下馬評は井上尚弥の断然優位…でもなぜネリ戦は関心を集めるのか メキシコ人識者が回答「ヤマナカの報復を果たしてほしいんだ」

2024年4月29日(月)16時0分 ココカラネクスト

その時が刻一刻と迫っている井上とネリの対戦。勝負の時が迫るにつれ、話題性も高まっている。(C)Getty Images、(C)Takamoto TOKUHARA/CoCoKARAnext

 来る5月6日に東京ドームで行われる世界スーパーバンタム級4団体統一王者の井上尚弥(大橋)と元世界2階級制覇王者ルイス・ネリ(メキシコ)のタイトルマッチ。その下馬評は一方的なものとなっている。

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 過去の実績を考えれば、必然的な予想ではある。26戦無敗(23KO)という敵なしの強さを誇る井上は、史上最速で2階級での4団体統一を達成。ネリも直近4戦4勝とスーパーバンタム級で結果こそ出しているが、まさに最盛期にある“モンスター”を凌駕するほどの実力があるとは言い難い。ゆえに多くのメディアや識者たちが、日本人チャンプの防衛を断言している。

 しかしながら、試合が迫るなかで、ファンの関心度は高まっている印象は強い。無論、挑発的な言動を続けるネリの秘める話題性、そして日本における知名度の高さは間違いなく影響している。しかし、日本やアメリカ、さらにメキシコでは両雄の調整に関する報道が日々飛び交う活況ぶりは一方的な予想がされている試合のそれではない。

 なぜ、井上とネリの対戦は盛り上がるのか。メキシコでジャッジを務め、同国のボクシング連盟の会長を務めていたフアン・カルロス・ペラヨ氏が興味深い持論を展開している。

 母国のポッドキャスト番組『Un Round Mas』に出演したペラヨ氏は、「私も“モンスター”イノウエはとても手強い相手だと思っている。彼は今のナンバーワンだ」と予想。そのうえで、「日本人たちとネリの因縁もあいまって関心を集めているんだ」と断言。そして、こう続けている。

「この因縁がなければ、日本人はネリをいまだに許していなかったと思う。皆、ネリにイノウエがヤマナカの報復を果たして、勝利することに関心を抱いているんだ」

 2017年8月と18年3月に実施した山中慎介氏との試合でドーピング違反と大幅な体重超過を犯したネリ。今回の試合に向けてはJBC(日本ボクシングコミッション)が2018年に下されていた活動停止処分とライセンス申請資格の回復を承認していた。

 そうした背景もあって、試合への人気を高めていると論じるペラヨ氏は、「スポーツ的な観点から見ても、私はいい試合になると思う」と指摘。「我々はネリがスーパーバンタム級に階級を上げたことを評価しなければいけない」とし、次のように論じている。

「イノウエとの試合はメキシコ人ファイターが、ドーピングを使わず、体重超過もせずに、きちんと試合を行えることを証明する最高のチャンスだ。ネリが負けたらイノウエはヤマナカとの問題を終わらせた偉大な英雄になると思う。でも、もしもネリが勝ったらボクシング界を盛り上げることになる。商業的にも有益だからね。そうなるとは私も思えないけど(笑)」

 すでに米スポーツ専門局『ESPN』と、英衛星放送局『Sky Sports』で生中継されることが決定。話題性はかつてないほどに高まっているが、はたして、井上とネリはいかなるパフォーマンスをみせるのか。ゴングの時が待ち遠しい。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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