軟鉄鍛造の時代は終わってない! 『X FORGED』はミスに強くて打感も打音も素晴らしい!

2024年4月24日(水)17時0分 ALBA Net

ドライバーのヘッドスピード40m/sのアマチュアゴルファーでも、最新ギアを使いこなせるのか? ベストスコア「67」、ホームコースのハンディキャップ「0」を誇る元競技ゴルファーでロマン派ゴルフ作家の篠原嗣典が実際にコースに持ち込んで検証しました。




【注目ポイント】
キャロウェイが、2024年4月5日に発売したのが『X FORGED』。コピーは“名器の名がアジアモデルで久々の復活 プロ、上級者を満足させる要素を満載”です。『X FORGED』の新製品はもう出ないという噂がありました。それは、もう軟鉄鍛造の時代は終わったという考え方と一緒になって、まことしやかに広まっていたのです。しかし、3年振りのモデルチェンジ。『X FORGED』という名称のまま、軟鉄鍛造であることがブランドのテーマです。

現在主流になりつつある複合素材のアイアンではなく、単一の素材を叩いて形を作った軟鉄鍛造の『X FORGED』は、これも珍しくなってきているハーフキャビティというアイアンなのです。プロや上級者、特に、日本のエリートゴルファーが大好きな軟鉄鍛造のアイアンです。心地良い打感と乾いた打球音を味わえるように、徹底的に作り込んだのが最初の注目ポイントです。

バックフェースの中央下部に厚みを持たせたのは、ターゲットのエリートゴルファーの多くがその場所でボールをとらえるからだということです。先程の、打感と打音だけではなく、弾道にも影響すると推測されます。

『X FORGED』のアドレスビューを確認すると、少なめのオフセット、トップエッジの薄さ、コンパクトなヘッドは、全て古くからのエリートゴルファーの好みです。見ただけで惚れてしまうゴルファーもいると思います。ソールの前後をよく見ると、面取が施されています。「トライレベル・ソールデザイン」とキャロウェイでは呼びますが、昔の名器にも同じような特徴を持ったアイアンがありましたので、抜けの良さなどで期待が出来ます。

7番アイアンのロフトは33度です。クラシカルな標準からすると1度立っていますが、これがどんな意味を持つのかも興味が湧きます。『X FORGED』は、特別なアイアンになるために、必要な要素を集めて整理整頓して搭載したというイメージのアイアンになっています。

試打した日は、曇りで、気温は8℃〜11℃。微風でした。使用したボールは、使い慣れていてクラブの特徴だけに集中できる『TOUR B X』です。


【打感・打ち応え】
『X FORGED』の打音ですが、少し大きめの音量で、軟鉄鍛造のお手本のような濡れた鞭系と硬質のミックスです。乾いた感じで引き締まっています。打ち応えは、軽めですが、潰れ感があります。手応えは敏感で、芯感はクリアですが潰れ感と融合しています。


【弾道・球筋・スピン性能】
『X FORGED』の弾道は、高弾道で、すっと伸びる球筋のボールが出ます。曲がりにも敏感で、持ち球で攻めるゴルファーにも使いやすいと思いました。スピンはツアーアイアンらしく、その場で止まろうとしますが、やや強めの効きです。


【飛距離性能】
『X FORGED』の飛距離性能は、ロフトよりも少し飛びました。クラシカルなアイアンよりも半番手近く飛びます。無理にではなく、自然と飛んでしまうような印象です。少しのミスヒットであれば、クラブの機能で助けてくれるのも魅力です。


【ロマン派ゴルフ作家語る】
『X FORGED』は、試打前に、ツアー現場から女子プロの使用率が高いと聞いていたのですが、一発打っただけで、なるほど、と納得しました。

まず、強いボールが打てるのです。スピンが効きすぎていなくて、ちょうど良いのです。結果として、飛距離を最大限活かした上で、ボールを止められるアイアンとして機能してくれます。さらに、ヘッドスピード40m/sでも何も我慢せずに使えるところが、女子プロにもマッチした要因だと想像しました。実際に、試打ラウンドでは、ベタピンに寄るショットが何発も出ました。腕前も出ますが、結果を残せるアイアンです。

細かいところでは、抜けの良さも助かりますが、小さなミスがミスにならないというところも『X FORGED』の嬉しい特徴です。数値に残るシビアな部分だけではなく、打感と打音も素晴らしいです。打感に酔い痴れるアイアンと言えます。澄んでクリアなのに、適度な重量感もある芯感は、キャロウェイの軟鉄鍛造の独自の特徴として継がれていくことに期待をしました。一代限りで終わらせるにはもったいなかったからです。

結果が出て、感性でも満足できるツアーアイアンが使いたいゴルファーに『X FORGED』はオススメです。

古い製法で最先端を極める理想的な成功例が『X FORGED』だと思いました。マッスルバックと近いアイアンですが、スコアを作るアイアンでもあり、上手くなるために使い続けたいアイアンだとも感じます。特別な部分は目立たないのに、結果として、スペシャルなアイアンとして完成しているのが『X FORGED』です。


【試打ギアスペック】
『X FORGED』

ヘッド素材 軟鉄鍛造(S20C)
ロフト #5/26度、#6/29度、#7/33度、#8/37度、#9/41度、PW/46度
シャフト N.S.PRO MODUS3 TOUR 105(S)


【著者紹介】篠原嗣典
ロマン派ゴルフ作家。1965年東京都文京区生まれ。中学1年でゴルフコースデビューと初デートを経験し、ゴルフと恋愛のために生きると決意する。競技ゴルフと命懸けの恋愛に明け暮れた青春を過ごし、ゴルフショップバイヤー、広告代理店、市場調査会社を経て、2000年よりキャプテンc-noのペンネームでゴルフエッセイストに。日本ゴルフジャーナリスト協会会員。ベストスコア「67」、ハンディキャップ「0」

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