豪州SC:ホールデン・ワークスのトリプルエイト「カマロ投入の可能性を排除しない」

2018年5月14日(月)18時50分 AUTOSPORT web

 オーストラリアのツーリングカー選手権、VASCヴァージン・オーストラリア・スーパーカーに、2019年から『マスタング』の投入を発表したフォードに対し、ライバル陣営であるGM傘下ホールデンが、シボレーブランドの『カマロ』を投入するかどうかが熱い話題となっている。それに対し、ホールデンの主要人物らはそれぞれの立場で「可能性は排除しない」と、前向きな展望を語った。


 アメリカ大陸では長年にわたりライバル関係を築いてきた『フォード・マスタング』と『シボレー・カマロ』。その2台が2019年以降オセアニア地域のモータースポーツ・カテゴリーで相見えることになりそうだ。


 ホールデンの市販部門で高性能モデルを手がけるHSV(ホールデン・スペシャル・ビークルス)は、この7月にも右ハンドル仕様にコンバートした『シボレー・カマロ』をオーストラリア市場で販売する予定で、このHSV社はVASCに参戦するウォーキンショーの一族が所有している。


 2018年シーズンからアンドレッティ・オートスポートとユナイテッド・オートスポーツと資本提携を結び、チーム名も新たにウォーキンショー・アンドレッティ・ユナイテッドとしてシリーズを戦うウォーキンショーが、論理的にも潜在的な“カマロ・スーパーカー”ユーザーの筆頭候補に挙げられている。


 先日、GMホールデンのマーケティング担当役員に就任したクリスティアン・アキリーナは、今季から新型のGen2規定モデルとして投入した『ホールデン・コモドアZB』へのコミットメントを強調したものの、カマロが将来的にレースシーンに登場することを「妨げない」と語った。


「2ドアや5ドア、そしてV8エンジンに代わってV6ターボや直列4気筒も採用可能なGen2規定に則り、我々は5ドアHBのボディを持つ新型モデル(コモドアZB)を投入したばかりです。我々の目標は各レースで可能な限り多くのコモドアZBを表彰台に送り込むこと。それができるマシンだと確信を持っています」とアキリーナ。


「2ドアモデルの参入を恐れているわけではありません。フォード・マスタングであろうと、それ以外のモデルであろうと、新型コモドアZBがベストだと確信しています。もし(カマロの参戦が)真剣な見通しになれば、このスポーツにとってエキサイティングなことでしょうが、我々はZBの開発に集中するつもりです」


 これにより、カマロの登場はHSVの決断に委ねられた形となったが、同社のマネージング・ディレクターを務めるティム・ジャクソンは、そのプロジェクト開始に向け「実現可能性を評価するところから始める」とコメントした。


「ZBのコモドアと直接競合が可能な上、ホールデンのVASCへの関与を引き続き担保することもできる。つまり、ホールデンとしてはコモドアZBとカマロがシリーズで“並存可能だ”と発言したわけだからね。いずれにせよ、実現可能性の観点から物事を見てみる必要はあるし、多くの要素が揃っていなくてはならないが、それは刺激的な見通しだといえるね」

HSVにより右ハンドルにコンバートされたシボレー・カマロの輸入販売が7月から開始される予定
VASCでは、シーズン前に空力性能も含めたボディ形状もホモロゲーション認定が必要となる
フォード・マスタングの登場で、2ドアクーペの優位性がすでに議論を呼び起こしている


 さらに、レッドブル・レーシング・オーストラリアを運営し、ホールデンのワークス指定チームとしてコモドアZBの開発とホモロゲーション認定の作業を担当したトリプルエイト・レースエンジニアリングも「カマロのスーパーカー・バージョンの開発に向けては扉をオープンにしておく」と、事実上の投入を示唆する態度を表明した。


 トリプルエイトのチームマネージャーを務めるマーク・ダットンは、フォードの決断を受けて2019年に向け新たに2ドアボディ形状の公認取得がどのように推移するか、パドックでは大いに話題となっているとコメント。将来的にシボレー・カマロやニッサンGT-Rが導入される際にも議論が予想され、新たなホモロゲーション・プログラムが必要になるだろうと語る。


「私はカマロ投入のプランは素晴らしいと思っている」とダットン。


「現在、チームは2018年型コモドアZBの開発を終えてシーズンのレースプログラムに集中しているが、これがもう少し落ち着いてきたらよりオープンな状況に移れると思う」


「それでも、私はカマロやマスタング、コルベットのようなモデルが大好きだ。それらが戦う姿を見ることができたら本当に最高だろうね。私たちはいつも楽しいことが好きだし、来季はマスタングが見れるだけでもエキサイティングだ。2ドアモデルを愛している自分のような人間にとってはね」


「だからこそ、それ(カマロ)を持ってくるべきだと思うよ」


 VASCでは1モデルにつき4〜5年の稼働期間が標準的で、ホールデンの先代モデルであるコモドアVFは2013年にデビューして以降、昨季まで活躍。ニッサン・アルティマも13年にデビューし現役、フォード・ファルコンFG-Xも今季4シーズン目で、マスタング移行に向け最後の1年を迎えている。


 18年に登場したホールデン・コモドアZBも、その稼働期間を考えればまだ退役には早いと考えられるが、カマロ投入の現実的選択肢は「コモドアとの並存」がマストだろうとダットン。


「ホールデンとシボレー、同じメーカー傘下の異なるブランドが走らせられれば、それはとてもクールだと思うね。トラックには現在14台のコモドアZBが参戦しているが、その半分の7台がシボレー・カマロに置き換わったら、それはもう最高の景色だろうね!」

ティックフォード・レーシングは、2018年後半に向けマスタングのテストとホモロゲ認証の開発を本格化
ホールデンの新型コモドアZBを投入したばかりのトリプルエイトだが、カマロの計画には前向きなスタンス
GMとしては、ホールデン、シボレーのWブランド戦略でVASC参戦が実現するか


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