羽生結弦の「3・11宮城公演」をスポーツ6紙はどう報じたか徹底比較してみた

2023年3月17日(金)6時0分 ココカラネクスト

(C)Getty Images

 特別な日に、故郷の宮城から鎮魂の想いと希望を発信しました。

 東日本大震災の発生から12年となる3月11日、羽生結弦さんが座長を務めるアイスショー「羽生結弦 notte stellata」第2日目の公演が宮城のセキスイハイムスーパーアリーナで行われました。

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 羽生さんは震災直後は遺体安置所だった会場から、祈りにも似た舞を披露し、最後の挨拶では素直な想いを超満員の観衆に語りかけました。

 あの日、自らも被災した羽生さんが「3・11」に、観客を前に演技を見せるのは初めて。熱きメッセージが込められた2時間のアイスショーには、集結したオーディエンスから絶賛の声が相次ぎました。

 羽生さんの「3・11」を朝刊スポーツ6紙は翌朝、どう報じたのか。スポーツ紙のデスクに登場いただき、3月12日付の東京本社版の紙面を読み比べて、検証していきましょう。なおこの日は全紙、一面はWBCのチェコ戦に先発した侍ジャパンの佐々木朗希投手でした。

【日刊スポーツ】
 スポーツ紙の雄は最終面に「外出し」し、得意の美しい写真とレイアウトで報じました。記者による原稿を敢えて「封印」し、羽生さんのメッセージのみで構成する特別な展開になりました。

【スポーツニッポン】
 心あるエース級のカメラマンによるアートな写真が羽生ファンからも支持を得ているスポニチですが、最終面は主催する王将戦に臨む藤井聡太王将で構成。羽生さんは五面まるまるの大展開です。
 際立つのはやはり写真の美しさ。社内の制作陣による絶対的な自信も感じられ、堂々とファンに訴える素晴らしい紙面となっています。

【スポーツ報知】
 最終面&センターワイド見開きの計3枚という大展開ぶり。最終面には担当記者歴の長いベテラン記者によるレポートを掲載し、これまたファンからの支持が高いカメラマンによる入魂の一枚が紙面を飾っています。
「3・11」の前後にも羽生さんの関連企画は骨太で読み応えのあるものを取りそろえており、「ウチは羽生で行く」という決意と覚悟が、紙面からにじみ出ているようです。
 元々宅配読者も多く、他紙に先駆けてアダルト面を廃止し、女性にも読まれる紙面を目指してきた経緯もあります。羽生さんのフィーバーで、それらの地道な努力が開花したと言ってもいいでしょう。

【デイリースポーツ】
 こちらも16面、17面のセンター見開きでワイド展開。文字数を最小限に抑え、縦型のポスターというダイナミックさが際立っています。
 特筆すべき事項としては、ページ数の脇にジャンル数を記しているのですが、このジャンル名が「羽生結弦」なのです。ちなみに他のページは「WBC」「野球」「スポーツ」「芸能」「お色気」というもの。
 つまり、羽生さんの舞は「スポーツ」や「芸能」といったジャンルに収まるものではない。これはズバリ、「羽生結弦というジャンル」であるというデイリースポーツ編集局のメッセージにも読み取れます。
 ちなみに最終面は「虎ドラ1森下 勝負強いん打!!開幕3番いけるで!!」。やはり、デイリーはこうでないと。固定客である虎ファンにもしっかりアピールする点は抜け目ないです。

【サンケイスポーツ&東京中日スポーツ】
 サンスポは11日当日付で最終面へ「外出し」し、トーチュウも11日当日付では1面&最終面を「ラッピング」するなど、ともに大展開。その分、12日付の紙面はまさかの「扱いなし」に終わりました。
 この辺のメリハリは致し方のないところ。むしろ報知やデイリーからは、「他紙がやらないときこそ、ウチはしっかりやる」というある種の気概が感じられます(笑)。

 いかがでしょうか。WBC期間中で関連記事によって紙面が「辛くなる」中でも、羽生さんの報道はスポーツ紙にとって命綱であるという現状が見えてきます。今後も「勝負所」での各紙の報道に注視していきましょう。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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