意気衝天だった若武者が見せた“渋り” 「打倒・井上尚弥」をアピールしてきた挑戦者グッドマンの交渉停滞に疑問

2024年5月25日(土)7時15分 ココカラネクスト

井上との対決を自ら意欲満々で語っていたグッドマン。しかし、ここにきて態度を変化させてきている。(C)Takamoto TOKUHARA/CoCoKARAnext、(C)Getty Images

 東京ドームでのメガ興行から約1か月。ドラマチックな一戦を制した井上尚弥(大橋)の次戦の行方は、思わぬ展開を迎えている。

 世界2階級制覇王者にして、“最恐の挑戦者”と煽られたルイス・ネリ(メキシコ)との攻防を6回TKOで制した井上。東京ドームで34年ぶりに実現したボクシングの興行を彩ったKO劇の余韻が冷めやらぬなか、彼は次なる野望を明確にした。

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「次戦は9月ごろ、隣にいるグッドマン選手と防衛戦をしたい」

 リングに上に、来日していたIBF、WBOのスーパーバンタム級1位に君臨するサム・グッドマン(豪州)を招き入れてのアピールは、強烈なインパクトを残した。この先制パンチは「やろう」と呼応した25歳の豪戦士の心にも響いたはずだ。

 この時点で両陣営の交渉が合意間近だったのは想像に難くない。実際、グッドマンのプロモートを務める豪興行大手『No Limit Boxing』のジョージ・ローズ氏もネリ戦直後のインタビューで「今は日付の調整をしている段階だ。彼(グッドマン)のキャリアの中で最大の給料を得る日になる」と声高に語っていた。

 ただ、ここにきて事態は一変。グッドマン陣営が井上の望む9月開催に消極的なのだという。今年3月にマーク・シュライブス(豪州)との試合を行っていたグッドマンは7月に調整試合が決定済み。そこからコンディションを回復させるべく12月に試合を延ばしたいという意向なのかもしれない。

 いずれにしても、いささか驚きの展開だ。なにせ、グッドマンは、以前から「打倒・井上」を強くアピールしてきた男だった。

 井上がマーロン・タパレス(フィリピン)とのスーパーバンタム級4団体統一戦を終えた今年3月には、「俺は偉大になるためにこのスポーツをやっている。イノウエとの試合はアスリートとしてやりたい試合じゃないか?」と豪語。「俺に『お前には倒せない』と安易に批判する批評家たちに『くそったれ』と言って、見せつけてやりたいんだ」とも語り、世界タイトルの獲得する夢をぶち上げていた。

 グッドマンの強い意向は、彼の陣営も後押ししていた。ローズ氏は豪国内でも最大級のネットワークを誇るスポーツ専門局『FOX Sports』で「イノウエが残してきた功績こそ、日本の会場を超満員にする理由であり、世界中でこれほど多くのファンを抱えている理由であり、彼が世界タイトル戦に臨むたびに世界中が注目する理由だ。もしも、(試合を)開催できるならこれほど歴史的なことはない」と支援を約束していた。

 すでに大橋ジムとの関係を深める元IBF世界同級王者テレンス・ジョン・ドヘニー(アイルランド)との交渉も進み始めているという。無論、井上戦で得られる莫大な収入を考慮したグッドマン陣営が9月開催の合意で態度を改める可能性もゼロではない。いずれにしても、交渉期限はさほど残されていない。

 最終的にグッドマン戦は無事に決まるかもしれない。しかし、指名試合の交渉で続く疑問の“渋り”が、井上との熱戦に向けた機運に水を差した感は否めない。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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