巨人・坂本 川上哲治の域到達!歴代13位タイ通算2351安打 ピンクバットで赤バットの「神様」並ん打

2024年5月13日(月)5時30分 スポーツニッポン

 ◇セ・リーグ 巨人1−3ヤクルト(2024年5月12日 神宮)

 巨人・坂本勇人内野手(35)が12日、ヤクルト戦の6回に16打席ぶりとなる右前打を放ち、通算2351安打とした。球団OBで歴代13位の「打撃の神様」こと川上哲治に並んだ。90年の歴史ある球団でも王貞治(2786)、長嶋茂雄(2471)に次ぐ歴代3位タイとなった。試合は6回に先制したが、1—3の逆転負け。前日に2年ぶりに単独首位に立ったチームは、わずか1日で首位から陥落した。

 節目の一本は、母の日仕様のピンク色のバットで放った。岡本和の先制弾が飛び出した直後の6回2死。坂本がサイスニードの直球を右前に運んだ。歴代13位の川上哲治に並ぶ通算2351安打。それでも、チームは逆転負けを喫しただけに「通算の何本とかは何も考えていない」と表情は厳しかった。

 「打撃の神様」と称された川上哲治は「ボールが止まって見えた」という有名なエピソードを残した。

 不振に陥っていた1950年8月初旬。多摩川グラウンドで、打撃投手相手に緩いカーブなどを300球以上投げてもらった時に、それを体験したという。長男の貴光氏が著書「父の背番号は16だった」(朝日文庫)の中で、父から聞いた話をこう記している。「球が止まるという感じは、結局バッティングのタイミングが自分のものになったということだった。タイミングというのは、つまり間のことだ」。その直後の国鉄戦でサヨナラ本塁打を放っている。「記憶に残る一打」が、2人ともにスワローズ戦だったのも縁がある。

 坂本の間の取り方には何種類もの引き出しがある。相手投手や自身のコンディションによって、足の上げ方を変えながら安打を積み上げてきた。長打は川上の688本に対し、759本。坂本といえば引っ張り中心のスタイルだが、今季は左右ともに12本と広角に打ち分けている。

 プロ1年目の07年6月19日に母・輝美さんが47歳の若さで亡くなった。この日はバットだけでなく、スパイクもピンク色で臨み「感謝の気持ちはいろいろありますけど、もう少し打っていれば、楽な展開になっている試合がありましたし、もっと状態を上げて貢献できるようにしたい」。チームの連勝は4で止まり、首位陥落。記録よりもチームの勝利を求める姿勢は「打撃の神様」と変わらない。(川島 毅洋)

 ≪今も最年少記録 19歳で首位打者≫川上哲治は現役時代に「打撃の神様」と呼ばれ、2年目の39年に今も球界最年少記録として残る19歳で首位打者。50年には「ボールが止まって見えた」という名言を残し、翌51年には打率.377で首位打者に輝いた。「赤バット」で低く鋭い弾丸ライナーで安打を量産する姿は終戦直後の日本に夢と希望を与え、56年には球界初の2000安打を達成。58年に現役引退した。

 61年に巨人の第8代監督に就任。王、長嶋を擁し圧倒的な戦力を誇りながら、バントなどの手堅い作戦を多用。65年からは不滅の9年連続日本一の偉業を達成し、74年に退いた。現役通算は1979試合で2351安打、打率.313、181本塁打、1319打点。監督通算は1066勝739敗61分け。就任14年間でリーグ優勝、日本一とも11度。巨人の背番号「16」は永久欠番となっている。

スポーツニッポン

「バット」をもっと詳しく

「バット」のニュース

「バット」のニュース

トピックス

x
BIGLOBE
トップへ