルマがちゃんと反応してくれて、進めていけているというのは、ベースがしっかりしてきたということだと思います」


 開幕に向けて俄然期待も高まるのだが、「僕たちはうまくいっているとは全然思っていません」と土居代表。「開幕戦になるとみんな速くなってくるし、全然順位が変わって、あっという間に最後尾のあたりまで落ちてしまう可能性は充分にあるので、新しくなったボディワークとタイヤをつかんだ者勝ちなのかなと思います。そこを少しでも早く見つけたいなと思います」と冷静に現状を分析していた。


 今季こそ悲願のチーム初勝利を達成したいKCMG。土居代表も「本当に悲願ですね。今年は、ここまで準備してきて体制も強化してきましたけど……これで結果が出なかったら、僕も辛いです。国本はチャンピオンの経験もあるドライバーですし、可夢偉はまだ一度も勝てていない訳ですから、これで勝たせられないというのは、まずいなと思っています。頑張ります!」と語りながら、自然と表情にも力が入っていた。

国本雄資(Kids com Team KCMG) 2023スーパーフォーミュラ公式合同テスト 鈴鹿

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