「三笘薫の大会?」、「152年の歴史で初へ」…FAカップ準決勝をプレビュー

2023年4月21日(金)18時52分 サッカーキング

FAカップ準決勝に進出した4チーム [写真]=Getty Images

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 世界最古のカップ戦と呼ばれるFAカップも準決勝を迎えた。今週末、ファイナルの座をかけて4チームが激突する。それでは聖地ウェンブリー・スタジアムで開催される準決勝の2試合をプレビューしよう。

[写真]=Getty Images

■マンチェスター・C対シェフィールド・U



 まずは現地時間4月22日(土)に開かれるマンチェスター・C対シェフィールド・Uだ。「3冠」を目指すマンチェスター・Cに、唯一の下部リーグ勢であるシェフィールド・Uが挑むことになる。言うまでもないが、やはりマンチェスター・Cが圧倒的に有利と見られている。格下のシェフィールド・Uも、2部リーグで2位に着けており、2年ぶりのプレミアリーグ復帰に迫っているが実力差は否めない。英国ブックメーカー『ウィリアムヒル』社の勝敗オッズを見ると、マンチェスター・Cの勝利が「1.12倍」なのに対し、シェフィールド・Uの勝利は「19倍」。圧倒的にマンチェスター・Cに分があるのだ。

 とはいえ、両チームの過去の対戦成績を見ると、マンチェスター・Cは肝を冷やしているかもしれない。というのも、FAカップでは過去に4度対戦しているが、マンチェスター・Cは一度も勝ったことがないのだ! 1906年、1914年、1939年、そして直近では2008年の4回戦で対戦しているが、いずれもシェフィールド・Uに軍配が上がっている。

■3冠を目指すマンチェスター・C



 マンチェスター・Cはプレミアリーグで2位に着けるほか、チャンピオンズリーグ(CL)では準決勝でバイエルンを退けてベスト4進出を決めている。悲願の欧州制覇だけでなく、現実的に3冠が見えているのだ。CLを含めた3冠を達成すれば1998−99シーズンのマンチェスター・U以来、イングランド勢としては史上2チーム目となる。CLやプレミアリーグに比べると優先順位が低いFAカップだが、準決勝まで来たら優勝を狙いたい。

 そんなマンチェスター・Cにとって準決勝は鬼門となっている。今回で5シーズン連続でのベスト4進出だが、最近3シーズンはいずれも準決勝で涙を呑んでいる。ジョゼップ・グアルディオラ体制になってから、プレミアリーグとリーグカップは4回ずつ優勝しているが、FAカップ制覇は国内3冠を達成した2018−19シーズンの1回だけなのだ。

 3冠を目指すマンチェスター・Cは、これから5日間が正念場となる。22日にウェンブリー・スタジアムでシェフィールド・Uと対戦した後、4日後の26日にはアーセナルとの“プレミア首位攻防戦”を控えているのだ。この5日間で、3冠の夢が一瞬にして1冠になってしまう危険もあるのだ。

■87年ぶりのファイナルは?



 4度のFAカップ制覇を誇るシェフィールド・Uは、これが15度目の準決勝進出。過去14回の準決勝は「6勝8敗」と負け越している。前回ベスト4に進出したのは2014年。当時3部リーグに所属していた彼らは準決勝まで勝ち上がったが、ハルに敗れてベスト4で散った。そのためファイナルに進出すれば1936年以来となる「87年ぶり」の快挙となる!

 ちなみに2部のクラブが準決勝に勝ち上がるのは、2015年のレディング以来、8年ぶりのこと。最後に2部以下のクラブが決勝に勝ち上がったのは、2008年のカーディフだ(決勝でポーツマスに敗れた)。そして最後に下部リーグのクラブがFAカップを制したのは43年前のこと。当時2部に所属していたウェストハムが、1980年の決勝でアーセナルを相手に番狂わせを起こしたのだ。

 ちなみにFAカップ準決勝での「1部チームvs2部チーム」の対戦だが、最近13回連続で1部チームに軍配が上がっているという。

■ブライトン対マンチェスター・U



 23日には日本代表FW三笘薫を擁するブライトンがクラブ史上2度目のFAカップ決勝進出を目指し、マンチェスター・Uと相まみえる。ブライトンにとっては、クラブ史上初の栄冠を手にするチャンスだ。

 121年の歴史を誇るブライトンだが、未だに“無冠の日々”を送っている。そんな彼らが最も栄冠に近づいたのが、前回FAカップの決勝に進出した1982−83シーズンのこと。当時、ブライトンは1部リーグから降格の憂き目に遭うも、FAカップではクラブ史上初の決勝進出を果たした。そして、今回の準決勝でも対戦するマンチェスター・Uと激突したのである。ブライトンは、10万人近くを飲み込んだ聖地ウェンブリー・スタジアムで本命のマンチェスター・Uを相手に大健闘した。

 ブライトンは、終了間際の87分に2−2に追いついて延長戦に持ち込んだ。そして延長後半の追加タイムに絶好機が訪れる。敵陣ボックス内でFWゴードン・スミスが完全フリーな状態でシュートを放ったのだ。「これは決まったはず!」と実況が叫んだ瞬間、GKギャリー・ベイリーの好守に阻まれて逸機。当時はPK戦が導入されていなかったため同点のまま再試合となり、ブライトンは5日後の再試合で0−4の大敗を喫してクラブ史上初のタイトルを逃したのだ。

 その時の対戦を含め、ブライトンはFAカップでマンチェスター・Uに一度も勝ったことがない。しかし今季はプレミアリーグの開幕戦ですでにマンチェスター・Uを倒しており、クラブ史上2度目の決勝進出に期待が寄せられている。

■聖地が鬼門?



 40年前に栄冠を逃したブライトンは大舞台に弱いのかもしれない。彼らが聖地ウェンブリーで公式戦を戦うのは今回が6戦目となるが、これまで一度も勝っていないのだ(1分け4敗)。初めてウェンブリーのピッチに立ったのは、前述の1983年のFAカップ決勝だ。その時に再試合で敗れたブライトンは、未だにウェンブリーで勝てずにいる。

 1991年にはトップリーグ昇格をかけて2部リーグのプレーオフ決勝に臨むも、聖地でノッツ・カウンティに1−3で敗れて昇格を逃した。2019年にはクラブ史上2度目のFAカップ準決勝に進出し、ウェンブリーでマンチェスター・Cと対戦するも、FWガブリエウ・ジェズス(現在アーセナル)に試合唯一のゴールを決められて涙を呑んでいるのだ…。

■鍵を握るのは三笘



 ブライトンで鍵を握るのは日本代表FW三笘薫だろう。今季プレミアリーグ初挑戦にして世界中を驚かせているドリブラーは、FAカップとの相性も抜群だ。FAカップ初出場となった1月のミドルズブラ戦でMFアダム・ララーナのゴールをアシストすると、続くリヴァプールとの4回戦では91分に“二段式ボレーシュート”で劇的な決勝ゴールを決めて見せた。

 5回戦でもアシストを記録し、準々決勝のグリムズビー戦では終了間際にチームの5点目をマーク。ここまでFAカップでは「2得点・2アシスト」と全試合でゴールに絡む活躍。もし準決勝でも得点に絡めば、2017−18シーズンのFWロメル・ルカク以来となる3回戦から準決勝まで全試合でゴールに絡んだ選手となるそうだ。ちなみに、当時ルカクが在籍していたクラブこそ、今回の相手であるマンチェスター・Uだ。

■名門マンチェスター・U



 20日に行われたヨーロッパリーグ準々決勝セカンドレグではセビージャに0−3の大敗を喫して敗退したマンチェスター・Uだが、FAカップでの成績は圧巻だ。今回が31度目の準決勝進出。これはアーセナル(30回)を抜いて単独1位の記録。そしてこの試合に勝てば、21回目の決勝進出となりアーセナルの記録に並ぶことになる。

 2015−16シーズン以来のFAカップ優勝を目指すマンチェスター・Uは、今季すでにEFLカップを制しており、クラブ史上3度目となる国内カップ戦で“ダブル決勝進出”がかかっている。彼らが初めて2つの国内カップ戦で同じシーズンに決勝進出を果たしたのが1983年。決勝でブライトンを倒したシーズンだ。だが、その時はリーグカップ決勝で敗れており、マンチェスター・Uは一度も“国内カップ2冠”を達成したことがない。

 ちなみに、もしマンチェスター・Uとマンチェスター・Cがともに決勝まで勝ち上がれば、152年の歴史を誇る世界最古のカップ戦において、史上初の「マンチェスター・ダービー・ファイナル」が実現する。リーグカップなどを含めても、主要大会の決勝では初のマンチェスター・ダービーとなるぞ!

(記事/Footmedia)

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