D’station Racing スーパーGT第1戦岡山 レースレポート

2018年4月10日(火)0時19分 AUTOSPORT web

D’station Racing


Race Report 001 – 2018. 4.9


予選20番手からの大逆転劇!
作戦的中で2位表彰台をゲット


AUTOBACS SUPER GT SERIES Round.1 Okayama­­
April 7-8 2018


 今年こそ悲願の初勝利、そしてチャンピオンを目指す──。2018年、D’station Racingにとって2年目のSUPER GTへの挑戦が始まった。チームは今季に向け、エース藤井誠暢を軸に、昨年二度の表彰台をもたらしたスヴェン・ミューラーのフル参戦も決定。2018年版にアップデートされたポルシェ911 GT3 Rを投入する。


 迎える4月7〜8日の開幕戦は、岡山国際サーキットが舞台。オフシーズンのテストも好調で期待がかかるシーズンの幕開けだったが、岡山はどちらかというとD’station Porscheにとっては苦手とするコース。ただチャンピオンという目標に向け、開幕ダッシュを決めたいレースだ。


 すでに桜の季節も過ぎ、暖かくなってから迎えた7日の予選日だったが、前日から岡山は季節外れの寒さに見舞われる。SUPER GTではレースウイークの気温を予測したタイヤを持ち込むが、あまりの冷え込みに多くのチームがタイヤの白熱に苦しむことになる。もちろん、D’station Porscheもその例外ではなかった。7日朝の公式練習では1分27秒403というベストタイムで17番手と苦しい順位となった。


 ただ、いたずらに予選結果を追い求めることも禁物だ。午後の予選Q1はミューラーに託し、Q1突破を目指す。しかし、ポルシェワークスドライバーの腕をもってしても1分26秒730というタイムで20番手。もう少し前の順位ならばレースでのジャンプアップも見込めるが、下位スタートはリスクも大きい。ただ、チームが笑顔を取り戻すことになったのは、予選後行われたPCCJの決勝で、星野敏オーナーが3位表彰台を獲得したこと。レース後、パドックでは星野オーナーの誕生日パーティも行われ、チームは「いいプレゼントを贈ろう」と決勝での逆襲を誓った。

D’station Porsche
D’station Porsche


 明けて4月8日のサーキットは、午前中こそ雨が舞い、星野オーナーも苦しむレースとなってしまったが、SUPER GTの決勝が近づくと青空が顔を出し、気温も上昇。本来のタイヤの性能が発揮できるコンディションとなっていった。チームはスタートドライバーを務める藤井がハードめのタイヤをもたせつつペースを上げ、コース上がクリアになる後半まで引っ張り、ミューラーがラストスパートをかける作戦を立てた。


 17,700人という昨年を上回るファンが見守ったスタートから、藤井は決してタイヤをいじめることなく、そしてチャンスとあれば確実にライバルを仕留める走りをみせる。序盤からトップ争いが混戦だったこともあり、ペースはトップ集団と変わらないどころか、わずかに速い。そのなかでも藤井は逐一無線でタイヤの状態を報告。ライバルたちがピットに向かうと、さらに藤井はペースを上げ、40周目にはトップに浮上! 首位を争っていたマシンがストップし混乱の恐れがあったのを見計らい、43周にピットイン。ミューラーに交代した。本来はタイヤ無交換作戦も採れる可能性があったが、当初の作戦どおり、リヤタイヤのみの二輪交換を行い静止時間を稼いだ。


 チームの迅速な作業にも助けられ、ピットアウトしてみればミューラーの順位は4番手。前を行く#65 メルセデスは見えている。しかもペースはこちらの方がいい。ミューラーは藤井がそうしてみせたとおり、決して焦らずチャンスを待った。


 レースも残りわずかという70周目。マイクナイトコーナーから最終コーナーにかけての攻防で#65 メルセデスがわずかに姿勢を乱すと、ミューラーはこれを見逃さず、3番手に浮上! ついに表彰台圏内に入ったが、前を走る#25 86MCはかなりペースが苦しそうだ。「ちょっと無線でしゃべるのを止めてくれ」と一気に集中したミューラーは、わずか2周後に一気にオーバーテイク! そのままチェッカーを受け、チーム創設以来最高位となる2位でフィニッシュした。


 作戦は見事完遂。それどころか、予想よりもいい順位となった。苦手だった岡山での2位は、チームのポテンシャルが可能にした最高のスタートダッシュと言える。次戦は、公式テストで抜群のスピードを誇り、昨年初表彰台も獲得した富士だ。悲願達成への舞台は整った。

D’station Porsche
藤井誠暢とスヴェン・ミューラー
D’STATION FRESH ANGELS


Quates.


星野敏 Satoshi Hoshino/Team Principal
まさかの展開でしたね。最悪の予選から一夜明けて最高の決勝レースになったので、個人的には本当に素晴らしい誕生日プレゼントをいただいたと思っています! 不利と言われていた岡山国際サーキットという舞台で、こうしてチーム最高位となる結果を残すことができたので、次の富士が本当に楽しみです。ただD’station Racingとしての目標はあくまでも優勝とシリーズチャンピオンです。富士ではぜひ最高の結果を残して、ぜひそのチャンピオンに向けて有利にシーズンを運んでいきたいです。皆さん応援ありがとうございました。


佐々木主浩 Kazuhiro Sasaki/General Manager
予選では気温に苦しみ、20番グリッドからのスタートになってしまったので、抜きづらい岡山国際サーキットでは僕たちのポルシェは「どうなってしまうかな……」とは思っていましたが、藤井選手もスヴェン選手も本当に素晴らしい走りをみせてくれました。次からのリクエストは「頼むから予選Q1通ってくれ」ですね(笑)。予選が良ければ優勝も狙えたわけですから。でも次の富士スピードウェイでのレースはD’station Porscheにとって得意なコースなのは間違いないので、大いに期待したいと思っています。


武田敏明 Toshiaki Takeda/Team Director
今日はようやく予想していたコンディションになってくれたので、こういう作戦を採ることができました。ある意味ホッとしています(笑)。予選は想定外の気候もあり、周囲のタイヤ選択も分かっていたんです。だからこそ今日、こういう展開になるのは読めていました。でもポイント獲得を目指そう……と思っていただけに、表彰台は予想以上でしたね。藤井選手もベテランらしい走りを、スヴェン選手も我慢して抜いてくるクレバーな戦いをみせてくれましたし、ドライバーの力だと思います。富士はこれ以上にチャンスがあるはずなので、期待しています。


藤井誠暢 Tomonobu Fujii/Driver
岡山は相性は良くなかったですが、レースに集中したタイヤ選択をしていました。だからスヴェン選手が予選で苦戦したのだと思います。18年仕様のセットをテストでやってきてクルマには自信がありましたし、タイヤももつと思っていたので、フロントタイヤと燃費をマネージメントし、トップとの差を気にしつつ、途中でいけると確信しました。最終的に4番手でコースに復帰でき、スヴェン選手が2位まで上げてくれた。大変なオフにチームが体制を作ってくれたおかげですし、ヨコハマさんもいいタイヤを用意してくれました。次の富士はきっちり勝ちたいですね。


スヴェン・ミューラー Sven Müller Driver
予選ではコンディションが悪く、本当にガッカリした。でもテストも良かったし、慌てることなくレースに集中していたんだ。藤井選手が後方からのグリッドで難しい序盤だったのに、あの位置までジャンプアップしてくれて、素晴らしいレースを展開してくれたね。ピット作業後、藤井選手がフロントタイヤを残してくれたおかげで#65メルセデスと戦うことができた。バトルはお互いスペースを残して、フェアなレースだったよ。だからこそ僕はSUPER GTが好きなんだ。最後に抜けて、無交換のマシンも抜けて2位になれた。過去最高位だし、本当に素晴らしい気分だよ!

D’station Porsche
藤井誠暢とスヴェン・ミューラー


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