「こうなるとは思っていなかった」。FIA F2出身ルーキー、岩佐歩夢とテオ・プルシェールに生じた誤算/SF第1戦

　昨年FIA F2チャンピオンのテオ・プルシェール（ITOCHU ENEX TEAM IMPUL）と、同シリーズ4位の岩佐歩夢（TEAM MUGEN）が参戦し注目を集めている2024年の全日本スーパーフォーミュラ選手権。シーズンオフのテストから好調な走りを見せており、周囲からの期待も高まっていたふたりだが、3月9日、気温10度を下回る極寒のなかで行われた開幕戦鈴鹿の公式予選では、両者とも不本意な結果に終わってしまった。

■「持ち込みセットが良くなかった」岩佐

　冬のテストで安定して上位に食い込んでいた印象の岩佐。今回も上位に来ることは確実だろうと思われていたが、朝のフリー走行ではセッション序盤からタイムが伸び悩んでいる印象で、最終的にはトップから0.7秒差の10番手となった。

「持ち込みのセットが良くなくて、全体的にグリップが足りませんでした。そこからセッション中にやっていったことがさらに良くなかったです。結局何が良いのか分からないまま予選を迎えたので、そこがけっこう厳しかったです。いろいろ試したところでの結果なので、ダメだった部分が分かったのは良いのですが、予選に向けてそれがちょっと苦しい状況になってしまったのかなと思います」

　フリー走行の内容を踏まえると「本当にQ1大丈夫かな？　と思うくらいの位置関係だったので」と不安が大きな状態で臨んだという岩佐。午後の公式予選ではQ1Aグループで3番手につけ、パフォーマンス改善が見られたかに思われたが、Q2では0.657秒差の11番手という結果に終わった。

「あの状況からQ1を通ることができたというのはポジティブですが、それでも足りてなかったです。もう少し良いポテンシャルでスタートできていれば、もう少し詰められたのかなと思います」と悔しい表情をみせていた。

　冬のテストでは、何度もロングランのテストをしていた印象のTEAM MUGEN陣営。決勝ペースに関しては「やってみないと分からないですね。ロングに関してもいろいろプランはあります」と慎重な考えを示したが、「自分のポテンシャルが高ければ、基本的にレースは上位に行けるので、そこはしっかりといきたいです」と岩佐。

「戦略だけで勝負するのでなくて、しっかりと自分のパフォーマンスを最大限に発揮して、優勝を目指したいと思います。決勝は別物になるので、そこに向けてしっかりと準備をして、とりあえず全力で追い上げていきたいなと思います」と意気込みを披露していた。

■落胆を隠しきれないプルシェール

　一方、F2チャンピオンのプルシェールは、朝のフリー走行で5番手タイムを記録するなど、好調な走り出しを切った。パフォーマンスを見る限りではQ2進出は間違いなさそうに思われたが、Q1Aグループではミスのないアタックを行うも、8番手でQ1敗退という結果になった。

「朝のフリー走行は調子が良くて、トップ5にいた。予選ではトップ3を狙えるだろうと僕自身は思っていたけど、いざ始まってみたら予選の結果がすごく悪くて……16番手という結果になった」とプルシェール。

「こうなるとは正直思っていなかった。とにかく改善策を見つけたい」と、午前中に手ごたえをつかんでいただけに、落胆の表情を隠しきれない様子だった。

「僕が走ったQ1のAグループではトップ5が全部ホンダでトヨタは1台だけだった。なぜこうなったのか分からない。もちろんエンジンメーカーが違うから、そこで何かあったのかもしれないし……いずれにしても何か理由があるはずだ」

「だけど、最終的にトヨタエンジン車がポールポジションを取った。ちょっと、理解し難い状況が起きている。とにかく僕自身は良いラップを刻むことができていた」

　特に何かセットアップ面の変更でマシンバランスが変わったというものではなく午前と同じように走った結果、Q1敗退だったとのこと。この状況にプルシェールも首を傾げていた。

　とはいえ、10日の決勝レースでは最低でもポイント獲得を狙っているとのこと。「今は僕がコントロールできる範囲でベストを尽くすだけだ。明日はどうなるか分からないけど、速いペースで走れればいいなと願っている。最低でもポイントは持ち帰りたい」と語った。

　FIA F2から来たルーキーたちにとっては試練のデビューレース予選となってしまったが、明日の決勝でどこまで追い上げてくるのかは、ひとつの注目ポイントとなりそうだ。

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