子どもたちに向けて...【内田雅也の追球】大切なのはミスの後

2024年4月27日(土)8時0分 スポーツニッポン

 ◇セ・リーグ 阪神2−8ヤクルト(2024年4月26日 甲子園)

 甲子園の「こどもまつり」にあわせ、子どもたちに向けて書きます。

 タイガースは久しぶりに負けました。今月13日の中日戦以来、約2週間ぶりです。2分けをはさみ7連勝中でした。

 4回表のミスが響きました。木浪(きなみ)選手はエラーを2つしました。ゴロをはじき、送球を投げそこないました。3失点につながりました。

 今季ここまでノーエラー。この日も難しいゴロをさばいていました。でも、どんなに上手(じょうず)でもミスはします。特に野球はミスが多く、失敗のスポーツと呼ばれます。よく失敗する人間と同じで、だから面白(おもしろ)いのです。

 そこで大切になるのがミスをした後です。漫画『MAJOR』で主人公の茂野吾郎(しげのごろう)が言います。「誰(だれ)かがミスしても、みんなで助け合や帳消(ちょうけ)しにできんだよ、野球ってやつは」

 青柳(あおやぎ)投手は味方がエラーをした後こそ懸命(けんめい)に投げるといいます。ミスが失点につながらないように努(つと)めるのです。ただ、この日はエラーの直後、打撃の弱い投手にストライクが入らず、押し出し四球を与えてしまいました。これもミスです。思いが強すぎたのか、助けられませんでした。

 岡田監督もよく「みんなで」と言います。「みんなで勝ちにいく」「みんなでがんばる」……と全員の力を合わせる大切さを説(と)いています。

 吾郎は小学生の時、薫(かおる)に「一緒に野球やろーぜ」と誘います。「面白さはオレが保証(ほしょう)するよ」とさそいます。この「面白さ」はボールを投げたり打ったり捕(と)ったり走ったりする体の運動に加え、心のことを言っているのでしょう。みんなで戦えば気持ちいいのです。

 4回表で0—5と大量リードされましたが、あきらめませんでした。5回裏無死一、二塁では坂本選手に送りバントを指示しました。監督は「まだ2、3点差なら(勝負は)わからない」という狙いの作戦でした。しかしバントは失敗。成功していれば糸原選手のヒットで2点入っていました。試合の流れから、痛いバント失敗でした。

 木浪選手は7回表にも3個目のエラーをして失点になりました。同じショートの小幡(おばた)選手は途中から出てヒットを打ちました。プロ野球は競争の世界です。それに毎日試合があります。ミスしたり負けたりして、しょんぼりしているひまなんてありません。ミスの後、負けた次の日が大切なのです。 (編集委員)

スポーツニッポン

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