ラリーに挑んだレーサーその1、元F1王者キミ・ライコネン【WRC Topic】

2022年4月8日(金)11時40分 AUTOSPORT web

 JRC全日本ラリー選手権でヘイキ・コバライネンが開幕2連勝(新城、唐津)を飾った。しかも、全ステージベストタイムというオマケつきだ。彼のマシン、シュコダ・ファビアR5の戦闘力が高く、ダンロップタイヤもクルマと路面にマッチしていたようだが、それにしてもトップカテゴリーに挑戦していきなり2連勝とは恐れ入る。


 ラリードライバーとしても、素晴らしいセンスを備えていることは間違いない。今年、11月に開催が予定されているWRC第13戦『ラリージャパン』にも出場を検討しているようなので、とても楽しみだ。


 ラリーにチャレンジしたレーサーは少なくないが、WRC世界ラリー選手権に出場したドライバーとしては、2007年にF1ワールドチャンピオンとなったキミ・ライコネンがもっとも有名だ。


 ライコネンはフェラーリ在籍時の2009年、WRCラリー・フィンランドにアバルト・グランデプントS2000で出場。結果はリタイアだったが、翌年はラリーに完全転向した。


 2010年はシトロエンのジュニア・チームからシトロエンC4 WRCでシリーズ出場した。その時のチームメイトは、当時シトロエンの育成ドライバーだったセバスチャン・オジエだった。オジエはシーズン中盤でWRC初優勝を飾り、その後1軍チームにステップアップしてしまったが。


 ライコネンは、WRカー参戦4戦目のラリー・トルコで総合5位フィニッシュを果たす。とてもうれしそうな姿が印象的だったが、結果的にそれが彼のWRCでのベストリザルトになった。また、その年ライコネンは札幌開催のラリー・ジャパンにも出場したため、実際に彼の走りを見たファンも少なくないだろう。


■“音声情報に頼る”ペースノート走行を完全にはマスターできず


 2011年は自身のチーム、ICE 1レーシングからシトロエンDS3 WRCで参戦。予算の関係もあってフル出場は叶わず、ベストリザルトはヨルダンとドイツでの総合6位だった。そして、ライコネンはラリーに限界を感じたのか、モチベーションを失ってしまったのか、2011年を最後にWRCを離れ、ふたたびF1の世界へと戻っていった。


 WRCでのライコネンのスピードは、瞬間的にトップに迫るものがあった。それでもF1でのような結果を残せなかったのは、もちろん経験不足が最大の理由であるが、ペースノート走行を完全にはマスターできなかったことも大きい。


 レッキでのペースノート作り、その情報を音声で聞きながらの走行になかなか慣れず、どうしても有視界走行になりやすかったと、当時コドライバーだったカイ・リンドストロームは言う。彼は元トミ・マキネンのコドライバーであり、現在はトヨタでスポーティングディレクターを務めるベテランだ。


 経験を積むごとにペースノート走行のスキルは上がっていったようだが、それでもWRCトップドライバーの域には達しなかった。とはいえ、走りのセンスはやはり素晴らしかっただけに、F1を引退した今、ふたたびラリーにチャレンジして欲しいものだ。

キミ・ライコネンがドライブしたアバルト・グランデプントS2000 2009年WRC第9戦フィンランド
キミ・ライコネンとコドライバーのカイ・リンドストローム
クラッシュを喫したキミ・ライコネン 2010年WRC第2戦メキシコ

新井敏弘と談笑するキミ・ライコネン 2010年WRC第10戦日本
2010年、北海道で開催されたWRCラリージャパンに出場したキミ・ライコネン駆るシトロエンC4 WRC

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