07年のマダックスは最も遅い直球と速い直球の差が...「今は直球を軽く投げることが減った」米記者が指摘

2024年4月21日(日)10時25分 スポーツニッポン

 ネットサイト「ザ・スコア」のトラビス・ソーチック記者がMLBの投手の投球スタイルが変わったことについて詳しく調査している。「ファングラフス」のデータを基に計算。まずMLBの投手が投げる直球の最大速度を集計し、その中央値を示した。さらに投手の直球の真ん中に位置する速度の中央値、最小速度の中央値も調べた。明らかなのはそれぞれの差が縮小していること。直球を軽く投げることが少なくなり、目一杯の力で投げることがほとんどになっている。

 具体的には07年には最大速度の中央値は95・4マイルで、真ん中は91マイル、最小速度は85・6マイルだった。しかし今現在は最大速度の中央値は97マイルで、真ん中は94・5マイル、最小速度は91・5マイルになっている。MLBでは年々直球の平均速度が上がっていることが知られているが、興味深いのは遅い速球の速度の上昇率が高いということ。最小速度の中央値はシーズンごとに約0・3マイル増加、一方最大速度の中央値は0・13マイルずつ増えている。07年の最小速度の中央値が85・6マイルだったということは、MLBの投手の半数がこの数字以下の最も遅い直球を投げていたということ。しかしこの数字は20年に初めて90マイルを超え、今季は91・5マイルに上がっている。

 ベテランのジャスティン・バーランダーはこの件について「投球スタイルが変わった。誰もが可能な限り速く投げ、ボールを可能な限り強くスピンさせている。それは両刃の剣」とケガ増加の要因として指摘した。バーランダーは04年のドラフトで一巡2番目に指名され、トップクラスの球速を誇った。しかしながら試合の序盤は球速を抑え、試合の後半、ピンチの局面で目一杯投げていた。それが近年は変わった。みんなが最初から目一杯投げるようになり、球団もそれを求める。バーランダーも合わせざるをえない。バーランダーの最小速度は07年よりも2マイル以上速くなっている。速度帯が狭まったとき、20年、37歳で初めて肘のじん帯を痛め、ひじ側副靭帯再建術(通称トミージョン手術)を受けることになった。

 グレッグ・マダックスは07年に最も遅い直球が79・5マイルで速い直球が94マイルと14・5マイルの差があった。その年、最大速度と最小速度の間に10マイル以上の差がある投手が69人いた。しかし昨年はわずか16人だった。ソーチック記者は通算373勝、往年の名投手クリスティ・マシューソンの1912年の著作から引用している。「投手の中には、全ての球を目一杯投げる人がいますが、これは2つの理由で愚かです。まず第1に肉体的に疲れ、ピンチが来たとき持続して投げる力が残っていません。2番目に重要なことは、打者に全てを見せてしまうことは無意味だということ。ピンチで相手を驚かす球を残しておくべきです」

スポーツニッポン

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