春に流した涙は夏の糧に 東京に現れた逸材が感じた成長と課題

2024年4月21日(日)8時0分 スポーツニッポン

 今春の選抜高校野球は高崎健康福祉大高崎(群馬)の優勝で終えた。熱戦からまだ1カ月ほどしか経たないが、既に夏のシード権にもつながる春季大会が各地で始まっている。

 オフに取り組んできた成果を確かめる場でもある。この先には勝負の夏が残っているため、選手からは敗れても課題を口にしながらも前向きな言葉が多く聞かれる。だが、東京高のエース右腕・永見光太郎投手(3年)は違った。4回戦で日大豊山に8回コールド負けを喫すると、人目をはばからず号泣。何度も「自分のせいで負けて悔しいです」と繰り返した。

 昨秋までは全くの無名選手だった。だが、「意識を変えた」と食事の量やウエートトレーングを増やしたことで、直球の最速は133キロから140キロまでアップ。決め球のカットボールにも手応えをつかみ、大きな自信を胸に今春の大会に挑んでいた。成果は結果としてもしっかり表れた。1、2回戦を完封すると、3回戦の強豪・二松学舎大付は1失点完投。27イニングでわずか1点しか失っておらず、「本気でもっともっと上を目指していた」からこそ、4回戦のコールド負けには涙が止まらなかった。

 しかし、ひと冬でほとんど知られていなかった投手が、プロのスカウトが注目するまでに成長した事実は確かだ。悔しさの中にも成長した実感があるからこそ、「将来的には一番上(プロ)を目指したい。その前に夏は東京高校史上初の甲子園出場です」と目を真っ赤にしながらもはっきり言い切った。今夏、追い続けたい選手が一人増えた。(記者コラム・村井 樹)

スポーツニッポン

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