「難しいコース = 戦略的」は完全に間違い! “正しいコースデザイン”を定義してみた

2024年3月14日(木)7時0分 ALBA Net

2グリーンから1グリーンに改造する事でルートの選択肢が増える。つまり、老若男女あらゆる技量の人々が同じフィールドでプレーできる(春日井CC東コース図面)

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「戦略性が高いゴルフコース」と聞くと、池やバンカーが多く、OBが出やすく正確なショットを求められるコースレイアウトを想像する方が多いのではないだろうか? この「難しい = 戦略的」という表現は本当に正しいのか。戦略性の本当の意味に、ゴルフ活動家の大矢隆司さんが迫った。


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ゴルフコースデザインの歴史は古くからありますが、毎年マスターズが開催される「オーガスタ・ナショナル」の設計者でもあるアリスター・マッケンジーが1914年にデザインコンペティションで優勝したスケッチが、ゴルフコース設計における「ストラテジックデザイン(戦略的デザイン)」の原点と言われています。

このデザインの特徴は「Symbols used by all competitors」というタイトルの通り、「全ての競技者に使用される複数のルートが存在する」という事が重要なコンセプトとして示されています。すなわち、ゴルフコースにおける優れたデザインとは「どんな技量のゴルファーにも攻略ルートを提供する」ことであり、「複数のルートが選択できる事 = 戦略性」というのが世界のゴルフコース設計が目指すべき戦略性の基本となっています。

一方で日本のゴルフコース設計の歴史を見ると、ゴルフ創世記に作られた名門コースはシングルグリーンで作られていますが、日本独自の気候に合わせたダブルグリーンが主流となっていきました。

ダブルグリーンは2つのグリーンの芝種を変える事で、一年を通じて快適なグリーンコンディションを提供する一方で、2つのグリーンそれぞれに複数のガードバンカーを有し、さらにグリーンへのベストルートがフェアウェイ上に2点存在することになりますから、必然的にフェアウェイバンカーも左右に設置されることになり、結果的にティーショットも、グリーンへのショットもハザードに囲まれたミスが許されない単調なデザインになりました。もちろんグリーンの数だけが戦略性を定義するものではありませんが、こうした流れから最近では1グリーンへの改修工事を進めるコースも増えています。

デザインに正しさを求めることは野暮ですが、老若男女あらゆる技量の人々が同じフィールドでプレーできるゴルフというスポーツにおいては、全てのゴルファーが楽しめるデザインが戦略性の本質と言えるのではないでしょうか。

レポート/大矢隆司(ゴルフ活動家)
1980年生まれ。中学卒業後15才で単身オーストラリアへゴルフ留学。ジェイソン・ディら多くのトッププロを輩出するHills Golf Academyで3年間を過ごす。帰国後大学に進学し在学中にゴルフコーチに転向。ゴルフコーチングと並行して会社経営を学ぶためにビジネススクールに通いMBA(経営学修士課程)を修了。国内外でのゴルフビジネスの起業を経て、現在はゴルフビジネスのアドバイザーやPMO、オーナー代理人としてゴルフ場やゴルフ関連企業の顧問を務める

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