「途中まで苦しかった」ルーキーイヤー 勝みなみを救った有村智恵のことば【単独インタビュー】

2024年3月13日(水)8時0分 ALBA Net

サウジアラビアでは街の雰囲気も楽しんだ(本人提供)

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昨季から米国女子ツアーに主戦場を移した勝みなみは1年間を戦い抜いた。ポイントランキング74位でシード権を獲得し、米2年目へと突入する。単独インタビューでこの1年間の葛藤、成長、そしてこれからについてを聞いた。




2022年12月の「Qステージ(米最終予選会)」で5位に入り、ツアーメンバー入りを果たした。出場2試合目の「DIOインプラントLAオープン」で7位タイに食い込み、初のトップ10入りを飾る。最高の形で幕を開けたが、ここから我慢が続いた。

リシャッフルを無事に突破していくも、80位までに設定されている来季シード権獲得のボーダーラインが背中にぴったりと張り付いていた。プロになってから毎シーズン勝利を飾り、通算8勝(アマ優勝を含む)を誇る実力者にとって、ボーダーラインを意識するというのはこれまで経験がなかったことだ。

「途中まで苦しかった」というのが正直な気持ちだった。だが、“先輩”からの言葉に救われたという。「有村智恵さんとご飯を食べさせてもらったときに、『60位に入らなかったら何位でも一緒。シードとか考えなくて大丈夫だよ』と言ってくださった。そこから楽になったというか、意識が変わりました」。

この60位というのは、年間女王を争う最終戦に出場できる位置。そして出場人数が限られる、翌年の春のアジアシリーズに出場できるかというボーダーラインで、さらには海外メジャー出場の目安にもなる。この60位というラインと、当時のランキング、自身の状態を考えたときに、ふっと気持ちが軽くなった。

「そのときのゴルフの調子だと(60位は)難しいんじゃないかなと思っていた。シードを目指して自分を追い込んでいたけれど、(有村が)『追い詰めなくていいよ』って言ってくださった。そこから臨む姿勢も変わりました。最後は楽しんでゴルフをできたかなと思います」

ランキング78位で迎えた自身最後の試合「ザ・アニカ・ドリブンbyゲインブリッジatペリカン」では、ボーダーラインがすぐそばに近づいている緊張感のあるなかでも、自分らしさを貫いた。スイングで上体を低く保つために、テークバックで「地面に顔がつくくらい極端に」と意識してみた。コーチがいないからこそ、自分ひとりで、コースで様々なことを試すのがマイスタイル。それはシード争いの最終局面という大事な場面でも変わらない。

「最後は自分のやりたいことをやろうと。納得したスイングや納得のいく内容で回れたらいいと思っていたら、『意外といいじゃん』って」。シーズンを通して感じていたショットの違和感を払拭するような好感覚を得ながら、7位に入りポイントランキングも浮上。満足感とともにルーキーイヤーを締めくくることになる。

予選通過は23試合中15回、トップ10入り2回、ポイントランキング74位。このルーキーイヤーを「3〜40点」と評価した。

「(ゴルフの)調子が悪い中でも頑張ってシードを獲ったけれど、思い描いていたものと違った。そううまくはいかないけれど、この自分に高得点をつけてもそれで満足をしてしまう。自分には厳しく。ただ1年間戦えた、シードを獲れた、というだけの点数ですね」。“ギリ赤点回避”。頑張った自分への、最低限の評価だ。

一方で、調子が上がらないなかでも1年間を最後まで戦い、来季の出場資格を得たことは、もちろん前向きになれる部分でもある。「あまり調子が良くなかったので、心配や不安が大きかった。けれどなんとか大きなケガもなく無事に戦えた。1年間をアメリカで戦えたし、最後の試合をいい形で終われたのでそれは自信になりました」。

今年はすでにフロリダ戦、欧州女子ツアー「アラムコ・サウジ女子」に出場。サウジ女子では最終日に「65」をマークして3位でフィニッシュした。3月には国内女子ツアー2試合にも参戦。米ツアーが本格的に始まる前に、今年も様々なことにチャレンジしている。(文・笠井あかり)


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