オジエ圧勝、WRCメキシコで7勝目を飾りランキング首位に浮上。白熱の2位争いは最終ステージで決着

2023年3月20日(月)5時22分 AUTOSPORT web

 3月19日、WRC世界ラリー選手権第3戦『ラリー・メキシコ』の競技最終日は、SS20からSS23の計4ステージが行われ、TOYOTA GAZOO Racing WRTのセバスチャン・オジエ/ヴァンサン・ランデ組(トヨタGRヤリス・ラリー1)が優勝。39歳のベテランが今季2勝目を飾るとともに、自身7度目となるWRCメキシコ戦優勝を決めた。


 2023年シーズン最初のグラベル(未舗装路)イベントとして開催されたラリー・メキシコ。コロナ禍による中止を経て3年ぶりにWRCのカレンダーに復帰した同ラリーは、標高2000メートルを超え最高地点は2700メートル以上となる高地、日中は30℃前後まで上昇する気温、このふたつの要素が選手たちと、メキシコ初上陸となったラリー1カーにとって最大の試練となった。


 そんなメキシコ・ラウンドで過去6回優勝しているオジエは、17日(金)のデイ2で好バトルを繰り広げたエサペッカ・ラッピ(ヒョンデi20 Nラリー1)が、翌日デイ3のオープングステージでクラッシュしリタイアとなったことでSS11以降、総合首位に浮上した。


 後続を引き離し35.8秒のリードを持って競技最終日に臨んだシリーズ6冠王者は、前日までに稼いだ“貯金”を有効に使いながら、今大会最長のSS21“オタテス”を含む3つのステージを走行。パワーステージに設定された最終SS23“エル・ブリンコ”に向けて順調にラリーを進めていく。


 総合2番手につける僚友エルフィン・エバンス(トヨタGRヤリス・ラリー1)とのギャップが22.5秒となって迎えた最後のステージでは、貫禄のトップタイムを記録し優勝の25ポイントにボーナスの5ポイントを加えた“フルポイントマーク”を達成。開幕戦モンテカルロでの優勝に続く今季2戦2勝の活躍でドライバーズランキング5位から首位に浮上している。


 計4本、SS合計距離は61.53kmで争われたラリー最終日で注目を集めたのは、前日に引き続き僅差で総合2番手を争うエバンスとティエリー・ヌービル(ヒョンデi20 Nラリー1)のバトルだった。競技3日目に8本中4本のステージでベストタイムを記録し、ライバルの後方4.3秒の位置に迫ったヌービル。ヒョンデのエースは最終日のオープニングでも最速タイムを刻み、エバンスにプレッシャーを掛けていく。


 一方のエバンスも、負けじとSS21で応戦しヌービルのタイムを1.7秒上回ってステージ優勝を飾る。しかし、続くSS22ではふたたびベルギー人がトップタイムをマーク。エバンスが3.1秒遅れため、この時点で両者のタイム差は2.7秒となった。

5位となったダニ・ソルド(ヒョンデi20 Nラリー1) 2023年WRC第3戦ラリー・メキシコ
ジョルダン・セルデリディス(フォード・プーマ・ラリー1) 2023年WRC第3戦ラリー・メキシコ


■2位と3位、その差はわずか0.4秒


 運命の最終パワーステージではヌービルが暫定2番手のタイムを記録するなか、ウェールズ人はスプリット1で1.6秒遅れ、続くスプリット2で3.1秒のプラス表示に。最終的にはライバルから3.3秒遅れてフィニッシュ。この結果、ヌービルが逆転で総合2位を奪いトヨタのワン・ツー・フィニッシュを阻止している。


 総合4番手でデイ4に入った“現王者”カッレ・ロバンペラ(トヨタGRヤリス・ラリー1)は、順位を守ってフィニッシュ。パワーステージでも4番手に入り、ボーナスの2ポイントを加えた。総合5位はヒョンデのダニ・ソルド(ヒョンデi20 Nラリー1)で、こちらも入賞ポイントに加えて最終SS23でボーナス1ポイントを持ち帰っている。


 総合6位以降は前日に引き続きラリー2勢が並び、WRC2クラスを制したガス・グリーンスミス(シュコダ・ファビアRSラリー2)がその先頭に位置している。WRC2クラス2位は現チャンピオンのエミル・リンドホルム(シュコダ・ファビア・ラリー2エボ)で、同3位にオリバー・ソルベルグ(シュコダ・ファビアRSラリー2)が入った。


 彼らの後方、総合9位はパワーステージで2番手タイムをマークしたオット・タナク(フォード・プーマ・ラリー1)となった。前戦スウェーデンで優勝しランキング首位でメキシコに乗り込んできたエストニア人は、フルデイ初日にターボブーストのトラブルに見舞われ順位を落としていたが、トップ10圏内までポジションを挽回してみせた。


 金曜日にコースオフがありデイリタイアとなった後、土曜日から再出走していた勝田貴元(トヨタGRヤリス・ラリー1)は総合22位で初参戦のラリー・メキシコを完走している。


 WRCの次戦第4戦は1カ月後の4月20日(木)から23日(日)にかけて、東欧のクロアチア行われる『クロアチア・ラリー』だ。今戦と同じくグラベルでの戦いとなる次戦に向け、WRCの舞台は中米からふたたびヨーロッパへと戻る。

最終ステージでエルフィン・エバンスを逆転し、総合2位となったティエリー・ヌービル(ヒョンデi20 Nラリー1) 2023年WRC第3戦ラリー・メキシコ
WRC2クラス優勝のガス・グリーンスミス(シュコダ・ファビアRSラリー2) 2023年WRC第3戦ラリー・メキシコ
総合3位でフィニッシュしたエルフィン・エバンス(トヨタGRヤリス・ラリー1) 2023年WRC第3戦ラリー・メキシコ
パワーステージで2番手タイムを記録したオット・タナク(フォード・プーマ・ラリー1) 2023年WRC第3戦ラリー・メキシコ

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