経験と勢いの両面に強み。カギは“レースでの再現性”【2024全チームプレビュー/PONOS NAKAJIMA RACING】

2024年3月7日(木)17時15分 AUTOSPORT web

 いよいよ3月9〜10日に迫った2024年全日本スーパーフォーミュラ選手権の開幕。前年王者こそ不在ではあるものの、FIA F2王者から“現役女子高生ドライバー”まで、話題の注目ルーキーが参戦するほか、メーカー・チームを移籍したドライバーも多い。また、共通ダンパーが導入されることなどにより、これまでの勢力図が動く予感も漂う注目のシーズンとなりそうだ。


 ここでは2月21〜22日に鈴鹿サーキットで開催された公式合同テストを前にした『メディアデー』でのドライバー・監督らの発言をもとに、今季体制の変更点や注目ポイントなどをチームごとにまとめ、連載していく。


 今回はタイトルスポンサーが変更されたPONOS NAKAJIMA RACINGだ。


■PONOS NAKAJIMA RACING 2024年スーパーフォーミュラ参戦体制


・ドライバー:山本尚貴(No.64)/佐藤蓮(No.65)
・総監督:中嶋悟
・監督:伊沢拓也
・チーフエンジニア:岡田淳(No.64)/加藤祐樹(No.65)
・リザーブドライバー:イゴール・オオムラ・フラガ
・エンジン:ホンダ/M-TEC HR-417E


公式サイト:
http://www.nakajimaracing.co.jp/

2024スーパーフォーミュラ鈴鹿合同テスト 山本尚貴(PONOS NAKAJIMA RACING)
2024スーパーフォーミュラ鈴鹿合同テスト 佐藤蓮(PONOS NAKAJIMA RACING)


■2023年の怪我から山本が復帰


 昨年同様に、山本尚貴と佐藤蓮という2台で参戦するPONOS NAKAJIMA RACING。今年はタイトルスポンサーの変更に伴いマシンカラーリングを一新、ドライバーのレーシングスーツも含め、真新しいオレンジの配色が取り入れられている。


 2013、2018、2020年と三度シリーズを制している山本は、トップフォーミュラ参戦15年目を迎える。一方、2022年にTEAM GOHからデビューしルーキー・オブ・ザ・イヤーを獲得し、昨年からNAKAJIMAに加わった佐藤は参戦3年目。それぞれの担当エンジニアも昨年から変更はない。


 なお、新たに設けられたリザーブドライバーのポジションには、昨シーズンの全日本スーパーフォーミュラ・ライツ選手権でランキング4位の成績を納め、スーパーGT GT300クラスにも参戦していたたイゴール・オオムラ・フラガが就くこととなった。


「去年は1勝どころか表彰台にも上がれなかったですし、(スーパーGTで)怪我もしてしまい、フルシーズン戦えませんでした。今年はまたチャンスをいただけたということで、しっかりと1年間戦っていきたいと思っています」と山本は意気込みを語る。


 大きな怪我、そこからの手術を経ての復帰となる山本は、「メスを入れると、自分が思っていたよりは回復するスピードが遅いというか、結構大変なんだなとは感じています」と身体的な不安はゼロではないものの、取材後のテストでセッション2番手タイムを記録するなど、復調をアピールしている。


「やっぱりスーパーGTとも違う、フォーミュラカーならではの負荷がかかるものだな、と実際乗ってみて感じました。落ちてしまって、取り戻しきれていない部分はあるなと感じたので、開幕までになんとか取り戻したいと思っています。あと開幕まで2週間ほどですが、もうちょっとだけ追い込めると思うので、開幕にはなんとか間に合うんじゃないかと思います」とテストを終えた山本は話している。


■SF3年目の佐藤の課題と、かつてない手応え


 昨年から監督を務める伊沢監督はチームの課題を問われると、「それまで他のチームでアドバイザー的なものをやってはいましたが、(監督1年目の昨年は)何が良いか・悪いかというのも分からない部分はありました。ただ、ふたりのドライバーが速いというところで言うと、結果は物足りなかったと思います」と答えている。


「去年から今年にかけてはほとんどのメンバーが同じですので、そういう意味では昨年よりも積み重ねがある状態でレースに臨めると思います。去年は思っていたよりも予選で上位に来られませんでした。テストは良かったのに、なんでレースではうまくいかないんだろうという部分では、改めて自分が乗る以外の部分でのスーパーフォーミュラの難しさを感じていますね」

2024スーパーフォーミュラ鈴鹿合同テスト 佐藤蓮(PONOS NAKAJIMA RACING)


 チーム2年目となる佐藤は、「昨シーズン移籍してきて、ポイントを取りこぼすような悔しいレースが何度かあったので、今年の目標としては全レース完走、ポイントを獲得して、チャンピオン争いに絡みたいと思っています」と意気込みを語る。


 この“取りこぼし”に関して、担当する加藤エンジニアは「去年佐藤選手といろいろ話していくなかで、どうしても意識がトップを取ることにこだわってしまうところがあり、それがゆえにちょっと頭が硬くなるところがあったかなと思います」と振り返っている。とりわけ成績が悪いときにその傾向が出てしまったことが昨年の「反省」だとして、「そこを下手に高望みするのではなく、自分たちが持っているものが何かを把握して、それを出し切るというところに意識を変えたい」と加藤エンジニア。


 佐藤も「(昨年は)ドライバーとしても細かいミスがありましたし、そのなかで今年は突拍子もないようなチャレンジをせず、積み重ねながら、今持てるポテンシャルを引き出すことに集中したい」と語る。


 なお佐藤は、この2日間のテストの最終セッションで3番手タイムを記録し、「すごく充実したテストでした。この調子で開幕に臨めれば、優勝も見えてくると思うので、このまま行きたい」とかなりの手応えを感じていた様子。「今までの(SFキャリアの)中では、すごく期待できる状況」とも口にしており、どんな走りをみせてくれるか、楽しみな存在だ。


 3冠を誇るベテランと勢いに乗る若手という、ある意味理想的なコンビネーションで臨むPONOS NAKAJIMA RACING。経験という側面からも、勢いという側面からも、ライバルを打ち負かすポテンシャルはある。テストでの好調ぶりを、シーズンを通した結果に結びつけていきたいところだろう。

2024年、PONOS NAKAJIMA RACINGでリザーブドライバーを務めるイゴール・オオムラ・フラガ


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